笑うかどには福きたる

日常生活で見たこと、聞いたこと、感じたことを牧歌的にのんびりと書いています。

「源氏物語の時代」読了 ~一条天皇かく戦えり

2024年08月11日 10時52分55秒 | 読書
副題が「一条天皇と后たちのものがたり」とあるけれど、7歳で帝位についた一条天皇が在位25年間を彼を取りまく「キサキ」たちと共に、「いかに戦ったか」が書かれた本である、というのがワタクシの感想です。だからワタクシ的サブタイトルは「一条天皇かく戦えり」。

美しすぎる一条天皇


ドラマで塩野瑛久さん演じる一条天皇の、「心に炎を持ちつつも、嫋やかで優美なビジュアル」がかな~り分厚いバイアスになっていることは間違いないのですが(^_^;)、一条天皇の在り方(自分の想いを死守するための戦い)は、当時としては実資殿でなくても、「マジかよ、これってとんでもない「事件」だろーが!!!!!」、だったことでしょう。

本の後半からは彰子も登場してくるので、当然紫式部についても描かれることになるのですが、ここでふと思ったのは、作者の山本淳子さんはこの分野に「どの入口から入ったのだろう」ということ。

例えば、どこかの時点で「源氏物語」の世界にハマり、そこから遡ってその時代研究に踏み込んだのか(帰納法的な?)。それとも「紫式部と清少納言って、なんでライバル関係って言われるんだろ」に興味を持って研究に踏み込んだのか(演繹法的な?)。

それにしても、一連の作品を読んでいると興味の赴くままにその範囲を広げ、深く掘り下げてゆく楽しさは、本当に格別で幸せな時間の過ごし方だな~、って思います。間違いなく歴史や文学好き女子の憧れの生活ですよね~(^^)
山本さんは、高校教師を辞めて研究者になった、ということですから、「自分の想いに正直に生きている」という地平線でみれば、大げさかもしれないけれど一条天皇に通じる部分はあるのかもしれません。彼女の「スタート地点」、知りたいな~。

さて、ワタクシの涙腺が崩壊したページは一条天皇が臨終で詠んだ歌の解釈のページ(P259-P264)でした。あ~、こんな風に研究者は解釈できるんだ。。この結論を得た研究者は心から「この研究してきてよかった」と思えたんじゃないかな、ってくらい、ワタクシも感動しちゃいました。
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「煙とも雲ともならぬ身なりとも 草葉の露をそれと眺めよ」 定子の歌
「露の身の風の宿りに君を置きて 塵を出ぬることぞ悲しき」 一条天皇の歌
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たしかに、定子への返歌になっている。。。(ToT)

ドラマでは一条天皇はまだ存命でまだまだ道長と戦わなければならないので、今後どんな風に描かれるのか、楽しみなところであります。

あと、ドラマでは藤原道長について、従来的な、権力獲得のためならどんな方法も辞さない「悪役的要素」を一切外した進め方をしてますよね。ドラマの道長は多分今後もこの路線で行くんじゃないかな。じゃ、有名な「望月の歌」の「欠けることのない望月」がなにを象徴しているのか。私は、まひろへの気持ちとか直秀への想い、自分の中の「揺るがしたくない志」みたいなものじゃないのかな、と勝手に想像しています。「どんなに立場が上がろうが、かつての自分の気持ち(や、志)が欠けることはないんだ」ぞ。みたいな。

じゃ、山本流「道長解釈」はどうなのよ、ということで、続けて「道長ものがたり」に入りま~す(^^)/



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