林間教育通信(「東大式個別ゼミ」改め「シリウス英語個別塾」)

私立中高一貫校生徒を対象とする英語個別指導塾。小田急線の東林間駅(相模大野と中央林間の隣駅)から徒歩3分。

理系英語長文集として最高!(1) (『医歯薬系英単語600』という英語長文集)

2012年11月08日 | 英語学習
受験英語を教えるというのは、多くの場合ジェネラリストになると言うことではないか、そんなふうに思っている。初心者には英文法のようなものをしっかりと教えていれば良いのだが、あるレベル以上になってくると、英文法的な知識だけでは対応できなくなってくるからだ。難関大学受験準備のために長文英語テキストを読むようになると、一つ一つの英文の背景となっている様々な知識や教養が問われてくるのだ。

よく教科書「で」学ぶのかそれとも教科書「を」学ぶのかという議論がある。教科書から「形式的論理」を学ぼうとするのか、それとも教科書に書かれてある「内容」を理解するのかということだ。国語や外国語教師の最大の務めは、やはり前者の「形式的論理」を教授する事かもしれない。しかし、「形式的論理」のためだけに人は長文を読むことができない。「内容」が面白いからこそ、言葉を学びたい、本を読みたいと思うようになるからだ。結論的に言えば、教科書「で」学び教科書「を」学ぶようにしたいものだ。

そう考えると、英語や国語を教える者は、ジェネラリストにならざるを得ないと思う。要するに何でも屋だ。あまり尊敬される仕事ではないかもしれないが、必要不可欠な役割であろう。

理系大学受験生に受験英語を教えるならば、仮に文系出身だったとしてもやはり理系的教養と理系的英語に馴染んでおくべきだろう。たとえば非常に良く取り上げられるのが、進化論や脳科学のテーマだ。

また、なぜか私大医学部で非常に良く取り上げられているのが、ハチだ。これもぜひ勉強しておきたい。というのも、私の調べた限り少なくとも東京女子医科大学、東海大学(2009年)聖マリアンナ医科大学(2011年)で英文が出たからだ。(以前ブログでよく取り上げた「松島&町山のみ公開映画をみる」で放映された「コロニー」[このブログを参照してください]はぜひ見ておきた作品だ。 )

私は、そんな風に思いながら、いつも何かよい本を探している。最近では Oliver SacksのMusicophilia: Tales of Music and the Brain  という CD 本を注文してみた。残念ながらサンディー暴風雨のせいか CD がまだアメリカから届かない。

しかし、これらの諸テーマの文章を受験生に読ませることができるかというと、多くの場合ちょっと厳しい。文書が長すぎるというのも普通の受験生にとって辛いだろう。何よりも注釈や和訳がないと、読み進められないだろう。

ところが、最近良い本を町田の久美堂で見つけた。駿台予備校の船岡先生が編集した『最新 医歯薬系英単語600(入試によく出る)』という本である。一見すると単語集のようであるが、実のところ医学系の英語長文(長文と言っても、本当の長文ではなく、普通の受験生でも読めないことはないくらいの長文である、念のため)のアンソロジーとなのである。蜂の話は載っていないが、進化論からも脳科学もオリバー・サックスもジョン・レイティも話題に取り上げられている。

惜しむべきは『医歯薬系英単語600』というタイトルである。これでは医学部受験生くらいしか、この本を手に取らないのではないだろうか。理工系の生徒、あるいは文系の生徒であっても、ぜひ薦めたいような英文集なのだ。どんな風に素晴らしいのかということにしては、次回もう少し詳しく書いてみたい。

私立中堅一貫校と私立中堅未満一貫校とを隔てるもの

2012年04月11日 | 英語学習

私達の塾は、かつては公立の中学生や私立の中継未満一貫校の生徒も受け入れていた。しかしどう頑張っても、ほとんどの生徒はある種の問題をクリアーする事ができなかった。数学では、たとえば、方程式の応用問題はまずは不可能だった。どうしても解かなければならないとしたら、一つの問題を丸暗記する事によって対処するしかなかった。

英語の場合は、幾ら勉強させても一般動詞と be動詞の区別ができない生徒ばかりであった。一般動詞を勉強すると be動詞を忘れてしまい、 be動詞を勉強すると一般動詞を忘れてしまう。そのため、 Are you speak English?とかHe a student.とか平気で書く。

私達は、文法的理屈とパターン練習によってこの問題を克服しようと努めた。いろいろな生徒に試みはしたのだが、この問題を教育的訓練によって克服できなかった。

中堅未満の私立一貫校の生徒もほぼ同様だった。経済的に余裕がある御家庭ばかりなので、一対一の授業も可能である。私達も、もう少し努力さえしてくれば克服できる壁だとは信じて頑張ったつもりだ。しかし、それでもダメだった。

英文には必ず動詞が一つだけ必要であること、そして、動詞には be動詞と一般動詞の二種類があってどちらか一つを選ばなくてはならないこと。たったこれだけのことであるが、絶望的な鉄の壁だったのだ。

ところが、私立の中堅レベルの一貫校の生徒たちに教えてみると、事情は一転する。絶望の鉄壁は完全に溶けてなくなってしまっていることを知ったのだ。徹底的なトレーニングなどしなくても、30分や1時間の授業で簡単に飲み込んでくれる。仮に間違ったとしても、「ちょっとどこか違うよね」と指摘するだけで、生徒が自分で間違いに気がついてくれるのだ。

後付けの理屈ではどうにでもなろう。しかし、分かる生徒はすぐに判る、分らない生徒はいつまでたっても分らない、これが私達の知っている現実である。だから、英語力を伸ばせると確信できる生徒にしか私達は教えないことにしたのである。と同時に、こういう問題を克服する取り組みがなされるべきだと強く願う。



追記

2014/06/03 検索でこの記事が上位に上がることが多いようです.

