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曲亭馬琴の読本『曲亭伝奇花釵児』 

2009年10月15日 00時51分54秒 | Weblog
曲亭馬琴の読本『曲亭伝奇花釵児』を紹介します。
きょくていでんきはなかんざし、と読みます。
馬琴の初期読本の一つで、中国の伝奇小説から筋を頂戴した翻訳本といった内容であります。

徳田武氏の馬琴解説の中で、『曲亭伝奇花釵児』は中国清時代の戯曲者、李笠翁の『笠翁伝奇十種曲』、「玉掻頭伝奇」がネタ本であることを指摘。
さらに、馬琴が晩年まで号の一つとして使った蓑笠翁が、李笠翁の名前から発想を得て使用したものと看破されました。

馬琴は原本の仕様である清の戯曲を真似て、歌舞伎の正本風に仕上げました。
正本というのは、歌舞伎の台本のことで、話の筋以外にト書きが書き加えられています。

馬琴が36歳のときの作品『曲亭伝奇花釵児』は、その後大家となった馬琴の手元にすら原本がないほど、当時から稀本化してしまいます。
当然ながら、私の手元にもこの本はありません。
現存数はそうありますまい。
が、袋の断片を何故か持っております。
今回はそれを紹介しましょう。
断片と馬鹿にしないでね。
書影が取り上げられるのは、初めてのことでしょうから。



『曲亭伝奇花釵児』袋 一名彼我合奏曲 曲亭馬琴 画工不明
1803年(享和四年、文化元年)甲子年春正月発行


断片には『曲亭伝奇花釵児』のうち、ご覧の通り「○亭(て)○奇(き)な釵(かん)し」と読め、主人公の一人玉苗でしょうか、烏帽子姿の美女が描かれています。
さらに、「一名彼我合奏曲」の見出しが左に配置されています。

この袋に、画工の名前でも記入されていたならば、世紀の大発見なのですが、残念ながらありません。
というのも、これだけ研究が進んでも画工名は不明だからであります。
おしい!!

徳田武氏は、林美一先生、鈴木重三先生とならび私の好きな研究者の一人でしす。
決して亡くなってはいません。
前田愛大先生と間違えてしまいました。
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