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ボクは雑草です

シフトクリエイティブ社長のブログです。

グーグルはプライバシーを守れるか。

2013-11-24 00:27:35 | 報道/ニュース
実はボクはグーグルの取り組みがすべて正しいとは思っていません。グーグルが考えていることを集約すると地球上のすべての人や店舗や会社や文化やそれらのつながりをネットで管理してしまおうということになってしまうからです。これはプライバシーが公にさらされることを意味します。すでに電話番号を入力すれば住所が出てきます。住所を入力すればたちまちグーグルアースでその家が分かります。所有している車種も分かります。便利だと思う人には都合の良いサービスですがプライバシーを守りたい人にとってはこれほど迷惑な行為はありません。
そもそもプライバシーというのは同じ人でもいつも一定ではありません。かくす事など何もないと言っていた人がある日突然守りたいプライバシーだらけになってしまう、それがプライバシーなのです。ちょっと事件に関係したばかりにマスコミが連日押しかけ外にも出られなくなったり、昨日まで普通にスーパーへ買い物に行っていた人が突然好奇の目で見られたり、そうすると一気にプライバシー度は上がります。
ネット社会が定着すればするほど守りたいプライバシーが増える、そんな気配が感じられるのです。コンビニで買い物をすればジロジロ見られ見た目年齢を入力される。自動販売機でジュースを買おうとすればカメラで顔写真を撮られる。街中の防犯カメラで24時間撮影される。高速道路の出入りはすべて記録される。これらがすべてインターネットのクラウドに蓄積される。しかもそれを誰が見るかも分からない・・考えただけでもぞっとしますね。
グーグルの取り組みはそれらをすべてネットでつなぎ、いつでもどこでも誰でも見たい情報が見たい時に見えるようすることを目指しています。グーグルはそうした取り組みで巨大なビジネスを生み出しました。言い換えればゴミのようなプライバシーを世界中からかき集め大きなお金を稼いでいる最大級の悪徳ビジネスとも言えるのです。
Facebookが日本でも人気になりました。趣味嗜好の好き嫌いや性格までほとんど分かります。いつも隣にいる人のようにやり取りしていても実際に会ったことは一度もありません。おそらく一生会うことはないでしょう。会ったこともない人の家族構成や仕事や趣味が分かるということは疑問を持たなければ何の問題もないことですがひとたび疑問に思った時それはとんでもないことだと気付くのです。普段何気なく使っているクレジットカード情報が筒抜けであったり、携帯電話の番号から住所や名前を割り出されたりは日本では日常茶飯事ですね。一度は経験した方も多いはずです。この国では個人情報はダダ漏れです。SNSでペットの写真を公開したり、今日はどこへ行ったとか何を食べた等を楽しくやり取りしている内は何の問題もありませんが、ひとたびそれらが重要なプライバシーと化し守らなくていけなくなった時、もはやなす術は何もないのです。
ツイッターをはじめあらゆる情報を集約しようとするグーグルの取り組みは、突き詰めれば家や車や顔などの外形だけでなく、趣味嗜好を含めた性格や内面の心理まで世界中の人にさらけ出すネットサービスとなり、ひとたびネットにつなげればすべてが第三者に伝わってしまう恐ろしさを秘めています。人類最大の発明といわれる核兵器が使ったら終わりのようにグーグルのサービスはネットにつなげたら終わりのサービスにまで行きつくことでしょう。そのときに気が付いては遅いのです。世界中でネットをやめようという運動が起こってからでは遅いのです。なぜならネットに蓄積された個人情報は核兵器のように壊してなくすことはできないからです。

2013/11/23

グーグル・ブックスと著作権を考える

2013-11-21 23:28:10 | 報道/ニュース
14日(日本時間11月15日)ニューヨークの連邦地裁は、「グーグル・ブックス」は著作権法に違反したとする作家団体の訴えを棄却しました。グーグルは書籍をスキャンするに当たって著作権保持者の許可を得ていなかったが、そうした懸念よりも重要な項目がある。「グーグル・ブックス」によって学者は大量のデータを分析し、書籍へのアクセスを保持、拡大することが可能になり、新しい読者層を生みだし、作家や出版社に新たな収入源をもたらすと述べ「グーグル・ブックスは公益に大きく貢献すると思う」と記しています。つまりグーグルの取り組みは著作権法の下での「正当な利用(フェアユース)」に値する。というものでした。 
2003年に計画が発表されて以来10年、大きな節目の判決になりました。そもそも「グーグル・ブックス」ってなに?と思われる方におさらいです。「グーグル・ブックス」は世界中のすべての書籍をデジタル化、つまりデジタルブックとしてインターネット上に公開、誰でも世界中の書籍が読める仕組みです。著作権の切れたものは全文を、著作権の生きているものは一部をすでに公開しています。その数2000万冊以上というから驚きです。今回の判決は著作権保持者には納得のいかないものかもしれませんが、著作権と公益のどちらが重いかを示すひとつの目安となる判決ですね。
日本にも「青空文庫」があります。今年8月に61才で亡くなった富田倫生(みちお)さんが呼びかけ人となってつくられたデジタルブックで日本の書籍およそ1万2000点を自由に読むことができます。「青空文庫」の場合は著作権の切れたものに限定しています。
ところで一般的に著作権のあるもの著作権のないものという言い方をしますが、著作権は作家の死後何年後まで残るものなのでしょう?実は日本と欧米では違います。日本は作家の死後50年とされていますが、アメリカや欧州では70年です。もともとアメリカも日本同様50年でしたが1998年に延長され今は70年とする国が多くなっています。この著作権保護期間については現在交渉が始まっているTPPでも議題となることは必至です。
では70年と50年ではどう違うのでしょう?アメリカが世界で稼ぐ印税は年間1200億ドル(12兆円)とも言われ自動車や農産物を上回る金額です。これを50年に戻すとアメリカの国際収支は大きく下がります。ディズニーのミッキーマウスや「くまのプーさん」やハリウッド映画が世界で稼ぐ著作権料は桁外れに大きいからです。そのためアメリカは政治的判断により70年に延長しそれを守りたいのです。TPPはすべての参加国の自由化を目指していますから当然日本にも70年の保護期間を迫ってくるでしょうね。
では、日本が70年になるとどう変わってくるのでしょう?日本の著作権使用料の国際収支は年間5800億円もの赤字と言われています。日本の赤字がさらに増えます。「青空文庫」で読める書籍が増えません。吉川栄治さんの作品が読めません。50年と70年では20年も違います。その間に必要な文化の発展が阻害されてしまいます。古い作品に基づく新しい創作もできません。つまり「公益」が大きくブロックされてしまうことになるのです。「青空文庫」の富田さんの思い描いた著作権の切れた作品を広く無料で公開することにより多くの作品に触れてほしいと言う夢がしぼんでしまいます。
ボクは以前からアメリカの70年はどう考えても長い、日本の50年でも長い、もっと保護期間を短くしてより多くの人が本と接し誰もが文化を知ることができるようになればと思っていました。大正や昭和のはじめの話をされてももうみんなその頃を忘れてしまっています。でも20年や30年前のことだったら覚えていますね。伊勢神宮の遷宮も20年に一度です。それは文化の継承ができるぎりぎりの年数なのです。アメリカの裁判所が「公益」を重視するならTPPでも「公益」にかなう交渉に乗ってほしいものですね。

2013/11/21