goo blog サービス終了のお知らせ 

新宿機動部隊(将棋)

社団戦出場チーム「新宿機動部隊」のブログ。

「駒落ちのはなし」先崎学・著

2012-11-11 22:09:01 | 将棋本


「将棋世界」誌2002年9月号から2004年8月号まで、2年間に渡った連載が一冊にまとめられたものです。八枚落ちから二枚落ちまでの駒落ちを、単なる定跡紹介ではなく、上手の技や下手が陥りやすい心理などを思わず引き込まれる文章で解説。読み物として充分楽しめ、また駒落ち上手を指す機会のあるアマチュアにとっては格好の指南書でもあります。

本書のハイライトは最終章の「プロ×プロ 駒落ち対決」。先崎八段が木村八段と実際に駒落ち戦を戦かった自戦紀です。手合いは角落ち、初手から一手10秒で、1局ずつ上手下手を入れ替えて10局を対決。結果は木村八段が上手局で2勝を上げ、先崎八段に「完敗」と言わしめました。とても濃密な自戦記で読み応えがああります。

「四間飛車激減の理由」阿部健冶郎・著

2012-11-02 22:00:28 | 将棋本


タイトルから一瞬、振り飛車の定跡書と思ってしまうかもしれませんが、これは居飛車穴熊の本です。ただし、四間飛車目線が基調となっていて、そこかしこに四間飛車への愛情が感じ取れるあたり、単なる居飛車の本ではないところがユニークだと思います。

結論ではなく変遷が詳述されているので、四間飛車の推移を理解していないと少しとっつきにくいかもしれません。しかしそこを理解していれば非常に興味深い一冊だと思います。

構成でクレジットのある君島俊介氏の貢献も大きかったように思えます、





「終盤のメカニズム」宮田敦史・著

2012-10-25 21:49:33 | 将棋本


終盤のスペシャリスト、宮田六段の初作。

相当難解な内容かと思っていましたが、基本的な必至問題から説き起こされていて、初心者から上級者まで楽しめる内容かと思います。「宮田の格言」コーナーは「玉の早逃げで駒を入手」などのかなり実戦的なもので、終盤に苦手意識のある人には効果あるかと思います。



「将棋の教科書 振り飛車急戦」鈴木大介・著

2012-10-02 22:20:48 | 将棋本


先手の四間飛車、三間飛車に後手が居飛車急戦をしかける形の定跡書。なのでタイトルはちょっと紛らわしいと思うのですが…。

序盤、中盤、週番に分けて急戦定跡と手筋が解説されています。詰め込んではいないのでかえってわかりやすく、初心者から定跡を振り返りたい中級者まで役に立ちそうです。

「菅井ノート」菅井竜也・著

2012-09-26 21:56:00 | 将棋本


このタイトルは「島ノート」を踏襲したものととれますが、深さはともかく、そこまでの広さはあるのでしょうか。

という言い方をしましたが、本書の意味合いは非常に大きいと思います。内容は後手番でのゴキゲン中飛車を主軸に、先手の超速への対抗策を詳述。菅井五段の奨励会時代からの研究から菅井流と呼ばれる指し方を、変遷を踏まえて解説されているので、指し手の意味合いがよくわかります。王将戦の佐藤康光九段の驚愕の▲5七玉にも触れられていて、プロの結論がきちんと説明されています。

プロの実戦に現れていない水面下のやりとりがあると思いますが、現状の居飛車有利の空気に一石を投じているのでしょうか。





「ナリキン! 01」鈴木大四郎・著

2012-09-20 21:14:10 | 将棋本


プロ四段になった福岡県の中学生棋士・成金歩がひょんなことからプロ・サッカー・チームの福岡ホーネットの監督と知り合い、あろうことか選手として入団します。

将棋とフットボールにはつねづね、近いものがあると思っていましたが(狭い局面では数的優位がものをいう、逆転があるゲーム、駒/選手の特性によって動きが決まる、とか)、それを漫画ではっきりと示してもらいました。「こういう瞬間があるけんサッカーってやめられんよね!」という服部監督のセリフに納得。サッカー→将棋に置き換えても同じですね。

アビスパのアウェー戦にまた行きたくなってきた(^^)。

「サラの柔らかな香車」橋本長道・著

2012-09-13 22:38:27 | 将棋本
第24回「将棋ペンクラブ」文芸部門大賞受賞作。



ブラジル出身の少女、サラが日本で将棋の才能を覚醒し、女流名人位に挑戦します。5番勝負の最終局、ブラジル対局の1日。

元奨励会の作者がプロ将棋会のリアルな空気を背景に、ユニークな物語を紡いでいます。最終盤で、そこまで語られなかった事実に収斂していく様は、小説としての醍醐味を味あわせてくれます。

しかし、表現の硬さが読み進みにくさを与えているところは残念。男性棋界と女流棋界の違いなどがわからないとよく理解できない描写もあり、将棋に詳しくない読者にはハードルが高いかもしれません。

こうした欠点は目につきますが、力作であると思います。今後、違う分野を題材にしてもいい作品を書いてください。

「すぐ勝てる! 先手中飛車」佐々木慎・著

2012-08-28 22:21:43 | 将棋本


先手が初手▲5六歩から中飛車にする順を研究していますが、▲7六歩△3四歩に▲7五歩から三間飛車を目指す人には問題なし。▲7六歩△8四歩▲5六歩と指す人には同じ形となります。

後手の対応次第で変わる変化を細かく記述されているので、振り飛車党の先手番にはたいへん実戦的だと思います。

先日のNHK杯、谷川九段対鈴木大八段戦のようにうまく行けばよいのですが、そこまでいかなくても有力な戦法であることは間違いないと思います。



「明日対局。」渡辺明・著

2012-07-31 21:45:54 | 将棋本


渡辺竜王のブログをまとめた1冊。

軽快で率直な筆致は、2003年のブログ開始時から変わらず、竜王の人柄を伝えてくれます。
ただ、いちばんのトピックだった2008年の竜王戦、羽生挑戦者を相手に3連敗したところで奥様のブログ、「渡辺くん、あきらめたらそこで試合終了だよ」というエントリから4連勝で防衛という、もはや将棋WEBの伝説ともなった件! をもっと立体的に見せて欲しかったです。

マイナビ女子オープン会場で揮毫本を。