大騒ぎが終わりました。スコットランドがイギリスから独立するかどうかの住民投票が昨日行われ、結果独立しないとなりました。投票率85%、独立したいは161万票独立しないは200万票。直前予想より少し差が開きました。世界で独立したいと言っている地方をもつ国は多くありますが、こんなに大騒ぎにはなりませんでした。やはり世界に影響を与えるイギリスならではビッグニュース。独立しないと決まった直後に世界中の株価が上がりました。
いまから3年前2011年地方議会選挙で独立を主張するスコットランド民族党が大勝、翌2012年に独立の住民投票が認められ、賛成派と反対派に分かれどっちが得かで大議論が続きました。もともとスコットランドはイギリス連合国ではありませんでした。何度も戦いを繰り返してきましたが1705年イギリス連合国に組み込まれました。以来300年以上怨念の気持ちがくすぶり続けやっと住民投票にまでこぎつけたのですが、今回は独立できませんでした。しかしこの2年間の運動は自治権拡大など得るものも多く無駄ではありませんでした。世界でもっとも成熟した民主主義の国と言われるイギリスでの独立運動は今後他の国にも影響を与えそうです。
ところで300年の怨念と聞くと日本の長州藩を思い出しますね。長州藩祖毛利輝元は関ヶ原で西軍についた結果、萩へ追いやられ徳川270年の間冷や飯を喰わされていました。萩城では毎年正月になると秘密の儀式が行われ「殿、今年は関東を打ちますか?」「いや、まだその時期ではない。」これをずっと続けてきました。270年の怨念は薩長連合による江戸城無血開城で果たされたことになります。日本は転覆によって政権を取りましたが、遠いエゲレスでは「住民投票によって独立」という道を選びました。どちらも住民の生活が大きく変わる一大事です。
イギリスはグレートブリテンと言われるように第二次世界大戦までは世界中に領土や植民地を持っていました。まさに日の沈まない国でした。イギリスの言葉英語はいまも世界の共通語ですね。
そんなイギリスの民主主義を見て「民主主義ってなんだろう?」を深く考えたのが「日本の思想」で有名な丸山真男さんでした。丸山さんが東京大学教授の時代に日本では学生による安保闘争デモがふきあれ、東大の安田講堂が占拠される事件が起きます。それまで学生の民主化運動に一定の理解を示してきた丸山さんは学生たちの運動が烏合の衆化になるのを見て「みんなが同じことを言って同じことをしている。ただの群集心理。」と切り捨てました。人にはそれぞれの意見があってそれを聞くのが民主主義ではないか、という意味です。丸山さんはのちにこう言っています。「民主主義に完成型はない。常に時代に合わせて変革しなくてはいけない。民主主義って何だろうと追い求めていくのが民主主義。これで終わりという民主主義はない。」丸山さんはこれを民主主義の永久革命と呼んでいました。
今回のスコットランドの住民投票は民主主義を300年以上永遠に考えている住民の姿を連想させました。「民主主義」を考える良いきっかけになりましたね。
2014/09/20
※少し前にロシアが内戦中のウクライナからクリミア半島をロシアに編入してしまいましたが、その時の住民投票はウクライナ政府も国際社会も認めていません。これは民主主義とは言えませんね。
いまから3年前2011年地方議会選挙で独立を主張するスコットランド民族党が大勝、翌2012年に独立の住民投票が認められ、賛成派と反対派に分かれどっちが得かで大議論が続きました。もともとスコットランドはイギリス連合国ではありませんでした。何度も戦いを繰り返してきましたが1705年イギリス連合国に組み込まれました。以来300年以上怨念の気持ちがくすぶり続けやっと住民投票にまでこぎつけたのですが、今回は独立できませんでした。しかしこの2年間の運動は自治権拡大など得るものも多く無駄ではありませんでした。世界でもっとも成熟した民主主義の国と言われるイギリスでの独立運動は今後他の国にも影響を与えそうです。
ところで300年の怨念と聞くと日本の長州藩を思い出しますね。長州藩祖毛利輝元は関ヶ原で西軍についた結果、萩へ追いやられ徳川270年の間冷や飯を喰わされていました。萩城では毎年正月になると秘密の儀式が行われ「殿、今年は関東を打ちますか?」「いや、まだその時期ではない。」これをずっと続けてきました。270年の怨念は薩長連合による江戸城無血開城で果たされたことになります。日本は転覆によって政権を取りましたが、遠いエゲレスでは「住民投票によって独立」という道を選びました。どちらも住民の生活が大きく変わる一大事です。
イギリスはグレートブリテンと言われるように第二次世界大戦までは世界中に領土や植民地を持っていました。まさに日の沈まない国でした。イギリスの言葉英語はいまも世界の共通語ですね。
そんなイギリスの民主主義を見て「民主主義ってなんだろう?」を深く考えたのが「日本の思想」で有名な丸山真男さんでした。丸山さんが東京大学教授の時代に日本では学生による安保闘争デモがふきあれ、東大の安田講堂が占拠される事件が起きます。それまで学生の民主化運動に一定の理解を示してきた丸山さんは学生たちの運動が烏合の衆化になるのを見て「みんなが同じことを言って同じことをしている。ただの群集心理。」と切り捨てました。人にはそれぞれの意見があってそれを聞くのが民主主義ではないか、という意味です。丸山さんはのちにこう言っています。「民主主義に完成型はない。常に時代に合わせて変革しなくてはいけない。民主主義って何だろうと追い求めていくのが民主主義。これで終わりという民主主義はない。」丸山さんはこれを民主主義の永久革命と呼んでいました。
今回のスコットランドの住民投票は民主主義を300年以上永遠に考えている住民の姿を連想させました。「民主主義」を考える良いきっかけになりましたね。
2014/09/20
※少し前にロシアが内戦中のウクライナからクリミア半島をロシアに編入してしまいましたが、その時の住民投票はウクライナ政府も国際社会も認めていません。これは民主主義とは言えませんね。