昨夜。
仕事の帰りは、雨だった。
家路をたどるクルマの中で、規則的に動くワイパーを
ぼんやりと眺めながら、ふと、この歌を思い出した。
出だしの歌詞なんて、今の自分そのもののような気がして、
誰もいないクルマの中で思わず苦笑した。
この歌が流行っていたのは、ちょうど今ごろの季節だった。
17年・・・いや、もう18年も前になるのか。
あの頃、僕は広島の広告会社で働いていた。
新卒で入社して10ヶ月弱。
深夜まで残業残業残業の毎日で、いつもクタクタのボロ雑巾の
ようになって一人暮らしのボロアパートに帰っていた。
そんな生活を送っているくせに、一丁前に“プライベート”はあった。
ドライブに出かけたり、飲みに行ったり、コンサートに行ったり・・・。
もちろん、好きな娘もいた。
真夜中というよりも夜明けが近いような時間に、オンボロクルマを
ぶっ飛ばして会いに行った。
今思えば、どこにそんな元気と時間があったのだろう?
単に、若かっただけ・・・と言われればそれまでだが、
もしかしたら、今よりもエネルギーの配分や時間の使い方が
上手かったのかもしれない。
あの頃に帰りたいとは思わない。
それどころか、あの頃の尋常ではない高揚感に満ちていた自分と
今の自分が同一人物だということが、たまに信じられないことがある。
大人になった・・・と言われればそれまでだが、それだけじゃない
ような気がする。
たとえば、今日の日記のテーマにしたこの歌にしても、昔はサビの
歌詞が僕の心を鷲掴みにしたのに、今は上述したように出だしの歌詞が
心に染みてくる。
・・・やっぱり、大人になったのだろうか。
良し悪しは別として。
小泉今日子「優しい雨」