塾名称とHPを変えましたので、新情報を記載しておきます。


シリウス英語個別塾(by東大式個別ゼミ)


小田急江ノ島線・東林間駅徒歩3分(相模大野・中央林間駅から一駅)

私立中高一貫校生限定の完全マンツーマンの英語個別指導塾
2014年現在の在籍生は、浅野、暁星、慶應藤沢、攻玉社、相模原中等、湘白、渋渋、白百合、洗足、森村、山手、横雙など。在籍学園は小学校6年生から高校3年生までで、英語基礎から東大・早慶・薬学部・英検準一級受験生までそれぞれ頑張っています。


「文法訳読」再々考(その3)ー忘れられた子どもたち

2012年04月10日 | 英語学習
日本の英語教育論は上位進学校(私立の御三家や準御三家レベル)ないしは中堅進学校(準御三家の下のレベルの私学一貫校、および多くの県立トップ高校レベル)の生徒が前提であると前回述べてみた。こんなことは、皆さん分かっているはずだ。あえて明言しなかっただけのことである。

ただし、そういう暗黙の前提が存在するとしたら、少々残念な事がいくつか存在する。

(1)私立中学受験と民間教育機関(予備校・塾・家庭教師)を前提とした小学校英語教育論が展開されないのは何故か?

全人口のせいぜい5-10%を考慮すればよいのであれば、当然中学受験の英語受験科目化をもっと真剣に考えるべきではないだろうか。

私立中学受験では公教育とは無関係に小学生が受験勉強に励んでいるのだ。だとしたら、公立小学校の受け入れ体制などはお構いなく、小学生が本格的に英語を学びだすようにしたら良いかもしれないではないか。受験勉強のエネルギーで優秀な小学生が英語を学べば、スゴイ可能性が開けてくるではないか。なぜ、小学校英語教育を真剣に論じないのか。もちろん、これは小学校英語推進派にこそむしろ問いかけたいことだ。

私見ではこういう議論が盛んにならないのは、私学上位校出身のエリートは英語教育に携わらないからである。彼らのほとんどはは草の根レベルの教育にも携わらないし、大学で英語教育を教えることもないのだ。教育関係の議論で唯一の著名な例外は、ら・サール出身の寺脇研氏くらいのものだったではないか。とはいえ、全く議論が聞こえてこないのは何故なんだろう?




(2)教員養成系大学の大学教官が、公立中学の英語教師や「普通の」中高の英語学習者にあまり関心を持たないのは何故か?

東京の一流大学の教官と地方国立大学の教官の見解にたいした差がないというのは、本来は望ましいものではない。巨大都市の一流エリート大学の背負う利害と関心に対抗し、彼らのクライアント(?)である、公立中学校教師候補や公立中学校の生徒の利害をバックアップしても良いのではないのか? そうでないと、ローカル大学の教員養成教育学部でありながら、中産階級(アッパーミドル階級)、学力上位層、大都市エリートの子弟のための学問(教育学)へと偏向してしまうのではないのか。学問の発展に不可欠なのは知的な対抗関係なのだ。

もっとも教員養成系大学教官にも言い分はあるだろう。彼らだって一般大衆の教育問題に関わりすぎると、専門家としての地位と立場が危うくなるだろう。現にLD(学習障害児)の研究などは実質的に不可能である。また、都会の有名大学に移るチャンスがなくなってしまう恐れもあろう。

そもそも、英語の達人を生み出す教育方法を研究することの方が数段面白いだろう。なにしろ、そちらのほうが研究者の自分研究にもなるからだ。

しかし、やはり残念だという気がする。知的な対抗相手が、地方の教育現場から出てこないものだろうか。私自身は、もはや公立中学の勉強のできない生徒の教育に関わることはできないが、本当に残念だと言わざるを得ない。
 

(3)私立中堅一貫校のボーダーラインのの生徒が顧みられない現実

A文法訳読 は不要なのかというと、やっぱり違うと思う。というのは、中堅進学校と普通の学校とのボーダーライン上にいる生徒たちがたくさんいるからである。

中堅進学校と、それより下の学力の生徒というふうな分け方をしたが、実は正確な分け方ではないのだ。というのは、私立中堅一貫校(たとえばT学園とかT学園のことです)の中には、中堅進学高校レベル(たとえば昔の県立相模大野高校)に進学できそうな生徒もいれば、進学高校には到底進学できそうもないと思われる生徒が混在している。

ボーダーライン私学一貫校の場合、丁寧な教育をすれば良いとは思う。だが、残念ながらそういう学校は少ない。むしろ「お買い得」な学校という定評を作るために、大半の生徒を犠牲にする教育をする。Treasure、Birdland、Progress21を使うかどうかで、すぐに判別できる。(ちなみに県立相模原中等学校はProgress21を利用しているそうだ。とても悲しいですね!)つまり、A文法訳読 によって、救われる生徒もたくさんいると思うのだ。

A文法訳読 なんか考えなくて良いという論者は、おそらくは県立進学高校で、「中堅」私学の悲惨な実態に疎いのではないかと想像しますが、どうなのでしょうか?

最後に一言付け加える。、私立中堅未満一貫校の場合は、文法訳読教育が有効か否かも怪しいようだ。be動詞と一般動詞の区別がどうしてもできないレベルの生徒が集まっているようだからだ。民間教育の企業秘密かもしれないが・・・。

「文法訳読」再々考(その2)―大学教員と「英語教育論」

2012年04月10日 | 英語学習
日本の英語入門者を対象とする英文訳読指導に対しては、「文法訳読」という言葉を用いることが出来ないらしいと、先日書いた。そして、こういう事態をどのように受け止めればよいのか。

そこで、以前取り上げた大津先生(慶應大学)が北海道新聞に寄稿した、文法訳読式教育擁護論を今一度読み直してみた。

いくつか興味深いことが分かる。まず、ここで論じられている文法訳読なるものは、「ある程度、複雑な構造を持った文や文章を使っての演習」と述べていることだ。(赤線でラインを引いた部分を参照のこと)。つまり、江利川先生が紹介した「文法訳読」の概念と、大津先生の見解は見事に一致しているのだ。つまり、先日の表現でいえば、「文法訳読」とはB文法訳読なのだ。

