堀口大學の訳でサン・テクジュペリの『夜間飛行』が第一書房から出版されたのは1934(昭和9)年7月17日であった。
この装訂を担当したのが第一書房社主・長谷川巳之吉と同郷の越後出身の亀倉雄策である。
このとき彼は19歳。
彼曰く「長谷川さんから装訂を依頼された。
第一回がアントワース・サン・テグジュペリの『夜間飛行』だった。
私のデザインは枯れ木が横に倒れていて、上空に白い雲が浮かんでいるものだったが、長谷川さんの意見で南十字星に直された。
なにか通俗的で嫌だったが、小説の主題になる地方に南十字星が輝いていると言われては仕方がなかった。
それでも5円の装訂料を生まれて初めてもらった」という。
後に彼は日本を代表するデザイナーになるが、仕事としてのデザイン・デビューが、第一書房であったわけだ。
亀倉雄策の処女作をご覧頂こう。
『夜間飛行』 サン・テクジュペリ著 堀口大學譯 1934年(昭和9年)7月17日
初版 2500部 195×134ミリ 新四六判 179ページ 1円(亀倉雄策装訂)
亀倉雄策のデザインで生かされているのは「白い雲が浮かんでいるもの」だけかもしれない。
その後、彼は第一書房の看板ともいうべき「自由日記」の装訂もやらせてもらえるが長谷川巳之吉の強い個性の影響を受けたということであろうか、いずれの装訂からも後年の活躍を推測させる要素は余り感じられない。
『夜間飛行』は初版から3年後に第2版が上梓されるが、そこには亀倉雄策のデザインは採用されていない。
昭和10年代に第一書房が数多く手がけた書籍に共通の「背バクラム装訂、平輸入紙、差込函」という装訂となっている。
『夜間飛行』 サン・テクジュペリ著 堀口大學譯 1937年(昭和12年)6月15日
第2版 1000部 182×136ミリ 函 179ページ 1円20銭
初版、第2版いずれの装訂も「私」は余りピンと来ない。残念ながら感心する内容ではではないよう。
サン・テグジュペリは、1944年アメリカ空軍の戦闘機であるP-38ライトニングに搭乗中、ドイツ空軍のメッサーシュミットBf109に撃墜された。
また、P-38ライトニングは、1943年前線の視察に訪れていた連合艦隊司令長官・山本五十六が搭乗する一式陸上攻撃機をブーゲンビル島上空で、護衛のゼロ戦を振り切って撃墜させた事でも知られている。
一式陸上が、メッサーシュミットを撃墜させれば、三すくみが完成する。
が、翼の部分にガソリンタンクをゴムカバーなどなしで設計された一式陸上は、米軍からライターと呼ばれたほど引火しやすい機体のため、戦闘機を撃ち落すなど在り得ぬ話。三すくみは決して成立しない。
この短い文章の中で、越後出身者は長谷川巳之吉、堀口大學、亀倉雄策、山本五十六、「私」と5名も登場するのには驚かされる。
この装訂を担当したのが第一書房社主・長谷川巳之吉と同郷の越後出身の亀倉雄策である。
このとき彼は19歳。
彼曰く「長谷川さんから装訂を依頼された。
第一回がアントワース・サン・テグジュペリの『夜間飛行』だった。
私のデザインは枯れ木が横に倒れていて、上空に白い雲が浮かんでいるものだったが、長谷川さんの意見で南十字星に直された。
なにか通俗的で嫌だったが、小説の主題になる地方に南十字星が輝いていると言われては仕方がなかった。
それでも5円の装訂料を生まれて初めてもらった」という。
後に彼は日本を代表するデザイナーになるが、仕事としてのデザイン・デビューが、第一書房であったわけだ。
亀倉雄策の処女作をご覧頂こう。
『夜間飛行』 サン・テクジュペリ著 堀口大學譯 1934年(昭和9年)7月17日
初版 2500部 195×134ミリ 新四六判 179ページ 1円(亀倉雄策装訂)
亀倉雄策のデザインで生かされているのは「白い雲が浮かんでいるもの」だけかもしれない。
その後、彼は第一書房の看板ともいうべき「自由日記」の装訂もやらせてもらえるが長谷川巳之吉の強い個性の影響を受けたということであろうか、いずれの装訂からも後年の活躍を推測させる要素は余り感じられない。
『夜間飛行』は初版から3年後に第2版が上梓されるが、そこには亀倉雄策のデザインは採用されていない。
昭和10年代に第一書房が数多く手がけた書籍に共通の「背バクラム装訂、平輸入紙、差込函」という装訂となっている。
『夜間飛行』 サン・テクジュペリ著 堀口大學譯 1937年(昭和12年)6月15日
第2版 1000部 182×136ミリ 函 179ページ 1円20銭
初版、第2版いずれの装訂も「私」は余りピンと来ない。残念ながら感心する内容ではではないよう。
サン・テグジュペリは、1944年アメリカ空軍の戦闘機であるP-38ライトニングに搭乗中、ドイツ空軍のメッサーシュミットBf109に撃墜された。
また、P-38ライトニングは、1943年前線の視察に訪れていた連合艦隊司令長官・山本五十六が搭乗する一式陸上攻撃機をブーゲンビル島上空で、護衛のゼロ戦を振り切って撃墜させた事でも知られている。
一式陸上が、メッサーシュミットを撃墜させれば、三すくみが完成する。
が、翼の部分にガソリンタンクをゴムカバーなどなしで設計された一式陸上は、米軍からライターと呼ばれたほど引火しやすい機体のため、戦闘機を撃ち落すなど在り得ぬ話。三すくみは決して成立しない。
この短い文章の中で、越後出身者は長谷川巳之吉、堀口大學、亀倉雄策、山本五十六、「私」と5名も登場するのには驚かされる。
こちらの記事に載っている、
『夜間飛行』 サン・テクジュペリ著 堀口大學譯 1937年(昭和12年)6月15日 第2版
この本を探しております。
古書店やWEBの古書店等探しまわっているのですが、
見つからず・・・。
唯一ネット上で画像等明確に載っているのがこちらの記事でしたので、
投稿者様に詳細をお聞きできたらとコメントさせていただきます。
この本の現在の所在についてお聞きしたいです。
また、まだ投稿者様がお持ちでしたら、さらに詳細お伺い出来たらと思います。
6年前の記事に急なコメントで大変恐縮ではありますが、
何卒宜しくお願い致します。
現在もお持ちなのですね。
詳細については、自己紹介欄に記載されているメールアドレスに送らせていただきました。
大変お手数ですが一読していただければ光栄です。