2014年度作品。アメリカ映画。
鬼才デヴィッド・フィンチャーが一見、幸せそうに見える夫婦の実情を暴き出す、サスペンス・スリラー。ある日、突然失踪した妻を捜す男が、過熱するメディア報道によって次第に追い詰められていき、あげくに殺人犯の疑いをかけられるようになっていく姿が描かれる。
監督はデヴィッド・フィンチャー。
出演はベン・アフレック、ロザムンド・パイク ら。
突如として妻が失踪。夫が犯人として疑われていく過程を描いたサスペンスである。
妻が失踪した真相は何となく予想はつくのだけど、その後の展開はひとひねりがあって、驚かされる作品だった。
映画の冒頭で映し出される夫婦は、割合幸せそうに見える。
仲睦まじく愛し合った者同士だからこその雰囲気は感じられて好ましい。
しかし徐々に、それがこわれてしまっていることが描かれていく。
夫は不倫をし、妻との間には齟齬が生じるばかり。妻はそんな夫の態度が気に入らず、ある計画を立てて、夫を追いつめることとなる。
この映画で描かれている妻は人格障害を持っているように見える。
彼女に対して同情すべき点はあるのだけど、やることがえげつなく、相手のことを考えていない、自分本意な人だ。そりゃあ、夫の心だって離れるだろう、と見ていても強く感じる。
夫は夫なりに、妻の要求に応えるよう、いい夫を演じてきたが、これではうまくいかなくもなるだろう。
実際の夫婦にありえそうな状況だけに、独身の僕は見ていて怖ろしい気分になった。
最後の方は妻のエゴが爆発し、とある犯罪に至ることとなる。
そこにあるのは、本当に自分勝手な女の姿だ。これには本当に空恐ろしい気分になった。
だが本当に恐ろしいのは、そんなこわれた夫婦関係に陥りながらも、夫婦関係を演じ続けなければいけないことにあるだろう。
ここに至ると、もう恐怖というよりも、不気味さと寒気を覚えてしまう。
だがこんな生活は本当に、彼女は望むのだろうか。そこにあるのは、はたして彼女にとって幸福なのだろうか。
そんなことを感じて、よけいに寒気を覚えてしまう。
ともあれ、人間の闇すら感じられる点が目を引く一品だった。
評価:★★★★★(満点は★★★★★)
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