だが、私の注目するのは、少し別の箇所である。大津教授が「英語が使える日本人」という概念について肯定的に受け入れている点なのだ。「英語が使える日本人」というスローガンは、彼の論敵であるコミュニケーション英語教育派の掲げている教育理念ではないか。つまり、実用コミュニケーション的教育には反対であっても、「英語が使える日本人」という理念については土俵と見解を共有しているということだ。これは、しっかりとおさえておく必要がある。

さて、ここで思い出してもらいたいのは、普通の中高生に英語を教えたことのある者ならば誰でも知っている事実である。そう、日本の中高生の大半は「英語が使える日本人」の候補生どころではないということだ。むしろ、英語を学ぶことになんの意味があるのか不思議に思えるような者たちがかなりの生徒の現状であるということだ。真に誠実な教育者であれば、己(英語教育者)や己の仕事(英語教育)にそもそもまともな存在理由があるのかすら疑わしく思えてくるはずである。(教師本人は自覚は出来ていないが、やはりどこかで分かっていて鬱病になって入院するケースもあるらしい)。

露骨に言ってしまえば、「英語が使える日本人」にしてあげたいなと英語教師が本気で願うことができる生徒というのは、上位私立校や中堅進学校(有名私立一貫校や、県立の上位高)のトップクラスにしか生息しない。少なく見積もって同学年生徒全体の5%未満、かなり多く見積もっても20%未満だけが、「英語が使える日本人」の候補生だといえるだろう。(私の感覚すると、「ある程度英語を使える日本人」の候補は5-10%未満じゃないだろうか)

日本の英語教育論というのは、実用コミュニケーション的教育派だろうと文法訳読派だろうと、あるいは、小学校英語推進派だろうと小学校英語否定派だろうと、中~上位進学校(高校入試でいえば、標準的な模試で偏差値65以上くらいが中の進学校が中堅進学校といえるだろう)の生徒たちをどのように育て上げるかが議論の焦点であると考えるべきなのではないか。そして、大津先生も江利川先生も、実は中上位進学校の生徒に限定して英語教育論を展開していたのだ。またそうでなければ、伊藤和夫(伝説の駿台予備校講師)の英語教育論が彼らに評価され論じられるわけがないではないか。

こう考えると、すべてストンと納得が出来る。中上位進学校の生徒であれば、思想的科学的文学的含意のある複雑な英文を読む準備ができている。また、A文法訳読(≠「(本物の)文法訳読」)の諸課題、たとえば、whose pen が「誰のペン」でwhose が「誰のモノ」であると訳し分けさせる必要なども、あまり感じられない。A文法訳読などは論じるに値しないかも知れないというものだ。

日本の英語教育論が中上位進学校生徒の教育を暗黙の前提にしてしまうとしても、我々は驚くことはない。ある意味で当たり前のことではないか。教師というのは、自分が教える生徒は自分の分身であって欲しいからだ。英語教育論を論じる英語教師というのは、かつては中上位の高校で学び一流有名大学卒業しているはずだ。彼らは生徒にもある程度以上の高学力を期待する。自分の中高生時代を振り返り、中高生のときにどのような教育をしてもらいたかったのか考える。

教師がうまく教育の仕事をこなせるのは、完全に異文化に属する他者としての生徒に対するときではない。むしろ、自分の分身である後輩たちに教えるときなのだ。私の塾でも中堅校以上の生徒に限定するようになったのも、やはり、そういう事情がある。

「文法訳読」再々考(その1)―大学教員と「英語教育論」

2012年04月03日 | 英語学習
すこし前、「文法訳読(教育)」という言葉には二つのイメージがあると書いた。今あらためてもう一度書いてみると、こんなふうになる。

A
 英語入門者の文法教育のために用いるべきアプローチ。英文は原則的に単文で、それを正確に和訳することが求められる。和訳は翻訳ではなく、直訳を基本とする。なぜならば、英文を英文法に即して正確に理解することが求められているからだ。また、その和訳を用いて英訳する場合が多いので、英訳しやすいような直訳的日本語が望ましいとも言える。ここでの中心課題は、いわゆる五文型や主語、動詞、目的語、補語を理解したり、動詞、名詞(名詞節、名詞句)、形容詞(形容詞句、形容詞節)、副詞(副詞句、副詞節)、代名詞といった品詞概念を徹底することである。

B ややレベルの高い水準の英語学習者(英語中級者)を対象とする教育手法で、英文を一つ一つ丁寧に和訳させながら読解させようとするものである。このとき用いられる英文は、複数の文章から構成されるのが原則であり、ある程度まとまった知的思想的な深みのある題材がとりあげられる。古典的教材としては原仙作の『英標』(私は『英標』を用いた最後の世代だと思う)、文法訳読式の伝統の風格のある入試問題としては京都大学のものが想記されるだろう。逆に、センター試験の英文ではBの題材として相応しくなく、最低限、私大および国公立2次試験の英文がBの範疇に当てはまると考えられるだろう。

さて、私が重要であると考えているのは、Aの「文法訳読」のイメージだった。そしてこの観点から、Birldlandの問題集は非常に好ましくないと批判した。ところが、さきほど江利川先生(和歌山大学)のブログを見てみると、驚くべき事を発見してしまったのである。どうやらAの教育手法は、実は「文法訳読」とは呼ばないらしいのである。一部引用してみよう。

ヨーロッパでルネッサンスの時代(14~16世紀)から19世紀までの約500年にわたって支配的だったGrammar-translation Method(GTM方式)と,「文法・訳読式教授法」とは区別して扱う必要があることだ。

西洋のG-TMは,相互に意味的なつながりのない短文を翻訳することによって「文法を習得する」ことを主眼にしていた。これに対して,日本化されたG-TMである文法・訳読式教授法では,意味的につながりのある長めのテキストの読解を通じて「意味内容を理解する」ことを重視してきた。


やや意外であるが、ここまではっきり指摘されてしまったのである。私としても、Bは「文法訳読」であるが、Aは「文法訳読」ではないと言わざるを得ない。

では、仮にAの方式がGrammar-Translation Method(GTM方式)なのかと問われたとしたら、どうだろうか? Yesと言いたいような気もする。だが、江利川先生らの文章を読む限りはそういう雰囲気は全然伝わってこない。また、「このペンは誰のモノですか」みたいな和訳をする訓練と、中世の学生たちのラテン語の学習とは全くかけ離れた世界に思えるのだ。

とすれば、A型「文法訳読」は、公の名前を持っていないということになる。公認されていない教育方法は、存在しないも同然ではないか。私は大学の学者たちの作る学界の動向には無縁だったので、そういうことを知らずにブログに書いていたのである。私はどう考えればよいのか?


