ボクは雑草です

シフトクリエイティブ社長のブログです。

スコットランドの住民投票

2014-09-20 16:45:53 | 報道/ニュース
大騒ぎが終わりました。スコットランドがイギリスから独立するかどうかの住民投票が昨日行われ、結果独立しないとなりました。投票率85%、独立したいは161万票独立しないは200万票。直前予想より少し差が開きました。世界で独立したいと言っている地方をもつ国は多くありますが、こんなに大騒ぎにはなりませんでした。やはり世界に影響を与えるイギリスならではビッグニュース。独立しないと決まった直後に世界中の株価が上がりました。
いまから3年前2011年地方議会選挙で独立を主張するスコットランド民族党が大勝、翌2012年に独立の住民投票が認められ、賛成派と反対派に分かれどっちが得かで大議論が続きました。もともとスコットランドはイギリス連合国ではありませんでした。何度も戦いを繰り返してきましたが1705年イギリス連合国に組み込まれました。以来300年以上怨念の気持ちがくすぶり続けやっと住民投票にまでこぎつけたのですが、今回は独立できませんでした。しかしこの2年間の運動は自治権拡大など得るものも多く無駄ではありませんでした。世界でもっとも成熟した民主主義の国と言われるイギリスでの独立運動は今後他の国にも影響を与えそうです。
ところで300年の怨念と聞くと日本の長州藩を思い出しますね。長州藩祖毛利輝元は関ヶ原で西軍についた結果、萩へ追いやられ徳川270年の間冷や飯を喰わされていました。萩城では毎年正月になると秘密の儀式が行われ「殿、今年は関東を打ちますか?」「いや、まだその時期ではない。」これをずっと続けてきました。270年の怨念は薩長連合による江戸城無血開城で果たされたことになります。日本は転覆によって政権を取りましたが、遠いエゲレスでは「住民投票によって独立」という道を選びました。どちらも住民の生活が大きく変わる一大事です。
イギリスはグレートブリテンと言われるように第二次世界大戦までは世界中に領土や植民地を持っていました。まさに日の沈まない国でした。イギリスの言葉英語はいまも世界の共通語ですね。
そんなイギリスの民主主義を見て「民主主義ってなんだろう?」を深く考えたのが「日本の思想」で有名な丸山真男さんでした。丸山さんが東京大学教授の時代に日本では学生による安保闘争デモがふきあれ、東大の安田講堂が占拠される事件が起きます。それまで学生の民主化運動に一定の理解を示してきた丸山さんは学生たちの運動が烏合の衆化になるのを見て「みんなが同じことを言って同じことをしている。ただの群集心理。」と切り捨てました。人にはそれぞれの意見があってそれを聞くのが民主主義ではないか、という意味です。丸山さんはのちにこう言っています。「民主主義に完成型はない。常に時代に合わせて変革しなくてはいけない。民主主義って何だろうと追い求めていくのが民主主義。これで終わりという民主主義はない。」丸山さんはこれを民主主義の永久革命と呼んでいました。
今回のスコットランドの住民投票は民主主義を300年以上永遠に考えている住民の姿を連想させました。「民主主義」を考える良いきっかけになりましたね。

2014/09/20
※少し前にロシアが内戦中のウクライナからクリミア半島をロシアに編入してしまいましたが、その時の住民投票はウクライナ政府も国際社会も認めていません。これは民主主義とは言えませんね。

広島の土砂災害に学ぶ

2014-09-05 18:52:40 | 報道/ニュース
気が付けば朝晩の涼しさはもう秋、いつのまにか夏が終わっていたのです。振り返って見ても雨か曇りばかりで日照時間も記録的に少なく野菜も高騰。夏らしい日がなく広島をはじめ関西地方や北海道礼文島などで起きた局地的豪雨ばかりが記憶に残る夏でした。
中でも8月20日未明に起きた広島市安佐北区・安佐南区の土砂災害は72名が亡くなりいまだに2名が行方不明という大災害になりました。前線が居すわったとか冷夏とか異常気象では説明のつかないピンポイント型局地的豪雨。専門家ですらこんなに短期間の豪雨は予想できなかったのです。30年や100年に一度の豪雨と言われても土砂で押しつぶされた家々の現実の前には何の慰めにもなりませんね。そこは地盤の悪いところと今頃言われてもそんなところは日本中どこにでもあります。注意してと言われても真夜中に想像もできない大量の雨が降ったら避けようがありません。避難指示だの勧告だのはあまり意味がないのです。気象台からの予報FAXを見ていなかったとか。責任論的話題が災害のたびにでるのは日本をはじめアジアの国の特徴なのかもしれませんね。でもそんなことはどうでもいいんです。起こったことに迅速に対処できる”人“の体制が必要です。
今回一番の問題は緊急速報メールや防災サイレンが機能しなかったことではないでしょうか。どんな最新の技術や科学的予想ができてもそれを運用するのは人間です。緊急速報メールは広島市が主な携帯電話会社と契約していたものの一度も使われていませんでした。防災サイレンは防災放送が聞こえにくい場所に設置することになっていたにもかかわらず設置すらされていませんでした。(最初は鳴らなかったという説明が途中で変わりました。)防災放送にいたっては雨の音にかき消されて何も聞こえない状態でした。これではなんのための技術でしょうか。今回一番大きな被害をだした場所にいずれもできることがされていなかったのです。深夜2時土砂が崩れ始め深夜3時20分土砂が迫ってきても住民は何も知らずに寝ていたことになります。
以前北朝鮮がミサイルを打つと日本中は大騒ぎのとき、緊急情報を伝えるJ-ALERTが鳴らなかったとか誤報だったとか。あれだって同じでしょう。どんな体制を整えても運用する人間が間違ったりボタンを押す人がそこにいなかったら何の意味もありません。携帯電話会社と契約したから安全、予報や避難勧告を出したから安全、などということはあり得ないのです。どう運用するかを考えないと何を整えてもまた同じ災害の繰り返しですね。災害は忘れたころにやってくる。”人”の重要性が改めて浮き彫りになりました。
ところで、最近の天気予報はちょっと当たりませんね。直近の1週間ぐらいはレーダーの性能向上でよく当たりますが、レーダーでは判断できない長期予報は外れまくっています。エルニーニョで冷夏になると言ったかと思えば次の日には猛暑になると言う。それは太平洋の海の温度が変わったから。これでは予報になりません。これは数字やデータだけに頼って予報するからです。昔から漁師の人たちにとっては天気予測はとても大事でした。命にかかわるからです。太陽や月や海や風を見て経験から今年は暑くなるぞと言うとほとんど当たります。これはデータではなく”カン”です。”人”の“カン”です。長い間の言い伝えとそれを踏まえた自然を読む力。机上ではこのお勉強は永久にできませんね。

