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Rubaiyat挿絵本の変遷 Edmund H.Garrett

2008年06月16日 22時27分49秒 | Weblog
1898年、ネイサン・ハスケル-ドール(Nathan Haskell Dole)の『RUBAIYAT OF OMAR KHAYYAM』(L.C.PAGE AND COMPANY)の中で、ギルバート・ジェイムスの他にもう一人の画家がイラストを提供しています。彼の名はエドマンド・ヘンリー・ギャレット(Edmund Henry Garrett、1853-1929)。

ジェイムスと同じく6枚のイラストを描いてます。その時、ギャレットは48歳。脂の乗り切ったベテランで、アメリカでは著名なイラストレーターでした。イラスト2枚を紹介します。

一枚目。

人生の深遠を思索し悩み続ける美しい肢体を持つ半裸の若者。ギリシア彫刻の如き彼の周りをネイティブ・アメリカンの姿をした不可思議な三人が、仔細ありげに一様に手で口をつぐむポーズを取っています。一番手前の人物は鷲の羽を纏っています。若者が座る半円状に溝の刻まれた重量感溢れる大理石の椅子。その後ろにも半円状に宇宙を思わせる妖しい光が薄ぼんやりと瞬き、どこかキューブリックの「モノリス」を髣髴とさせる近未来的なイメージを抱かせるイラストです。ギャレット描く6枚の中では抜きん出た作品でしょう。フィッツジェラルド第2版本の第35歌(初版本、第3~5版本では第32歌)を表しています。

二枚目。

天国から再び上ってくる美しい月とその姿に見ほれる若い男女。少しメローなイメージを持つ男女の愛を描いたフィッツジェラルド第2版本の第109歌(初版本では第74歌、第3~5版本では第100歌)。ありふれた内容のイラストです。



第35歌 XXXV
There was the Door to which I found no Key:
There was the Veil through which I could not see:
Some little talk awhile of ME and THEE
There was-and then no more of THEE and ME.



第109歌 CIX
But see! The rising Moon of Heav'n again
Looks for us, Sweet-heart, through the quivering Plane:
How oft hereafter rising will she look
Among those leaves-for one of us in vain!

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