ただ生きるのではなく、よく生きる

自然の法則をとらえ、善(よ)く生きるために役に立つ情報を探して考えてみる

事を始めようとするとき、それがどういう性質のものかを、とくと考えるがよい

2016-12-26 18:43:33 | 知恵の情報
なにか事を始めようとするとき、それがどういう性質のものかを、とくと考えるがよい。
浴場に行こうとするなら、あらかじめどんなことが浴場の中で起こりがちであるかを、
思い巡らすがよい。人を押しのける者もいる。性急に飛び込んでくる者もいる。
ののしる者もいる。盗む者もいる。だから君が、「自分は風呂に入りたいのであり、
そしてそこでは理性にかなったふるまいを守ろう」と、あらかじめ自分に言い聞かせて
おけば、比較的まちがわずに事をなしうるであろう。

あらゆる事にあたって、この手で行くがよい。そうすれば、入浴中になにか妨害が
起こっても、君はすぐこう考えることができるのだ。「自分の欲したのは、ただこの
こと(たとえば入浴)だけではなくて、わたしの自由な意志と品性の保持であった。
しかし、ここで起こったことに腹を立てては、それが守れまい」と。
(エピクテートスの『語録』より)

─『希望と幸福  ヒルティの言葉』秋山英夫訳編 現代教養文庫 社会思想社より


■事に当たるときの、あらかじめ考えておくことの大切さを簡単な例で説いている。
不安な気持ちで何にも考えられない状態のままにするのではなく、思い巡らす、
つなげて連想させてみる・・・