ボクは雑草です

シフトクリエイティブ社長のブログです。

3D立体映像テレビ

2010-03-11 21:29:11 | 報道/ニュース
映画「アバター」の好評に合わせるかのように、この4月以降パナソニック、ソニー、サムスンなどが3D立体映像テレビを発売します。技術の進歩の速さは地球の回転の速さを超える勢いです。いやはやちょっと速や過ぎやしませんか?
そもそもテレビが立体映像になることを私たちは望んでいたのでしょうか?今でもアナログがいいと思っている人は大勢います。ところがテレビは地デジ地デジと大騒ぎしています。アナログがなくなるとなればデジタルで見るしかない、余分な出費で大変と思っている人のほうが断然多いのです。そこへきて今度は3D立体映像テレビが登場してきました。今は専用メガネが必要ですがそのうちメガネの必要もなくなるでしょう。
「アバター」の監督ジェームス・キャメロンさんは、「これからの映画はすべて3Dになる。」と断言しています。実はボクもそう思います。白黒の映画がカラーになったように3Dの技術が一般的になってしまえばもう2次元の映像を作る必要がなくなるからです。でもこれは映像制作の話で、これを情報発信というテレビに置き換えるのはちょっと難ありと思われてなりません。テレビでブルーレイや映画を見ているだけならそれは大いに有りなのですが、いつか朝の情報番組まで3D立体映像になったらと思うとちょっとゾッとするからです。
少し前まで子どもはおじいさんからおばあさんから親や兄弟から絵本を読んでもらって育ちました。そして絵本に描かれているやさしい絵から想像して夢を空想していました。空想しながら読んでくれている人の温かい心やぬくもりを感じていました。それが今は小さなときからテレビゲームです。しかもその画像は想像を超える速さで進化しいまやリアルな立体的アニメが普通です。同時にかつて空想していた時間が急速に消えていきました。ぬくもりを感じている暇もありません。
技術が進歩するのは歓迎されることですが、もしそれが人間として大事なこと大切なことを消してしまうことになったら何のための技術進歩でしょうか。まるでフィルムのように艶やかなハイビジョン画像とハイビジョンを持ち上げていたとき、ボクは、ならフィルムでいいのにと思いました。人の眼は物を立体で見ているから人間にとって立体映像の方が心地良いなどと言っている人もいますが、やがてその人たちもそうではないことに気付くでしょう。なぜなら私たちは美しい風景の写真を見たとき、遠くの山々も緑の木々も川の清流も苔のついた岩も十分立体として感じとっているからです。それは私たちに想像する能力とそれを楽しむ能力があるからです。ボクは人間から想像を楽しむ能力を取り去ってしまうのが3D立体映像のように思えてなりません。写真家が今でも白黒写真で表現するのはそこからその奥にある何かを感じ取って欲しいからです。
急激な技術進歩と生き物としての私たち人間の感性、うまく付き合っていかないと心の進歩が止まります。

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