私立上位校とコミュニケーション指向の英語

2012年03月22日 | 英語学習
過去何回かにわたって、私は文法訳読式の英語教育の重要性を支持してきた。しかし、もちろんそれを無条件に支持できるわけではない。たとえば多くの県立高校では、あまりも文法訳読教育を重視しすぎているように思われる。簡単な英語を訳している暇があるならば、もっとしっかり音読したり、英作文してみる必要があるのだ。

さて今回は、私立の上位校の生徒の英語学習について、コミュニケーション能力の問題点からちょっと書いてみたい。

(1)頭で理解しているだけでは不十分

上位の私立中高一貫校の生徒は、もちろんのことながら頭の回転が速い。文法的規則を教えれば、簡単な英作文をする事ぐらいを簡単にできる。

しかし、あくまでも一つ一つ考えながら英文を出してくるに過ぎない。

英語を話すためには、それでは不十分だ。理屈で理解したモノは、体に叩く叩きこむ必要がある。上位校の生徒の重要課題である。

(2)積極的にコミュニケーションをしようとする姿勢の必要性 

英検の面接試験のチェック項目を見ると、「態度」というものがある。ちょっと理解しにくいのであるが、確かに英語によるコミュニケーション能力をチェックしようとすると、「態度」としか言えないような要素が重大であることが判る。

上位校でしっかり学び、文法力がつき英作文も出来る生徒がいるとしよう。彼ら・彼女らは、ペーパー・テストではしっかりと答案を記すことができるはずだ。

ところが一部の上位校の生徒は、英語面接でしっかりコミュニケーションする事ができないのだ。何も難しい内容について英語問答をせよと言っているのではない。例えば、how do you go to school?; How long does it take from your house to school?; What sport do you like? といった英語の質問にに応えられなかったりするのだ。

英語は使える日本人を作るためには、英文法と英文読解あるいはペーパーテストの英作文だけでは不十分だということを示しているのではないだろうか。英語におけるコミュニケーション教育の重要性を強調する議論は、難関上位校の英語教育においてはそれなりに真理を突いているように思われる。

文法訳読と中堅私学(2)ーーBirdland!

2012年03月21日 | 英語学習
英語学習にあたって文法訳読は必要不可欠である、ただしこの方法に頼りすぎてはいけない、と書いた。

日本人の中高生が英語で落ちこぼれてしまうのは文法訳読ができなくなってしまうからである。他方、英語力が伸び悩んでしまうのは、文法訳読以外の勉強を怠っているからだ。

ところで、私立中堅進学校は「お買い得」と評価され宣伝されることがある。入学時の偏差値はあまり高くないのに大学進学実績がそれなりにあるから、教育投資するに値するという意味である。しかし、実際に生徒に接して様子をうかがってみると、そんなふうにはちょっと思えない場合が多い。(もちろん大妻多摩などのように例外的に誠実さと熱心さを感じる私学もある)。現在の進学教育の矛盾が私立中堅進学校の授業に現れているようにさえ思われる。一部の生徒が伸びるのかもしれないが、他の大半が落ちこぼれても仕方ないという姿勢があるように思われるからだ。

多くの私立中堅進学校(および一部の公立中等学校)では、文法訳読が軽視されている。おそらく、中堅校内部の学力の二極化の加速化と大いに関係している。私立中堅進学校のかなりの生徒は、公立進学高校の生徒には英語力で全く太刀打ちできないように見える。というのは公立進学校(たとえば、県立大和高、座間高)に進学できる生徒は、大半が簡単な英文を和訳することができるはずだからである。



英文法教育にはいろいろな考え方があるだろう。だが私達は、英語のロジックを英語の内在的ロジックによって理解させるべきだとは思わない。むしろ、日本語に正確に直訳しながら、学習者の日本語の文法力を借りながら、英文法を理解し習得すべきだと考えている。たとえば、次の英文がある。

Whose pen is this?
Whose is this pen?

この二つの英文を適切に訳し分けることは、私立中堅校の中学生にはそれほど難しくはないはずだ。(ただし相模原の普通の公立中学生にはちょっと難しすぎる)。whose penを「誰のペン」、Whoseを「誰のモノ」と日本語に訳させながら、しっかりと理解させるべきである。それが日本の英語教育というものではないか。

日本語には助詞があるが、英語には助詞がない。だからSVOやSVCといった文型によって主語や目的語が定まっていることを教えるのが重要である。(公立中学では「主語」と言う言葉を理解できない生徒がかなりいるので、そういう教育が必ずしも有効ではない。「私の母が車を運転する」という文章で、「私の」が主語だとか、「私の」と「母が」が主語であるとか述べる生徒も一定程度存在するからである。しかし、私立中堅校には、そのレベルの日本語力の生徒は存在しないと思われる)。そして、一番最初に来る名詞は主語だから「は」または「が」をつけて訳しなさい、そして他動詞の後に来る名詞は目的語だから「を」つけて訳しなさいと教えるべきである。(繰り返しになるが、上位校にはそんな説明は不要だろうし、逆に公立中学では理解してくれるか怪しい)。

しかし、私立の中堅進学校でよく使われている教科書 Birdlandをちょっと調べてみると、日本語を活かして英文法を学ぶという発想が全くないようにも思われる
Birdland問題集の「和訳」は、私から言わせればメチャクチャである。




