ここ最近に聴いた(または聴き直した)CDの感想を少し。
●STRATUS/THROWING SHAPES
全世界のメロハー・ファンが再発を待ち望んでいた、STRATUSのデビュー作(1984年)。
メンバーは(マニア的に)凄くて、元PRAYING MANTISのトロイ兄弟、元IRON MAIDENのクライヴ・バー、元GRAND PRIX、現URIAH HEEPのバーニー・ショウ、元LIONHEARTのアラン・ネルソン。つまり、NWOBHM界隈のハード・ポップ職人が終結したバンドといえる(実はクライヴ・バーのバンド、ESCAPEの発展型)。
完成度、ヴォーカルはじめ演奏のパフォーマンスという意味では、トロイ兄弟の歴代参加作でもハイライト的な作品ではある。
ただ、トロイ兄弟特有のクサさ的なものは控えめで、プレマン・ファンには少々薄味な気も。
再発CDは板オコシと思われ、メーカーは「リマスター」と謳っているが、音は別に良くない。
●APOCRYPHA/THE FORGOTTEN SCROLL
マイク・ヴァーニーのShrapnellレーベルからデビューした、ネオクラシカルギターをフィーチュアした正統派HMバンドのデビュー作(1988年)。
リーダーは、今やなんと超人気バンドTHIRD EYE BLINDのメンバーになってしまったトニー・フレディアンリ(RACER XからTHE MARS VOLTAに加入したジョン・アルデレッティ並みの転身出世ですな)。
曲は未整理、歌メロは印象薄というアルバムだが、なにしろト二―のギターが良い。
技術ではポール・ギルバート、トニー・マカパインに遠く及ばないとはいえ、スゥィープを多様したテクニカルで印象的なネオクラシカル・フレーズを連発。
妖しく重々しい雰囲気もあわせ、初期CHASTINあたりに通じる世界観が。
●MOTLEY CRUE/RAW TRACKS
「GARLS, GARLS, GARLS」が大ヒットしたころに日本限定でリリースされたミニ・アルバム。
このころワーナーパイオニアは、来日公演にあわせ既存の12インチシングル音源などを寄せ集めて企画ミニアルバムを発売する、という商売を乱発していた。
まあその企画意図はともかく、それらのアルバムの内容は非常に興味深いものが多く、ファンにとっては重宝したものだった。
「Live Wire」と「Peace Of Your Action」のLeathurレーベル盤オリジナル音源、「Too Young To Fall In Love」と「Home Sweet Home」のリミックス、「Smokin' In The Boys Room」のライヴなど、盛り沢山!
●AIRRACE/SHAFT OF LIGHT
かのボンゾの息子、ジェイソン・ボーナム(BONHAM~FOREIGNER~UFO)と、後にMAMAS BOYSに加入するキース・マレルが在籍していた、英国産ハード・ポップ・バンドの唯一の作品(1984年)。
プロデュースはなんとボー・ヒル(RATT、WINGER他)。
音楽性が音楽性なだけに、ボーナムのドラムは別に普通としか言いようがないが、哀愁溢れるメロディと隠れた名ヴォーカリスト、キース・マレルの歌唱は、SHYあたりと比べても遜色無い作品を作り上げている。
線は細いがエモーショナルな歌声が持ち味のキース、後にPHENOMENAにも誘われただけのことはある。
●VIRGINIA WOLF/S.T.
そのジェイソン・ボーナムがAIRRACEの次に加入したバンドのデビュー作(1986年)。
こっちのプロデュースは、QUEENのロジャー・テイラー。
こちらのヴォーカルも更に凄くて、なんとHEARTLANDを結成するクリス・ウーズィー。
クリスならではのソウルフルな歌唱は素晴らしいし、ギターのニック・ボールドが作る曲も良いのだけど、双方のマッチングは少々悪い気も。
●DAKOTA/RUNAWAY
誰が呼んだか“AORマスター”の異名を持つアメリカのバンドの、2ndアルバム(1984年)。
勿論その呼び名に違わず、素晴らしい内容の作品。流れるような美しいメロディと完成度の高い曲構成を持っている。
プロデュースがCHICAGOのダニー・セラフィン、ビル・チャンプリンも参加、ということで落ち着いたAORかと思いきや、ハード・ポップまたはプログレ・ハードと呼ばれるタイプの音楽に近い感じ。
エレキドラムの音が少々古臭いのが珠に傷。
●VAN ZANT/S.T.
