5月19日ウインザー城の空には雲ひとつありません。まさに快晴でした。1日に四季があると言われるほど天気が変わりやすいイギリスがこんなに良い天気だなんてまるでおとぎ話の絵本のようでした。
いよいよ正午(日本時間午後8時)聖ジョージ礼拝堂で行われた結婚式のあと、王子と王女は150年前につくられた馬車に乗りおよそ4キロを騎馬兵に守られてパレードしました。この模様はBBCの放送をNHKが生中継しました。いままで英国ロイヤルウエディングはニュースでワンカット見る程度でした。およそ1時間すべてを見たのは初めてです。ウインザー城の広さ、重厚さ、存在感、いろんな意味で The United Kingdom イギリス王国を感じましたね。
さらに驚いたことはパレードのとき一般市民と馬車の距離が近いことでした。手を伸ばせば馬車に届きそうな狭い道幅です。日本の皇室ではありえない距離です。こんなに近くて警備は大丈夫だろうとか心配になりましたが、そこはさすがにGreat Britain、変なおじさんや若者が乱入することもなく祝福ムードにあふれていました。しかし、警備費用が44億円と聞いてこれまたびっくり、一体どこにそんなにお金がかかっていたのかまったくテレビからは分かりませんでした。
もちろん目立たないように警備をしていたこともありますが、それより、BBCのカメラワークつまり映像の作り方がうまいのです。これぞプロというカメラの位置、アングル、寄り、引き、のタイミング、よほど練習をしたのか、または慣れているのか、それとも技術なのか、う~ん、と感心させられる映像の連続でした。まるでワンカットごとに撮影し編集されている映画を見ているようでした。
ウインザー城から二人が出てきて馬車に乗る、馬車がゆっくり進み左へ曲がる、追いかけるカメラの位置、角度、画角、すべてここしかないところを狙っています。そして狭い街へ出る、上からのパン、ゆっくりの引き、絶妙のカメラワークでした。
映画だったら撮り直しもできますが、生中継は本番一発勝負です。まったく失敗がないのです。その後ボクはビデオでも見ました。やはり失敗がないのです。パレードだけで何十台のカメラをスイッチしています。にもかかわらず他のカメラが画面に入ってくることはありません。これは神業に近いのです。どの位置でどのカメラにスイッチするか、もちろん何度もリハーサルしているはずですが、本番は一度だけ、これはもう見事としか言いようがありませんね。
パレードの前の式や歌の時もカメラワークは巧みでした。礼拝堂は天井がめちゃくちゃ高い、上はステンドグラス、そこに何十台ものカメラをセットしました。ほかのカメラが画面に入ってくることは一度もありません。もう一度言いましょう。これは生中継で編集したものではありません。スイッチングは一発勝負です。スイッチャーの技術とセンスの良さには脱帽です。スゴイ
もともとBBCは映像の作りがフィルム志向です。つまりビデオで映画のような撮り方をします。機材で撮っているのではなく心で撮っているのです。それはフランスやカナダのドキュメンタリーにも感じられます。対して日本のテレビにはそれがありません。民放は言うに及ばず、NHKは画質ばかりにこだわり、それ4Kだ、8Kだとバカ高い金かけて機材を追及しています。それは技術がなくてもいい画が撮れちゃうことを意味します。映画のように心で撮ろうとしていません。すばらしい8Kの映像をと言われても対応テレビがなくては見ることはできないのですよ。8Kカメラだってわたしたちの受信料で買っているんです。もう少しセンスを磨いた方がいいと思うよ。
てなこと言ってたら、肝心のハリー王子とメーガンさんのことやパレードのものすごい警備のことなどが書けなくなっちゃいました。理由はボクが疲れちゃったからです。おわり
2018/05/20