目的語を「が」と訳したり「を」と訳したりしている。もっとヒドイのは「タケオは走るのが速い」である。英語の動詞を和訳では主語のように訳しているではないか。英語の副詞を日本語では述語(形容詞)のように訳している。”Takeo runs fast”ならば、「タケオは速く走る」と訳すのが当然ではないか。日本語と英語の対応関係をしっかりさせ、英語の主語を「は」または「が」で、目的語を「を」で訳す、あるいは、英語の副詞を日本語でも副詞的に訳させるべきではないのか。

だが、彼らは英語と日本語を文法的に対応させようとはしないのである。ちょうど木村松雄(元NHK基礎英語1講師)のように、英文を自然な日本語に訳してしまっているのである。つまり、日本語の文法力を英語に活かそうとはしないのである。


一番最初に来る名詞は主語であり、主語は日本語では「は」または「が」と訳すということ。他動詞の後に来る名詞は目的語であり、和訳では「を」と訳すということ。私立中堅中等学校で英語を学ぶ日本人が英文法の基礎概念を学ぶということは、そういった作業が大事なのではないだろうか。私立中堅校で学ぶ生徒には、英語と日本語の共通点を最大限に活用した英文法教育あるいは英語=日本語文法教育をしていくべきではないのか。

英語のロジックをむやみに押しつけているようでは、中堅校の生徒にとっては、英語はちんぶんかんぷんのままであろう。彼らは英語のロジックを理解することも出来ないし、日本語のロジックを使って英語を理解することも出来ない状況に陥っている。私にはそんな風に思えるのだ。

「文法訳読」と中堅私学の英語教育(1)

2012年03月13日 | 英語学習
日本の伝統的英語教育方法と言えば、「文法訳読方式」であった。「文法訳読方式」というのは、文法力を活用して英文テキストを日本語に置き換えさせて、英語教育と称する教育方法論である。もちろん今なお影響力を持っている。

しかし、「文法訳読方式」に対しては、厳しい批判が昔から何度もされてきている。こんな旧態依然の教育方法だから、6年から10年間も日本人は英語を勉強しているのにちっとも英語を話したり書いたりできないのだ、という見解である。文法訳読方式に批判的な立場は、ほとんどの場合は「実用英語派」と呼んで良いだろう。あるいは、「コミュニケーション派」だとか「ダイレクトメソッド方式派」等と呼ぶこともできるかもしれない。。

「文法訳読(擁護)派」と「実用英語派」の双方が全面的に対決しあう場面は数多く見られる。だが、私どもは「文法訳読方式」については、極めてシンプルな見解を持っている。①「学習者の英語力段階に応じた文法訳読教育が求められている」、ただし、②「英語力養成のため、文法訳読に過度に頼るのは控えましょう」である。たった、これだけである。

文法訳読を全然やらないのは非常に不味い。文法訳読は我が国の英語教育では絶対に必要不可欠である。しかし、いつまでも、どこまでも文法学習と英文訳読ばかりやっているようでは英語力向上は望めない。必要な課題をクリアーできたならば、その段階の英文和訳学習はやめにして、音読暗唱・直読直解なり、応用英作文なりの課題に移りたい。そして、新しい課題については、再度文法をチェックして英文和訳をやらせ、卒業したら別のことをやらせましょう、そういう考え方だ。凡庸な折衷論のようにも見えるが、まずは文法と英文和訳は絶対不可欠だということは、いちおう強調しておきたい。

けれども、最近は文法訳読(英文和訳)を不当に軽視している私立校や公立中高一貫校もあるようだ。文法訳読中毒(県立の中堅進学校に多いようだ)も困るが、それ以上に大問題である。ただし予め述べておくが、ここでの議論では私立または国立の上位進学校(筑駒、開成etc)は含んでいない。というは、上位校の場合、生徒は悪くてもそれなりに学力があるので、文法訳読は彼らにどうしても必要な訓練ではないからである。つまり大問題なのは、中堅レベルの私立校と公立中高一貫校の英語教育で、文法訳読を軽視している場合なのである。(もちろん下位の私立一貫校の英語教育はさらにヒドイ実態があるだろう。だが、ここで論じるには及ばないだろう)。


たとえば、英文和訳をほとんど実施しないまま高度な入試問題を解かせたり、授業を全部英語にしてみたり、英語の英文法テキストを利用したりとかしている学校が現実にある。いろいろと意欲的で面白そうな試みだが、個々の生徒にはかなり不味い事態を招いてしまっているようだ。どんな問題があるのか? (続く)









『プログレス』『バードランド』『トレジャー』教育についての感想

2011年12月04日 | 英語学習
2011年もはや12月にもなったということなので、そろそろブログを再開しなければならないと痛感している。実はいろいろと書きたいネタがたくさんあったのだが、こういうブログのたぐいのもは一度お休みてしまおうとなかなか再開するのが億劫になってしまうのである。さあ、言い訳ばかりしないで、はじめることとする。

さて、当塾の生徒が利用する、あるいは利用するであろう英語教材についてちょっと書いてみることとする。まずは例の難解英語教科書について。

最初に『プログレス』。私達はこの教科書は、文法習得という観点からするとちょっと不親切ではないのか。そんなふうに前々から考えてきた。会話的すぎるし、かつ長い文章が余りにもたくさん登場し、基礎的な文法練習にふさわしくなくなってしまうように見えたからである。そして、やはりその通りであって、かなり素質があり真面目に勉強するはずの中学生てあっても、英語では大苦戦してしまっているようだ。

さらに困った事に、『プログレス』の私学の英語の先生たちの多くは、必ずしも足りない分(=文法演習)を補足してくださるわけではないのである。文法的規則か判らないままにテキスト本文の丸暗記を強いるような教師も少なからず存在するようだ。