LYNYRD SKYNYRDのロニー、38 SPECIALのドニーの弟であるジョニー・ヴァン・ザントのバンドのデビュー作(1984年)。
38 SPECIAL同様、レーナードとは似ても似つかぬ音楽性。つまりAOR/ハード・ポップ。
これが実に素晴しく(全く売れなかったが)、一時は大ヒットも飛ばした38 SPECIALを凌駕するデキで、アルバム全編、哀愁のメロディの宝庫。
その筋のマニアの間では、バイブル的存在ともなっている。
●BRIGHTON ROCK/TAKE A DEEP BREATH
カナダの中堅バンドの3rdアルバムで、本邦デビューアルバムでもあった(1988年)。
硬柔自在、ロニー・アトキンス(PRETTY MAIDS)ばりの2面性を持った歌唱を聴かせるジェラルド・マクギーのヴォーカルが中心。
ポップでメロデイアスなオープニング「Can’t Stop The Earth From Shakin’」は名曲だが、全体としてはスマッシュヒットを記録した前作『YOUNG, WILD AND FREE』には及ばないデキ。
プロデューサーの力量か、力んだ歌唱の悪い面ばかりが強調されているような。
●CYCLONE TEMPLE/I HATE THEREFORE I AM
HM界では珍しい黒人ギタリスト、グレッグ・フルトンを中心としたスラッシュ・メタル・バンドの1stアルバム(1991年)。
黒人といってもLIVING COLOURのセンではなく、TESTAMENTやHEATHENを彷彿とさせる、超メロディアスなギターを中心とした音楽性。
妖しげなメロディ、予想外の展開をみせるドラマティックで神秘的な曲構成は、アメリカのバンドとは思えないくらい。
叙情性という意味では、当時の群雄割拠的スラッシュ・シーンでもトップレベルだったと思う。
オープニングを飾る「Why」やタイトル・チューンは感動的でさえある。
●CARMEN/FANDANGOS IN SPACE
“フラメンコとロックを融合した”という触れ込みでデビューしたプログレッシブ・ロック・バンドのデビュー作(1973年)。
アメリカのバンドだが、イギリスのシーンからデビュー。グラム・シーンにも近かったらしく、デヴィッド・ボウイの後押しでデビューしたとか。
スペインのTRIANAなどとは違い、必ずしもアルバム全編でフラメンコギターがフィーチュアされている訳ではなく、一聴して“もろフラメンコ”というのは一部楽曲に限られるが、その一部楽曲は衝撃的なまでにスパニッシュ。
情熱的なパルマー(あの手拍子)が鳴り響き、哀愁のギターが宙に舞う。
●STRATUS/THROWING SHAPES
全世界のメロハー・ファンが再発を待ち望んでいた、STRATUSのデビュー作(1984年)。
メンバーは(マニア的に)凄くて、元PRAYING MANTISのトロイ兄弟、元IRON MAIDENのクライヴ・バー、元GRAND PRIX、現URIAH HEEPのバーニー・ショウ、元LIONHEARTのアラン・ネルソン。つまり、NWOBHM界隈のハード・ポップ職人が終結したバンドといえる(実はクライヴ・バーのバンド、ESCAPEの発展型)。
完成度、ヴォーカルはじめ演奏のパフォーマンスという意味では、トロイ兄弟の歴代参加作でもハイライト的な作品ではある。
ただ、トロイ兄弟特有のクサさ的なものは控えめで、プレマン・ファンには少々薄味な気も。
再発CDは板オコシと思われ、メーカーは「リマスター」と謳っているが、音は別に良くない。
●APOCRYPHA/THE FORGOTTEN SCROLL
マイク・ヴァーニーのShrapnellレーベルからデビューした、ネオクラシカルギターをフィーチュアした正統派HMバンドのデビュー作(1988年)。
リーダーは、今やなんと超人気バンドTHIRD EYE BLINDのメンバーになってしまったトニー・フレディアンリ(RACER XからTHE MARS VOLTAに加入したジョン・アルデレッティ並みの転身出世ですな)。
曲は未整理、歌メロは印象薄というアルバムだが、なにしろト二―のギターが良い。
技術ではポール・ギルバート、トニー・マカパインに遠く及ばないとはいえ、スゥィープを多様したテクニカルで印象的なネオクラシカル・フレーズを連発。
妖しく重々しい雰囲気もあわせ、初期CHASTINあたりに通じる世界観が。
●MOTLEY CRUE/RAW TRACKS
「GARLS, GARLS, GARLS」が大ヒットしたころに日本限定でリリースされたミニ・アルバム。
このころワーナーパイオニアは、来日公演にあわせ既存の12インチシングル音源などを寄せ集めて企画ミニアルバムを発売する、という商売を乱発していた。
まあその企画意図はともかく、それらのアルバムの内容は非常に興味深いものが多く、ファンにとっては重宝したものだった。
「Live Wire」と「Peace Of Your Action」のLeathurレーベル盤オリジナル音源、「Too Young To Fall In Love」と「Home Sweet Home」のリミックス、「Smokin' In The Boys Room」のライヴなど、盛り沢山!
