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明後日は十三夜

2007-10-21 13:31:39 | 朗読あれこれ


先月25日の【朗読もの】にも書きましたが、
その日、十五夜を愛でたみなさん、
あさって10月23日は十三夜ですからお忘れなく。
片月見は良くないとされますからね。

十五夜にくらべて晴れる確率が圧倒的に高いという
十三夜。
楽しみです。

十三夜といえば思い出すのが
樋口一葉の『十三夜』。
十三夜の晩に、阿関(おせき)は両親に胸の内の思いーーー
「鬼のやうな我良人」との離縁を申し出ます。
母親はやはり女同士、娘の心を慮って
相手の男の言動に烈火のごとく憤ります。
しかし父親は、

「愁(つ)らからうとも一つは親の為弟の為、太郎という子もあるものを
 今日までの辛棒がなるほどならば、是れから後とて出来ぬ事はあるまじ、
 離縁を取つて出たが宜いか、太郎は原田(阿関の嫁ぎ先)のもの
 其方は斉藤の娘、一度縁が切れては二度と顔見にゆく事もなるまじ、
 同じく不運に泣くほどならば原田の妻で大泣きに泣け、
 なあ関さうでは無いか、合点がいつたら何事も胸に納めて
 知らぬ顔に今夜は帰って、今まで通りつゝしんで世を送つて呉れ、
 お前が口に出さんとても親も察しる弟も察しる、
 涙は各自(てんで)に分て泣かうぞ」

           岩波文庫『大つごもり・十三夜』より

と云って阿関を説き伏せ、阿関も我が子太郎を思って
また両親に詫び、何とか離縁を思い留まります。

あぁ、何とききわけがいいんでしょう。
現代では考えられない我慢強さ。
ただ親の論理はいつの世も普遍なのかしら・・・。

しかも物語はこのあと何とも切ない場面を迎えるのです。
阿関が帰り道にひろった車夫は、幼なじみの録之助でしたーーー。
ここからは、どうぞみなさん『十三夜』を
お読みください。
できれば十三夜の月夜に。