しかし、有効なプログレス対策は存在する! 中学1年生から当塾のような英語塾に通い、英文法を体系的に学習しさえすれば良いのである。実際、『シリウス発展編』の『Vol.1』及び『Vol.2』以上の例文を理解し暗唱してしまった当塾の生徒であれば、『プログレス』はそれ程”厳しい”教科書ではないようで、のテキスト暗唱もそれほどの苦痛ではないようである。他方、中三から入塾する生徒の場合は、ちょっと厳しい時期が続いてしまう。

次に、『プログレス』に対抗する新勢力の教科書である『トレージャー』『バードランド』について。

これらはかなり理想的な教科書に近いと書いておこう。文法学習に対する配慮はなかなかしっかりしている。良心的な私立中高一貫校であれば、『プログレス』ではなく、こちらの教科書を採用すべきである。(麻布や逗子開成がその例である)。

本文はネイティブ・スピーカーから見ればやや不自然な文章が並んでいるように見えるかもしれない。しかし、英語を初めて学ぶ中学生が英文法を習得しやすいように丁寧に配列されてあるのだ。小学生ではなく中学生が、シャワーを浴びるように大量にではなく、むしろ毎日こつこつ少しづつ英語を学ぶことを前提に考えてみれば、文法中心の英語学習が一番効率が良いのである。

とはいえ、『バードランド』『トレージャー』の習得が簡単であるという訳では決してない。普通に難しいのだ。その理由は次の通りである。

(1)英文の音読・暗唱をサボれば、ついていけなくなる教科書だということだ。1年生のうちはまだ良い、しかし2年生になれば急速に難しくなる。さらに3年生になれば、かなり急激な展開になっており、大学受験生レベルの課題を要求することになる。バードランド準拠問題集をみれば、習ったことのない構文や熟語がどんどん出てくるのにびっくりさせられた。のんびりしている生徒は、上位校でもすぐに落ちこぼれてしまう危険性がある。

(2)逆説的に聞こえるかもしれないが、難解な教科書だからこそ逆に本質的な英文法の能力が学校のテストでは問われないかもしれない。本来ならば、英文法を理解し活用できるのかが試験で測定されるべきだ。しかし、どういうわけなのか、文法能力ではなく教科書を[丸暗記]したのかどうなのかを測定する試験問題を出す先生方がかなりいるようだ。こういう学校の生徒たちは、英文法を理解するのではなく、教科書を試験直前に丸呑み込み的に[丸暗記]をする事によって対策してしまう。非常に不味い! 

(3)『プログレス』『バードランド』『トレージャー』全ての教科書に共通している事だが、教科書の英語の文書は極めて興味深いテーマばかりであると私は思う。それはある意味では歓迎すべきことだ。しかし残念ながら多くの私立中学生にはその内容がよくは理解できていないのである。また、英語の先生が英文の内容をかみ砕いて解説したり、関連する資料を見せたり配布したりするようなことは、私の知る限りほとんど皆無である。英語の教科書を通じて教養をを深めるということがあっても良さそうなのだが、そういった理想教育の実現はまだ遠いようだ。

続く。

中三の6月で英検2級に合格する

2011年06月29日 | 英語学習
塾生の一人が2011年6月の英語検定試験で2級の一次に合格した。さっそく2次面接演習を当ゼミで試みたが、ほぼ合格確実という印象だった。英語問答をやってみると若干文法ミスや発音の誤りがあるが、まずは落ちることはあるまい。


東大式個別ゼミでは、一流大学を目指す(または進学する)ならば中学三年~高校一年のうちに英検2級に合格することを目標に頑張るようにと生徒さんやご両親には伝えている。というのは、だいたい次の目安があるからである。

高1(英検2級)→高2(センター8割)→高3(センター9割、英検準一級、難関大学合格)

東大等の難関大学は英検準一級レベルであるということで、多くの諸先生方の間で意見が一致している。準一級合格レベルに到達すれば、あとは過去問で試験慣れをするだけで、良いのである。

この生徒さんの場合は、中三の6-7月の段階で英検2級合格なので、さらに余裕がある。英語を高校2年レベルで完成してしまえば、高校3年時には他の科目に時間を回すことが出来るので、受験科目が多い国立大学、たとえば東大合格を狙うべきだろう。 中三(英検2級)→高1~2(センター8割、英検準一級)→高3(英検1級をめざして、東大)

もちろん英検準1級レベルで英語力が本当に完成するわけではない。さらに高い目標を持って頑張って欲しいところだ。



この生徒さんは、どのような勉強をして中2の6月で英検一次合格にたどり着いたのか。

まずは当ゼミのお約束である『シリウス発展編』を徹底的に勉強した。Vol3まですべて例文を暗唱し、即座に和文英訳をできるようにしておいた。その後、塾向け教材などで文法面を補強したが、『シリウス』を利用して中2段階で英文法基礎はほぼできあがったと言って良い。(ただし、シビア~な現実を言ってしまえば、それでも英語問答となると文法ミス続出なのです。受け身にするところを能動態にしてしまったり、進行形のbe動詞を忘れたり、be+動詞の原形、3単現を忘れる等々。英語の道はまだまだ厳しいのです!)

ついで長文演習は『ハイパー英文1』と『英語長文難関攻略30選』(以下、『英語30選』)等を進めた。とくに『英語30選』は骨のある難関私立高校入試問題が詰まってていて、素晴らしい教材であった。CDがついていないのが欠点だが、私立上位校の中学3年生ならば誰もが挑戦してもらいたいと思う。

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その他にも、いつくかのGraded Readersを読んでもらったり、英検2級対策の英単語集であるとか過去問等はこなしてもらったりはしている。当然のことながら、学校での英語の勉強はしっかりとこなしてもらっている。教科書はTreasureだそうだ。

以上、こんな感じで英検2級に合格した。


もちろん誰もが中三の6月で英検2級に合格できるものではない。上位校の生徒でもクラブが忙しかったら中三の冬の試験で合格でも良いのではないか。また、中堅進学校に在学中であれば無理して中三で英検2級を取る必要はない。基礎を確実におさえておき、高一までに合格を狙うべきだ。場合によっては高2にずれ込んでしまうかも知れないが、それでも難関大学を狙うのを諦めることはない。

