いとゆうの読書日記

本の感想を中心に、日々の雑感、その他をつづります。

青い月のバラード  加藤登紀子 著

2014年01月14日 | その他
おくればせながら、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

年末から年始にかけて目の回るような忙しさの日々でしたがどうにか一段落と思って今日はやっとPCに向かうことが出来た次第です。本当に今回は久しぶりの更新となってしまいました。

さて、今回は加藤登紀子さんの「青い月のバラード」です。
去年の秋、義父母の家で偶然、登紀子さんが歌っている姿がテレビに映し出されているのを見て、急に懐かしく感じられました。(ここ最近、テレビ番組を見ることなどほとんどありませんでした。)

登紀子さんの存在を知ったのはもう40年以上前でしょうか。当時はまだ白黒だったテレビ画面で登紀子さんの姿を拝見した時、母が「東大の学生さんだそうよ」と言っていたことを思い出します。私はまだ小学5~6年か中学生くらいでしたがなんとなく強烈な印象があり記憶に残りました。そして私は登紀子さんのことをずっと自分の意志でしっかり生きていく素敵な女性として見てきました。

この本は登紀子さんが2002年に亡くなった夫の藤本敏夫さんとの出会いから結婚そして永遠の別れの日が来るまでを書かれたものです。
それは戦後の高度成長期の日本社会でたくましく生きてきた人生の先輩たちの物語のように感じられる部分もありますが、登紀子さんが一人の女性として結婚して子供を産み、家庭を築きながら、しっかりと自分の人生を歩んできた様子が感動的です。

私がまだ若かった時、登紀子さんの藤本氏との獄中結婚を知った時は、「あれまあ、大変な人だねえ。」と言った母の言葉を聞いて同意もしなければ批判もしませんでした。「そんな生き方もあるのかなあ。でも、勇気ある人だなあ。」くらいだったでしょうか。

私は藤本氏のことをほとんど知りませんでしたので、この本で初めて素敵な人だと思いました。ただ、本を読みながら、登紀子さんが結婚生活の中で、多くの女性が経験する悩みを同じように体験し、夫との関係を模索されていたことには、とても共感しました。

1968年、日本では明治百年と言われた年ですが、学生運動の全盛期、世界中でも大きな事件が起きました。プラハの春、チェコ事件、パリ5月革命、ベトナムの反戦運動も世界中に広がり、中国では文化大革命のまっただ中でした。翌年の安田講堂攻防戦はテレビでも放映されていたので、じっと見ていた記憶があります。

私がまだ子供で漠然と変わりつつある世界を見始めた頃、登紀子さんは藤本氏と出会いました。この本には藤本氏とともに登紀子さんが歩んだ人生が凝縮されているような気がしました。青い月のバラード 詩も素敵です。