マリリンの映画日記

エッセイスト瀧澤陽子の映画ブログです!新作映画からオールドムービーまで幅広く綴っております。

『ウディ・アレンの夢と犯罪』

2010年03月15日 | 映画
ウディ・アレン監督の虜になったのは、今から33年前のダイアン・キートン主演の『アニー・ホール』だった。アメリカのデザイナー、ラルフ・ローレンを一躍有名にしたのも、この作品で、それはスタイリッシュで都会的で、当時の若者たちは、『アニー・ホール』にぞっこん、魅了されていた。

かくいう私も『アニー・ホール』みたいな女の子になりたくて、大枚はたいてラルフ・ローレンのコットンのロングスカートを買ってしまった思い出がある。

今じゃ、猫も杓子もニューヨークに行くようになっているが、まだまだ、30年前には、夢のハワイ以上に、日本の若い人たちの憧れのトレンディシティだった

ウディ・アレンと言えば、マンハッタンである。マンハッタンを舞台に、そこで生きる芸術家、インテリ、スノッブ、似非インテリなどをシニカルなタッチで描く天才である。ウディ・アレンという人そのものが、一時代のエポックメーキングになっていたと言っても過言でない。


しかし、最近何を思ったか、ウディ・アレンはマンハッタンを離れ、拠点をヨーロッパに移し、ヨーロッパを撮りまくっている。もう、マンハッタンでは描くものが無くなってしまったのだろうか?

『ウディ・アレンの夢と犯罪』は、『マッチポイント』『タロットカード殺人事件』に続く、ロンドンを舞台にした3部作の最終章。

この3作の中で、私は今回の『夢と犯罪』が絶品、一番気に入った。

ロンドンの南部を舞台にした、野心家の兄弟が殺人事件を巻き起こす話である。2度ほどロンドンに行ったことがあるので、こんな兄弟みたいな風貌のロンドナーって、ロンドンの町のどこにでもいそうなあんちゃんていう感じがして、笑ってしまった。

実業家志望の兄役をユアン・マクレガーが、ギャンブル好きの弟役をコリン・ファレルが熱演している。

ちょっと見にはチャライ作品のようだが、さすがウディ・アレン。ドストエフスキーの「罪と罰」がモチーフにしているのではないかと思うほど、「道徳」と「罪悪感」の悲劇を、実に巧妙に知的に抉り出している。

またしても、私はウディ・アレンのトリックにかかってしまった!と、見終えた後大満足だった。

何よりも、ユアン・マクレガーとコリン・ファレルの恐ろしいほどヴィビットで、シニカルな激演。もしかしたら、ユアンとコリンが最大の力を出し切った作品になるかもしれない。



【監督】ウディ・アレン
【出演】 ユアン・マクレガー、コリン・ファレル、トム・ウィルキンソン、サリー・ホーキンズ

2010年3月20日より恵比寿ガーデンシネマほか全国順次公開





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