また将来MARCH狙いの生徒さんであれば、無理に『英語30選』のような問題集に取り組む必要はない。この問題集の”PART3”はちょっと難しすぎるかもしれないからだ。無理に難しいテキストに取り組むよりは、着実にいっぽ一歩進めるべきだろう。人によってペースが違って当然なのだ。

当ゼミとしては、高2までには全員が英検2級に合格してもらいたい。高2(英検2級)→高3(センター8割以上、MARCH合格)だからだ。




B社の勧誘ビラはゴミ箱に

2011年06月28日 | 英語学習
相変わらずB社の勧誘商法が我が家にも襲ってくる。

子供心につけ込み、可愛らしい絵とDVDの豪華付録がついてくる。なによりも、しつこい勧誘が特徴だ。

一種の教育商業なのだろうが、我々はそれが悪質な商法であることを知っている。すでに何度も届いているのでお馴染みなのだ。

中身を開けず、すぐにゴミ箱に直行だ。

昔の学研の「科学」と「学習」、小学館の「小学○○年生」が懐かしい。今でも素晴らしいのは『子供の科学』くらいのものか。


それにしてもB社のような商法、何とかならないものかと思う。

Oxford Advanced Learner's Dictionaryが安い

2011年06月25日 | 英語学習


久しぶりにipod・iphone等のソフトを調べてみたら、かなりお安い英語辞典が提供されていることを発見した。写真がOxford Advanced Learner's Dicitionary (オックスフォード現代英英辞典 )である。通常価格は2000円以上したはずだが、2011年の6月30日までは450円での提供である。実際にダウンロードしてみたが、評判通りの使いよい品であるように見える。しかも、iPad(実は最近iPad2を購入してしまいました)にもiphoneにも利用できるようだ。

(下の写真は書籍版で4000円以上する)
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オックスフォード大学出版局

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まだ試していないが、Flashcards機能があるのも魅力的であろう。電子辞書を英単語の暗記に使うというのは、良い考えだ。発音を聞きながら単語を覚えられるのも有り難い。ipodtouchあるいはiphone利用者でまだ一つも学習英英辞典をもっていないのであれば、絶対に買った方がよいだろう。

もう一つ気になったのが、Cambridge大学出版からでているEnglish Grammar in Useのシリーズが230円と格安で購入できることだ。 私は、自分用にとAdvanced Grammarを購入してみた。英語で書かれた文法書というのは、日本語の文法には書かれていない内容が詳しいので面白いのである。(たとえば、mustの未来形がmust be going toだとか)。




研究社・英和辞典辞書ソフト (iPhone / iPod touch用)

2011年04月04日 | 英語学習
前回ちょっと触れましたが、iPhone / iPod touch 用の辞書ソフトというのもどんどん増えているようです。様々な会社がいろいろな辞典を出していてちょっと分かりにくいので、今回は研究社の大型英和辞典をちょっと調べてみました。(電子辞書やiPhoneならば当然大型辞書を選択すべきです)


超辞典 研究社 新英和大辞典 第6版
 最高峰の大英和辞典ですね、これがソフトになっています。あるサイトでは日本円では出てこず、150米ドルした。どういうことなのでしょうか。

LogoVisitaでは1.3万円です。

また、沖縄の会社でしょうかRyuSysは超辞典と銘打って 1.8万円というものがあります。使ったことがないので、使い勝手がよいのか私は判断できませんが、熟語検索がしやすいにこしたことはありません。RyuSysさんは半額セールとかはやらないのでしょうか? まだ評価が出ていない段階なので、ちょっと手が出ませんね。 


超辞典 研究社 新編英和活用大辞典
 これは英語を書く人ならばぜひとも欲しい辞書ですね。海外に留学している日本人学生にとっては欠かせないでしょうが、今ならば簡単にいつでもどこでも参照できるということになりました。

 この辞典は三つの会社から出ています。1万円、1.3万円、1.4万円となっています。


超辞典 研究社 リーダーズ英和辞典 第2版
 語彙数の多さで有名な『リーダーズ』です。これも会社によって価格がだいぶ異なります。5000円(現在の2500円半額セール実施中)、6000円、16000円(これはリーダーズ+プラスの価格です)です。私がもし買うならば2500円のでしょうが、たぶん買わないと思います。 

できる高校生向け英和辞典・英英辞典は?

2011年04月03日 | 英語学習
このブログでは、進学校に通う普通の中高生向けには、なるべくやさしい英和辞典を勧めてきました。中学生であれば『アクセス・アンカー英和辞典』。 中学3年生以上であれば『ニューヴィクトリーアンカー英和辞典』 です。日本の大学を受験するのであれば、たとえ難関大学を受験するのであっても、紙の辞典は『ニューヴィクトリーアンカー』で十分対応できるはずです。

もっとも、ある程度基礎ができているという高校生には、上述の辞典ではちょっともの足りなく見えるかもしれません。そこで2009年に新しい版が出た『グランドセンチュリー英和辞典』 も、私たちは同時に薦めています。この辞書は、『アクセス・アンカー英和辞典』を卒業したいという高校生にも最適な英和辞典でしょう。辞典は新しいければ新しいほど良いので、今、旬の辞書だといえます。

かなり英語に自信のある中高校生もいるでしょう。センター試験の英語では8-9割くらいは取れてしまうとか、英字新聞や洋書を読み始めているような生徒さんです。そういう生徒さんにとっては『グランドセンチュリー英和辞典』でも、ちょっと物足りないかもしれませんね。(文法書・単語帳だと思えば、『アクセス・アンカー』でもかなりレベルが高い学習英和辞典なのですが)。それならば是非とも学習者向けの英英辞典を試してもらいたい。(逆に言えば、学習英英辞典を使えないような英語学習者は、『ジーニアス』や『ウィズダム』などに手を出さないで欲しい!) 学習英英辞典にはいろいろと種類がありますが、最初の1冊は定評のある『ロングマン現代英英辞典』 が良いでしょう。

