ソムタム学級通信 ★さちえのタイ生活★

2010年6月より青年海外協力隊、養護隊員としてタイへ。バンコクより北へ450キロ東北部のコンケンで日々試行錯誤の記録。

泡盛から思う タイ

2011年11月20日 16時27分04秒 | タイ文化
日本にいる間、「タイ」という文字やタイとの関わりをよく目にした。

それまでも日本にいた私の周りに当然のようにあったはずのものだが、
タイに行ったから、タイとの関わりが深くなったからこそ、
それまで当たり前にあり、通り過ごしていた「タイ」という言葉によく気がつくようになった。

タイから輸入または製造輸入されているものは、洪水危機の折、
日本にも様々な影響が出るとニュースで連日報道したとおり、
エビやイカなどの海産物から、カメラや車などの部品などなど。


そういうもの以外で、こんなところにタイがあったのかと驚いたことがあった。
それは、日本で最もタイに近い場所、沖縄にあるもの。
       


沖縄のお酒、泡盛。
泡盛は、沖縄奄美諸島、台湾で製造されている蒸留酒。
その原料が、輸入したタイ米なのだ。
     
    

日本では、お酒を造る際に外国米を使うことは禁じられているのだが、
泡盛だけはタイ米でないとこの味を造ることができないため、
いったんは禁じられたものの、昭和初期以降は特例としてタイ米の使用を許されているのだそうだ。
そもそも日本政府は、戦後一貫して米の輸入を禁止してきた。
平成5年の米の緊急輸入はまだ記憶に新しいが、沖縄ではずっとタイ米の輸入が行われ、
琉球の伝統、泡盛の原料としてタイ米が使われてきた。

酒の蒸留技術は14世紀後半に、タイ(当時はシャム国と呼ばれた)から琉球王国にに伝えられた。
それとともにタイ米、貯蔵用の甕などがもたらされ、琉球の気候と黒麹を使った独自の製法により、泡盛が誕生した。
泡盛は、500年以上の歴史を持つ国内最古の蒸留酒で、焼酎などのルーツとなっている。

長い歴史の中で、琉球王国から、日本や中国にも献上されてきたものだ。
      


泡盛の味わいを作り出すために必要なタイ米。
日本の米より脂質やタンパク質が少ないタイ米でないと、泡盛にはならない。
日本にありながら、日本のお酒でありながら、タイという国なしではあり得ない。

はるか南の沖縄の国では、昔々からタイと交流し、今もタイとしっかりとつながっていた。
     




沖縄では、お菓子の材料もタイのもち米を使っていることが多かった。
八重山諸島、離島の名物、月桃餅。
原材料に「タイ米」と書いてあるのにはびっくりした。
イサーンで、コンケンで、いつも食べていたカオニャオが、沖縄の離島に。
       



つながっている、タイと日本。
タイといえば、今は洪水で受けた被害で、その影響が日本にどれだけあるか、
どれだけ日本がダメージを受けるかばかりが報道されていた。

けれど、
遠く遠く昔から、人と人は国を超えて言葉をこえて、教えあい技術を渡しあって生きてきた。
言葉も伝わらない中、きっと身振り手振りで、一緒に造り、一緒に食べ、一緒に驚き、
ともに生活して互いに学びとっていったことなのだろう。
協力隊のお手本のようじゃないか。

国対国ではない、利益と損得じゃない、
かつて、もっと人間同士のレベルで、人間と人間の関わりをもって生きてきたのだと、
この日本で見つけた「タイ」から思う。
     



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