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総革本の話 はじまり

2009年05月12日 23時57分49秒 | Weblog
佐々木桔梗氏が『総革本の話』を表したのは1957年(昭和32年)8月のこと。プレスビブリオマーヌ刊行第二冊目です。四洋洞名義の鳥居昌三詩集『喜劇の季節』を含めれば、第三冊目の刊行物となります。限定部数145部で、その内の120部が白総革装訂本、他は略装版でした。いずれも特漉本鳥ノ子紙を使用した経年変化に強い造本となっています。ただ、白色の革に汚れが付きやすく、発行当時から佐々木桔梗氏を悩ませたようです。そのためでしょう。後日著者の手により、汚れが目立たない青染総革装訂本を若干と茶総革装訂本10部(1965年、昭和40年2月)が出されます。この10部本には、オーストラリア産のオパールが嵌入され薔薇色の革と蛇皮が配置されています。



『総革本の話』 佐々木桔梗 プレスビブリオマーヌ 
1965年(昭和40年)2月 オパール嵌入茶総革装訂本10部本


総革本が大好きだった私は、白総革装訂120部本の『総革本の話』を入手し、ワクワクしながら愛読しました。しばらくして、オパール嵌入茶総革装訂本10部本も入手します。

そうする内に、少し大胆な発想が心の中に芽生えます。『総革本の話』掲載本をすべて入手しようという試みです。しかし、その思いは桔梗さんのお言葉で消えてしまいました。

ある時、桔梗さんに
「掲載本はすべて所蔵していらっしゃるのですか」
と、お聞きしたところ、
「雲散霧消してしまいました」
とのこと。そして、
「人づての情報から掲載した入手不可能な本もあります」
とおっしゃいました。
ですから、すべて入手しようという試みは、早くも挫折してしまいました。

この下りは、江戸艶本を初めてまとめて紹介した渋井清氏の1932年(昭和7年)刊行の『ウキヨエ内史』について、林美一氏が掲載書影について問い合わせたときの答えと似ていました。

林美一氏が渋井清氏に
「掲載本はすべて所蔵していらっしゃるのですか」
お聞きしたところ、
「撮影後は雲散霧消してしまいました」
とのこと。

とは申せ、総革本を目にすれば入手を心がけました。20年以上も経た現在、運よく入手できた珍なる本もございます。そこで、誠に中途半端ながら、私のささやかな成果を当ブログで紹介していきたいと思います。
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