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読書好きのみなさんにとって、本書の内容は耳の痛い話ではありませんか?なにを、どう読むか。あるいは読まずにすませるか。読書の達人であり一流の文章家だったショーペンハウアーが贈る知的読書法。
鈴木芳子 訳
出版社:光文社(光文社古典新訳文庫)
耳に痛い言葉のオンパレードであった。
「読書は自分で考えることの代わりにしかならない。自分の思索の手綱を他人にゆだねることだ」
「本を読むとは、自分の頭でなく、他人の頭で考えることだ」
「ひっきりなしに次々と本を読み、後から考えずにいると、せっかく読んだものもしっかりと根を下ろさず、ほとんどが失われてしまう」
っていうところは、自分でも納得する面があるだけに恥じ入るばかりであった。
他人の理路整然とした説を受け入れても、知識がふえるだけでしかない。自分の頭で考えてこそ意味があるのだ、っていうことだとは思うが、まさにそうです、としか言うほかないのである。
実際、現実の面で、僕たちは自分で考えていることなどどれほどあるのだろう。
結局思考の多くは、他人の受け売りではないのか。
そんなことを思ってしまう。
ともあれ、身につまされるものがあった。
そのほかにも、匿名での文章を否定したり、派手な素材に頼っただけの文章を否定するなど、納得するポイントはいくつもある。
特に文章に、「主張すべきものがある」ことを要求する、ショーペンハウアーの姿勢には共感するものがあった。
それだけに匿名で、こんな駄文を書き散らしている自分を恥じ入るほかない。
何はともあれ、読書人なら、一度は読んでみる作品かもしれない。
きっと己の読書や文章について、省みる良い機会となるだろう。
評価:★★★★(満点は★★★★★)
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