フデさんの新年会

フデさんの長女である寿子さんの誕生日が１月２日なので、この日にフデさん家で新年会と誕生日会が開かれる・・。

今年はフデさんの子供・孫・ひ孫　合わせて２３名が集まった！！　孫の主役の時代が過ぎて・・ひ孫がちょろちょろ・・フデさんの回りをにぎやかに動き回っていた・・。

フデさんの毎日はとっても忙しい・・油絵のグループ展に参加したり、千代田区のボランティア活動やフラダンスのサークルに参加したり展覧会めぐりをしたりして・・年齢を超越したスケジュールをこなしている。

お年玉がわりにフデさんが書きとめた暖かいメッセージを頂いた・・


私は宇宙人　　小川　フデ


十月も半ばすぎ。街路樹も秋めいて、鰯雲が美しい。　あと二ケ月もたたずに年がかわる。

今年は卯年である。私の生まれた年は卯年であることを何となく嬉しく思っていたが、もう少しでおしまいで辰年になってしまう。　次の卯年にも元気で地球上にいるかしら。『しらぬまに　よる年波を　きざみこみ』　日ごろ、気になるところの句が口を出てしまって、思わず苦笑してしまった。

それにしても、町並みのなんと変わってしまったことよ！　小学校　女学校と通った頃が夢のようである。
ご近所は二階屋ばっかりでほとんど顔見知りの間がらであった。　大通りだってそうである・・

靖国通りには都電の線路があって、いわゆるチンチン電車がのんびり走っていた。　今の東神田に豊島町駅があり、そばの角には昔から龍角散のビルがある。　三階建てぐらいであろうか？　当時は神田駅からみえていたほどである。

それが一世紀もたたぬまに、ビル　ビル　ビルばかり！　靖国通りから神保町や日本橋へ歩いて、時々ビルの高さを数えてみる。十階　九階　二十階　そして四十階　五十階　下からテッペンまではみえない。

たまに昔ながらのお店があるとほっとする。それでなくても私は方向オンチで、迷子になって行く先を道ゆく人にたずねたりする。たしかこの道でまちがいないと思うのだが、頭の中でクルクル変わってしまって、方向がわからなくなってしまう。　自分で自分がわからなくなってしまうこの感覚。

そうだ　私は宇宙人なのかもしれない。
それも一世紀前の宇宙人といった感じ。宇宙人はたいへんすぐれた頭脳の持ち主というが、できそこないの宇宙人だって、少しはいるかも知れない。

どこからか？　凛とした恩師の声が聞こえてきた。『小川さん　自重なさい！』・・。


６０歳を超えた子供たちから・・宇宙人になってもいいですから　元気で　ず～と　地球上にいてください！！