先月25日の【朗読もの】にも書きましたが、
その日、十五夜を愛でたみなさん、
あさって10月23日は十三夜ですからお忘れなく。
片月見は良くないとされますからね。
十五夜にくらべて晴れる確率が圧倒的に高いという
十三夜。
楽しみです。
十三夜といえば思い出すのが
樋口一葉の『十三夜』。
十三夜の晩に、阿関(おせき)は両親に胸の内の思いーーー
「鬼のやうな我良人」との離縁を申し出ます。
母親はやはり女同士、娘の心を慮って
相手の男の言動に烈火のごとく憤ります。
しかし父親は、
「愁(つ)らからうとも一つは親の為弟の為、太郎という子もあるものを
今日までの辛棒がなるほどならば、是れから後とて出来ぬ事はあるまじ、
離縁を取つて出たが宜いか、太郎は原田(阿関の嫁ぎ先)のもの
其方は斉藤の娘、一度縁が切れては二度と顔見にゆく事もなるまじ、
同じく不運に泣くほどならば原田の妻で大泣きに泣け、
なあ関さうでは無いか、合点がいつたら何事も胸に納めて
知らぬ顔に今夜は帰って、今まで通りつゝしんで世を送つて呉れ、
お前が口に出さんとても親も察しる弟も察しる、
涙は各自(てんで)に分て泣かうぞ」
岩波文庫『大つごもり・十三夜』より
と云って阿関を説き伏せ、阿関も我が子太郎を思って
また両親に詫び、何とか離縁を思い留まります。
あぁ、何とききわけがいいんでしょう。
現代では考えられない我慢強さ。
ただ親の論理はいつの世も普遍なのかしら・・・。
しかも物語はこのあと何とも切ない場面を迎えるのです。
阿関が帰り道にひろった車夫は、幼なじみの録之助でしたーーー。
ここからは、どうぞみなさん『十三夜』を
お読みください。
できれば十三夜の月夜に。