2007年度作品。イギリス=フランス=ベルギー=ドイツ=ルクセンブルク映画。
ロンドン郊外で平凡な人生を送ってきた主婦マギーは、最愛の孫の手術費用の工面に奔走していた。絶望の中ふらふらと迷い込んだのは歓楽街。偶然目にした「接客係募集・高給」の張り紙に思わず飛びついた。しかしそこは壁越しに手で男をイカせる”ラッキー・ホール”の風俗店だった。
監督はサム・ガルバルスキ。
出演は「あの胸にもういちど」のマリアンヌ・フェイスフル。「アンダーグラウンド」のミキ・マノイロヴィッチ ら。
孫の医療費を稼ぐため風俗業に飛び込んだ初老の女性が主人公だ。最初は風俗業に拒否的な態度を取り、おっかなびっくりのところもあったが、やがてそれに慣れ、少しずつ彼女の内面に変化が現れる姿が淡々と描かれている。
基本的にその淡々としたトーンは最後まで維持されており、特別大きな盛り上がりもなく、カタルシスにも乏しいため、地味だという印象はぬぐえなかった。また僕が男で、ギリギリ20代ということもあってか、映画のエピソードが僕の心に響いてくる場面は少なかった。
しかしラストの方で見せるマギーの変化はそれなりに興味深い。
友人だった人間に、臆せず自分の職業を語る心情や、亡き夫の不倫相手とのささやかな対決をするシーンはそこそこ見応えがある。
こういうシーンを見るかぎり、この映画は初老の女性の自立と新しい人生を獲得する成長物語なのだな、という印象を受け、新鮮な感じを受ける。
ラストシーンは、そういう方向に持っていくのか、と残念で安っぽく思ったが、女性の成長ものと考えるなら、必然と言えるのかもしれない。
琴線に触れる部分は乏しいものの、初老女性の人生に思いを馳せる佳品であることは確かだろう。
評価:★★★(満点は★★★★★)
出演者の関連作品感想:
・マリアンヌ・フェイスフル出演作
「マリー・アントワネット」
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