2013年度作品。日本映画。
「マンガ大賞2012」で大賞に選ばれるなど、幅広い層から支持を受ける荒川弘による人気コミックを、Sexy Zoneの中島健人主演で実写映画化した青春ストーリー。寮があるからとの理由だけで北海道の農業高校の酪農科に入学した主人公が、実習や部活に悪戦苦闘しながら、クラスメイトたちと絆を深めていく姿が描かれる。
監督は吉田恵輔
出演は中島健人、広瀬アリスら。
マンガ原作ものははずれも多いが、これは割にすんなり受け入れられる作品だった。
実写向きの題材というのも大きいのかもしれないが、何より実写でしか出せない雰囲気がそこここに見られ、それが非常に好ましく感じられた。
主人公は進学校をドロップアウトして、農業高校に流れてきた若者、八軒だ。将来の夢のない彼は農業高校で全寮生活を送りながら、酪農の世界に触れることとなる。
流れとしてはそんなところか。
雑誌でしか読んでいないので、細かなところは忘れているが、割に原作に忠実のような気がする。
一篇の作品としてきれいにまとまっており、青春映画らしい爽やかさも感じられた。
映画には、実際の農作業シーンも出てくるが、それが非常に印象的である。
これらのシーンこそ、実写映画の良さだろう。
そこから伝わって来るのは、農業のリアルだ。
農業の現実は原作でもシビアに描かれている。
だが、500Lの牛乳が4万円程度にしかならないのに、大層な設備が必要で、世話も大変だっていうのは、絵よりも映像の方がよく伝わるのだ。
一頭の生きている豚が2~3万の肉にしかならない、というのも、実際の豚と肉とを見せられた方が実感としてはっきり伝わってくる。
また屠畜の場面も、出演者の生の表情が見られて心に残る。
個人的には馬が好きなので、馬の表情がよく見れたことも印象は良かった。
ともあれ、どれもこれも、実写の良さが存分に生かされている。そのあたりは好ましい。
農業生活の現実が伝わり、物語としても青春物らしい雰囲気が良く出ている。
よくできた佳品と感じる次第である。
評価:★★★★(満点は★★★★★)
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