●AIRRACE/SHAFT OF LIGHT
かのボンゾの息子、ジェイソン・ボーナム(BONHAM~FOREIGNER~UFO)と、後にMAMAS BOYSに加入するキース・マレルが在籍していた、英国産ハード・ポップ・バンドの唯一の作品(1984年)。
プロデュースはなんとボー・ヒル(RATT、WINGER他)。
音楽性が音楽性なだけに、ボーナムのドラムは別に普通としか言いようがないが、哀愁溢れるメロディと隠れた名ヴォーカリスト、キース・マレルの歌唱は、SHYあたりと比べても遜色無い作品を作り上げている。
線は細いがエモーショナルな歌声が持ち味のキース、後にPHENOMENAにも誘われただけのことはある。
●VIRGINIA WOLF/S.T.
そのジェイソン・ボーナムがAIRRACEの次に加入したバンドのデビュー作(1986年)。
こっちのプロデュースは、QUEENのロジャー・テイラー。
こちらのヴォーカルも更に凄くて、なんとHEARTLANDを結成するクリス・ウーズィー。
クリスならではのソウルフルな歌唱は素晴らしいし、ギターのニック・ボールドが作る曲も良いのだけど、双方のマッチングは少々悪い気も。
●DAKOTA/RUNAWAY
誰が呼んだか“AORマスター”の異名を持つアメリカのバンドの、2ndアルバム(1984年)。
勿論その呼び名に違わず、素晴らしい内容の作品。流れるような美しいメロディと完成度の高い曲構成を持っている。
プロデュースがCHICAGOのダニー・セラフィン、ビル・チャンプリンも参加、ということで落ち着いたAORかと思いきや、ハード・ポップまたはプログレ・ハードと呼ばれるタイプの音楽に近い感じ。
エレキドラムの音が少々古臭いのが珠に傷。
●VAN ZANT/S.T.
LYNYRD SKYNYRDのロニー、38 SPECIALのドニーの弟であるジョニー・ヴァン・ザントのバンドのデビュー作(1984年)。
38 SPECIAL同様、レーナードとは似ても似つかぬ音楽性。つまりAOR/ハード・ポップ。
これが実に素晴しく(全く売れなかったが)、一時は大ヒットも飛ばした38 SPECIALを凌駕するデキで、アルバム全編、哀愁のメロディの宝庫。
その筋のマニアの間では、バイブル的存在ともなっている。
●BRIGHTON ROCK/TAKE A DEEP BREATH
カナダの中堅バンドの3rdアルバムで、本邦デビューアルバムでもあった(1988年)。
硬柔自在、ロニー・アトキンス(PRETTY MAIDS)ばりの2面性を持った歌唱を聴かせるジェラルド・マクギーのヴォーカルが中心。
ポップでメロデイアスなオープニング「Can’t Stop The Earth From Shakin’」は名曲だが、全体としてはスマッシュヒットを記録した前作『YOUNG, WILD AND FREE』には及ばないデキ。
プロデューサーの力量か、力んだ歌唱の悪い面ばかりが強調されているような。
●CYCLONE TEMPLE/I HATE THEREFORE I AM
HM界では珍しい黒人ギタリスト、グレッグ・フルトンを中心としたスラッシュ・メタル・バンドの1stアルバム(1991年)。
黒人といってもLIVING COLOURのセンではなく、TESTAMENTやHEATHENを彷彿とさせる、超メロディアスなギターを中心とした音楽性。
妖しげなメロディ、予想外の展開をみせるドラマティックで神秘的な曲構成は、アメリカのバンドとは思えないくらい。
叙情性という意味では、当時の群雄割拠的スラッシュ・シーンでもトップレベルだったと思う。
オープニングを飾る「Why」やタイトル・チューンは感動的でさえある。
●CARMEN/FANDANGOS IN SPACE
“フラメンコとロックを融合した”という触れ込みでデビューしたプログレッシブ・ロック・バンドのデビュー作(1973年)。
アメリカのバンドだが、イギリスのシーンからデビュー。グラム・シーンにも近かったらしく、デヴィッド・ボウイの後押しでデビューしたとか。
スペインのTRIANAなどとは違い、必ずしもアルバム全編でフラメンコギターがフィーチュアされている訳ではなく、一聴して“もろフラメンコ”というのは一部楽曲に限られるが、その一部楽曲は衝撃的なまでにスパニッシュ。
情熱的なパルマー(あの手拍子)が鳴り響き、哀愁のギターが宙に舞う。