ソメイヨシノが咲く頃、山の中で咲くコバノミツバツツジ。
ずっと昔からあったのだろうけど、子供の頃はなんとも思ってなくて、大人になってからいいなあと思うようになりました。
庭を作り始めた頃、あれを是非とも取り入れたい!と思っていたのですが、近所のホームセンターや園芸店には取り扱いがありません。
どうやったら手に入れられるだろうかとあれこれ考えてばかりいました。
ネットで探してもあの頃はミツバツツジしか見つけられず、でも欲しいのはコバノミツバツツジ。
咲く時期が違うんです。
ミツバツツジは5月頃。
コバノミツバツツジは3月下旬〜4月初旬。
絶対にこの咲く時期は間違いがあってはいけません。
しばらく探していると、ある時ネットで発見。30cmほどの小さな苗。
購入となりました。
コバノミツバツツジが欲しいと思ってたわけですが、じゃあ、あの花が好きなのかというとそういうことではない。
花の色でいうとあの色が特別好きなわけでもなく、花の形にしてもあの形が特別好きというわけではない。
子供の頃になんとも思ってなかったのは、多分、ただ花としてしか見てなくて、濃いピンクなんてどちらかというと苦手だったし、遠くから見て、あのピンクだからこそ魅力を感じなかったのかもしれません。
でも今、コバノミツバツツジじゃないといけないと思うほど魅力を感じているのはきっと咲く時期なんだと思います。
庭のコバノミツバツツジはもう花が終わりかけ。個体差があって、同じ花なのに、咲く時期に一週間ほどの差があります。早いものだと3月下旬、遅いものだと4月に入ってから。
ウチの庭にはコバノミツバツツジが4株。
そのうち1株だけ、早くに咲きます。
残りの3株はほぼ同じ。
早くに咲くこの1株をどこに植えるか、悩んでいます。
この子の魅力を存分に発揮できる場所、それはどこなのか?
そこで、なぜこの時期に咲くコバノミツバツツジがいいのか、自分がどこにその魅力を感じているのか考えてみました。
最近では街中でもコバノミツバツツジを植えてあるのを見かけることがあります。
もちろんプロの方がされた植え込みですが、大きな会社のきれいな建物の前に、石組みの中、他の雑木や下草と合わせて植えられています。
樹高も1.5mくらいはありそう。
花付きも素晴らしく、それはそれは華やかで遠くから見ても目立ちます。
それをみて、あのコバノミツバツツジすごいなあとは思うのだけど、私が欲しいものではない。
私が欲しいのは山の中にあるコバノミツバツツジ、勿論そうなのですが、正確にはコバノミツバツツジの花がプカプカと浮いているように咲いている山の風景。
なので、いくら他の雑木と一緒に植えられているとしても、白いきれいな壁の前に咲くコバノミツバツツジにはそんなに魅力を感じないのだと思います。
コバノミツバツツジが咲いている山の風景、明るい木陰やちょっと暗いところだったり斜面だったり。よくまあこんな不安定なところにと思うようなところで、枝垂れるようになりながら健気に咲いているものも。
日当たり抜群の場所に生えているわけではないけど、光を求めて枝を伸ばし、花を咲かせているように見えます。
他の落葉樹や下草はまだ芽吹いてなくて、常緑樹の葉の色もまだ深い緑。シダ類もまだ静かな状態のまま。
そんな中、ある日突然ポッとあのピンクが浮き出ているのに気付く。
コバノミツバツツジの周りに明るさを表すようなものはなく、地面は朽ちた落ち葉に覆われています。
蕾の色は咲いた時よりもぐっと深いピンクなので、きっと、周りの暗い落ち着いた風景に馴染んでしまっていて、車で通るくらいではいくら気に掛けていても気付けず、それが花開くと灯りを灯したように浮き出てくる。
満開の春ではないけど、静かに密やかに、春が来たよと知らせてくれてて、それに気付くことができたワクワク感、そんな心の動きを感じさせてくれるコバノミツバツツジの咲く風景を庭に取り入れたいのだと思います。
そんな事を考えつつ、コバノミツバツツジには申し訳ないのだけど、ちょっと植え替えを検討中。
特別な1株だけは、もう少し密やかな場所で咲いて春を知らせてもらおうと思います。