英語のできる生徒が、英和辞典も新調したいというのであれば、どうしましょうか。私ならば、『ウィズダム英和辞典』(2006年)  か『オーレックス英和辞典』(2008年)  、『ロングマン英和辞典』(2007年)、あるいは『リーダーズ英和辞典』 の中から選んでみたらどうかと提案することでしょう。

英和辞典についてちょっと消極的な表現になってしまいましたが、それには理由があります。『ウィズダム英和辞典』に代表される難解な学習英和辞典を使うのであれば、むしろ電子辞書で大型英和を活用してみれば良いのではないかと思っているからです。例えば私の持っている電子辞書には、『ジーニアス大英和』 が入っています。しかし、もし金銭的余裕があるのであれば、研究社『大英和辞典』『英和活用大辞典』が収録されているものが良いのでないでしょうか。

また、英語力はまだ英検2級レベルだが、難しい単語を調べる必要が時々あるという学習者であれば、『ニューヴィクトリーアンカー英和』と電子辞書を併用するというのも悪くない考えです。そのときには、なるべく収録語数が多い電子辞書を選ぶべきでしょう。

ところで iPhon/ iPod touchで購入できる辞書ソフトはどうなのか。これは一種の電子辞書ですが、私もいくつかソフトを購入し、このブログでも紹介してきました。 iPhon/ iPod touchは、電子辞書よりもサイズが小さいのが長所であり短所です。持ち運びには便利だが、キーボード・タッチは電子辞書よりもちょっと面倒です。とはいえ、大学生以上であれば iPod touch (やiphone)を購入し、いくつかの辞書ソフトを購入してみること強く勧めます。

辞書ソフトの中でとくに私が推すのは、『英辞郎』の英和(和英)辞典です。辞書としての信頼性に疑問符がつけられることがありますが、(1)操作性が良い、(2)最新語も豊富で、収録語数が多い、(3)安い、という点で文句のつけようがありません。収録語数の多い『リーダーズ英和辞典』の対抗馬にもなるのではないでしょうか。

他にも評判の良い辞書として『ウィズダム英和・和英』がありますが、悪くありません。もちろん、『ロングマン』の辞書も人気のある選択ですし、『ケンブリッジ学習辞典』はちょっとリーズナブルな価格になっています。個人的には American Heritage が気に入りました。


まとめましょう。

『アクセス・アンカー英和』     
『ニューヴィクトリーアンカー英和』

『グランド・センチュリー』

『ロングマン現代英英』

『ウィズダム英和』
『オーレックス英和』

『電子辞書』(研究社大英和、大ジーニアス、リーダーズなど)
iPhone/ipodtouch(英辞郎など)

(修正)PandaのCambridge辞書仕様(ipod touchでお勉強)

2011年03月10日 | 英語学習
前に書いたブログ記事の続きです。panda社のCambridgeの辞書が今日(平成23年3月11日(金))まで230円の超安値だという話の続きです。

結局、Cambridge Phrasal Verbs (動詞句辞書)の他に、Cambridge Talking Dictionary (アメリカ英語、イギリス英語の発音つき辞書)、Idioms Dictionary、TOEFLE Masterも購入してみました。その報告をしておきます。(なおPanda社あるいはDW Educational Group社(おそらく中国系の会社だ)のはいずれも、iPadでは使えません。iPhone, iPod touchのみです)。

まず確認しておきたいのは、辞書はCambridge出版の辞書であすが、それをソフト化して販売するのは別の会社だということです。そして、Panda社だけがCambridgeの辞書ソフトを売っているのではなく、別の会社(Mobile Systems社)もCambridgeの学習英英辞典を販売しています。しかし、この二つの会社の辞書は全く同じ仕様ではなく、それぞれ独自仕様なのです。ipod/iphone時代ですと、そういうところで競争があるというわけなのでしょう。

ですからPanda社のソフトの出来具合はどうかが気になりますね。

すると、良いのか悪いのかよく分からないけれど、Panda worksのほうにはビックリ仰天のソフトだということに気がつきました。カスタマーレビューには全然書いていない重大な特徴があったのです! 

Mobile Systems社のCambridge Advanced Learner's Dictionary辞書ソフトと比較してみると、次のことが想像できるのです。(紙の辞書のCambridge Advanced Learner's Dictionaryはここを参照のこと)まずは、Mobile社の写真をアップしましょう。accountという見出しです。




つぎに、Panda仕様をみてみましょう。このソフトは、一つの辞書を分解して整理してしまったのです。(さらに上級用と中級用に分ける?)通常は一つの見出し、たとえばaccountならば、動詞も名詞も動詞句、熟語も掲載されているはずでしょう。ところが、PandaのTalking Dictionaryで調べてみると、動詞、名詞はそれぞれ別の見出しになります。(これは分かり易い)。 さらに、account forのような重要な動詞句をカットしてしまったのです。動詞句は動詞句辞書を見ろ、イディオムはイディオム辞書を見ろということなのです。写真は動詞句辞書のものです。


Panda仕様では、メモ書きしてそれを保存できるとか、様々な機能がついています。またそのメモをPC上に保存することも出来るようです。が、大事なのは単語と熟語を分けてしまったことに尽きるといっても良いでしょう。

これをどう評価するのか? Cambridge のiphone版・学習英語辞典を知らない人は、Pandaはちょっとヒドイじゃないかと思われるかもしれません。しかし、そうとは言い切れないのです。というのは、Mobile社のソフトで熟語や動詞句を探し出すのはすごく大変だったからです。それならば、いっそうのこと、分業方式の方が望ましいかも知れないのです。(余談ですが、単語も熟語もひきやすいiPhone用の辞書ソフトは、私の知る限り『英辞郎』だけです)

ただ、このPandaのソフトのほうが不具合が多そうな感じなのです。フリーズしやすいようなんですね。これはちょっと致命的かな? 230円という価格がなかったら推薦できないかもしれませんね。とりあえず、ちょっと使ってみようと思います。