2014/09/05

※今日も京都では観測史上最大の短時間記録的豪雨で道路が土砂で崩れています。

プライバシーと個人情報

2014-09-04 21:24:06 | 報道/ニュース
昨日のABCナイトラインのトップニュースは人気女優のヌード写真の漏えいでした。過激派組織イスラム国に殺害された二人目のジャーナリスト、スティーブン・ソトロフ記者のニュースはその次でした。なぜヌード写真が漏えいしたのかを詳しく説明。クラウドに侵入されて他人が見られない写真をコピー、ネット上で拡散されたというものでした。それに対して専門家はパスワードの管理と二重パスワードで防衛するように話していました。
多民族多国籍の人が多く暮らすアメリカではプライバシーを守ることはとても重要なことです。お金になるプライバシーは必ず狙われる。この脅威に常にさらされているからです。
では日本の場合はどうでしょう。この国ではプライバイーにあまり関心がありません。せいぜい芸能人の不倫現場ぐらいでしょうか。それもたいしたお金にはなりませんね。政治家にいたっては心配になるほどプライバシー丸出しです。でも誰も競ってそれを探ろうとはしません。これもお金にならないからです。
ところが個人情報となるとまったく違います。記憶に新しいベネッセの個人情報流出では管理委託会社のシステムエンジニアがなんと2000万件(のちに2億人分とも言われています)もの個人情報を持ち出し、そのうち250万人分を400万円とか500万円で複数の業者に売ったというものでした。漏えい件数があまりにも多くて定かではありませんがいずれにしても大量の個人情報が盗まれ大金で売られていたことは確かです。こうなると日本でお金になるのはプライバシーより個人情報と言うことになります。なぜこんなことになってしまったのでしょうか。
2005年個人情報保護法が施行され、名簿などの個人情報を扱う業者は管理しなくてはいけない漏らしてはいけないことになりました。ところがこの国ではその情報管理をいとも簡単に外部へ委託してしまいます。外部へ委託しないまでも1か所や数か所に集約して管理してしまうため個人情報が大量に集まりそれを見ることができる管理人もせいぜい数人になってしまいます。これでは逆に個人情報が大量に集まり一部の人しか見られない宝の山と化してしまうのです。
そもそも住所氏名などの個人情報はひとりやふたりではほとんど価値がありません。ところがそれが1万人分とか1000万人分となれば話は変わります。20代の女性の趣味嗜好の分かる個人情報が1000万人分あるとなれば大きなお金を出しても買う企業はたくさんあります。いくら情報を厳重に管理していると言っても管理している人が突然会社を辞めたりお金に目がくらんだら簡単に持ち出されてしまいます。
同じような話が先日ありました。こともあろうに市役所の女性主査が好きな男性タレントの個人情報を住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)から覗き見していたというものでした。住基ネットが見られるのは市役所でも数人でした。数人のなかにこの主査が入っていたのです。
個人情報は保護すればするほど一か所に集約されいとも簡単に大量の情報が持ち出されることが分かったのです。個人情報保護法はまさに悪人どもにとってはこれほどおいしいものはない悪法に変わってしまいました。
この悪法に対処するには個人は簡単に住所氏名は書かない、アンケートでも名前は書かない、カードは必要最低限しか作らない、このぐらいしかありません。また、取扱業者は個人情報の保護管理を個人にまかせない、核兵器のボタンののように複数人が立ち会わなければ見ることができない。このぐらいの管理が必要ですね。
SNSでプライバシー丸出しの日本人は個人情報についても改めて考え直した方がよさそうです。

2014/09/03

※個人情報漏えい事件・事故一覧というサイトがあります。それを見るとあまりにも多いことに驚きます。ほぼ毎日どこかで起こっています。官公庁から民間まであらゆる業種で起こっています。これでは保護法が犯罪を生み出す悪法に変貌しているとしか思えませんね。