大学というところは、20歳前後の学部生だけを相手にしている場所ではありません。
リカレント教育というのも、大学の大事なミッションのひとつです。
特に、専門職種養成をミッションとする福祉系単科大学では、なおさらです。
リカレント(Recurrent)は、再発・回帰・循環するという意味です。
直訳すると「再教育」とか、「回帰教育」「循環教育」ということになるのでしょうか?
OECD(経済協力開発機構)によって提唱された、生涯教育構想のひとつです。
従来の教育は、だいたい人生の前半に集中し、学校から社会へという方向が当たり前でした。
これに対し、一度社会に出た人の再入学を保障しようというものです。
現に職業に就いている人や引退した人にも、それぞれの状況にふさわしい方法で、
全生涯にわたって教育が受けられるよう、学校教育と社会教育を循環的にシステム化しようとするものです。
一方、文部科学省が、「リフレッシュ教育」という用語で推奨しているものもあります。
リフレッシュ教育は、リカレント教育の一部と言えます。
社会人・職業人が、新たな知識・技術を修得したり、陳旧化していく知識を再生することを目指しています。
職業人を対象に、専門職業人としての知識・技術の向上を目指して、大学院等で行う教育を推進しようというものです。
大学制度改革により、専門職大学院、夜間大学院、社会人特別選抜入試などが展開されるようになりました。
僕の勤務先では、このリカレント教育の場として、専門職大学院を運営しています。
でも、大学院生として1~2年間、丸々授業を受け続けるというのは、大変なことです。
そこで、一部の授業を単発で公開しての「スキルアップ講座」を運営してます。
現場で働く人たちが、関心のあるテーマの授業を、単発で受講するものです。
主に夜間や土日に開講され、1回3時間×4回くらいの設定です。
僕は、なぜか今年度、その企画運営の担当にされてしまって、…いや、させて頂いています(苦笑)。
もう、年度末ですから、あらかたの講座は終了しているのですが。
参考までに、今年あった講座のプログラムを、ここに載せておきます。
有料なので、お金はかかりますが、皆さん、実に熱心に受講しています。
専門職業人の勉強って、やっぱり終わりがない…。
改めて、そんな当たり前のことを痛感させられる講座です。
◆2009年度日本社会事業大学専門職大学院【スキルアップ講座】
○Ⅰ 基本に立ち返る-アセスメントと事例検討の方法を中心に-
渡部律子(関西学院大学教授)
奥川幸子(日本社会事業大学専門職大学院客員教授)
2009年9月【終了】
○Ⅱ 就労支援の実際と専門職の役割
朝日雅也(埼玉県立大学教授)
佐藤 宏(元職業能力開発総合大学校福祉工学科教授)
佐藤優子(JHC板橋社会就労センター・プロデュース道)
渡辺 潤(大田区役所太田南生活福祉課)
2009年10月【終了】
○Ⅲ 退院計画と地域移行支援の実際
古屋龍太(日本社会事業大学専門職大学院准教授)
木戸宜子(日本社会事業大学専門職大学院准教授)
2009年 11月【終了】
○Ⅳ 居宅介護支援事例検討会
國光登志子(立正大学教授)
2009年 11月~2010年1月【終了】
○Ⅴ 家族療法の基礎と実際
福山和女(ルーテル学院大学教授)
萩野ひろみ(文教町クリニックカウンセラー)
2010年 2月14日(日)・21日(日)【受付終了】
○Ⅵ 高齢期の身体的精神的変化に関する理解と対応~高齢者ケアの新たな課題~
・高齢期の生活障害を科学する
朝田 隆(筑波大学臨床医学系精神医学教授)
・技術と制度の接点をどうとらえるか
宇野 裕(本学専務理事)
・高齢期の身体的精神的変化再考―高齢者のこころと認知機能の評価方法
鏡 千稲(筑波大学人間総合科学研究科疾患制御医学精神医学)
・認知症ケアの諸潮流~回想法とその周辺~
奥村由美子(川崎医療福祉大学医療福祉学部臨床心理学科准教授)
・福祉施設における医療的ケアの在り方
島崎謙治(政策研究大学院大学教授)
・若年性認知症の現状と課題
池嶋千秋(筑波大学人間総合科学研究科疾患制御医学精神医学 )
・高齢者の自殺関連行動の特徴と支援
野瀬真由美(筑波大学人間総合科学研究科疾患制御医学精神医学)
2010年2月13日(土)・20日(土)・27日(土) 13:00~16:10
場所:日本社会事業大学文京キャンパス4階401教室
受講料:受講1回につき4,000円、全3回一括申込の場合10,000円
※画像は、大学に生息している猫たちです。
寒い冬は、暖かな陽当たりを求めて、集まってきます。