私的感想:本/映画

映画や本の感想の個人的備忘録。ネタばれあり。

「渇き。」

2014-07-02 20:35:20 | 映画(か行)

2014年度作品。日本映画。
第3回「このミステリーがすごい!」大賞に輝いた深町秋生の小説を、『告白』の中島哲也監督が映画化した人間ドラマ。ある日突然、失踪した娘の行方を捜す父親の姿を通し、関係が希薄になった現代の家族像を浮き彫りにする。
監督は中島哲也。
出演は役所広司、小松菜奈ら。




つっこみどころの多い映画である。
あえては挙げないけれど、見ていて、えっ、これ冷静に考えたらおかしくない?とか、あの件はどうなったの、って思う部分がいくつか見られた。

加えて見づらいし、わかりづらいし、などなど、どうにかならんの、と思う部分もある。

しかし変に勢いがあって、惹きつけられる作品だった。
それはこの映画に漂う狂気の雰囲気が大きいのかもしれない。


失踪した娘と、それを追うことになった元刑事の話だ。そしてある殺人事件と娘とにつながりがあることが見えてくる、っていう作品である。

とにかく最初の内は状況を脳内で整理するのに苦労する。
場面が頻繁に変わるし、落ち着きのない映像の連続で、少し疲れてしまうくらいだ。
しかし徐々に物語の全体像が見えてくるにつれて、物語に入りこむことができた。

そこで見えてくる絵はおぞましい、の一語に尽きよう。
スプラッタな場面も多いから余計にそんなことを思ってしまう。


おぞましいと言えば、ストーリーだけでもなく、キャラクターもそうだ。

特に主人公の役所広司演じる元刑事はひどいヤツだ。
暴力的で、DVも平気でするし、言葉づかいは悪く、怒りにまかせて行動する。
一番ひどいのは殺し屋の妻にしでかしたことで、この場面に関しては心底ドン引きした。
ここまで屑だと言葉も出ない。

そもそもこの映画は、まともな人間が出てこないのだが、やはり彼がトップクラスの屑だ。
そして屑であるのは、疾走した彼の娘も同じなのである。


この映画は誰も屑で、誰も狂っている。
その狂気があまりにすさまじく、その異常さに見ている間は引き込まれる一品である。

評価:★★★★(満点は★★★★★)

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