PSW研究室

専門職大学院の教員をしてる精神保健福祉士のブログ

会議とメールに追われる日々

2012年05月24日 22時02分04秒 | 大学という場所

今日は、一日、会議だらけの日でした。

10:30~12:45、タイソク研究班の会議。
出席者10名。
退院促進・地域定着支援にかかわる、学内共同研究班の会議です。
6月3日の「プロジェクト説明会」の運営について、率直なディスカッションをしました。

13:00~14:50、カリキュラム検討会。
出席者6名。
専門職大学院のカリキュラムの基本構造イメージを、話し合いました。
新しい入学案内パンフレットへの掲載の仕方も、大きな課題です。

15:00~16:25、研究科委員会。
出席者18名。
専門職大学院の教学課題その他にかかわる、意思決定機関です。
カリキュラム改革をめぐる課題が、やはり大きな議論のテーマになりました。

16:30~19:00、学長選出会議。
出席者60名。
新たな選挙管理委員会と学長候補者推薦委員会を、選挙で選びました。
委員選出の投票と、選出された委員への信任投票が、滞りなく終わりました。

以上、6時間半にわたる4つの会議。
その間、昼食を含めて休憩は、わずか計30分。
会議室に座っているだけでも、やはり疲れます。

会議が重なると、あれもこれも仕事はストップしてしまいます。
その間にも、メールはどんどん溜まっていきます。
研究室に戻ると、パソコン画面いっぱいの未読メールが、どっと待っています。

現在の仕事についたころは、せいぜい1日30通くらいだったのですが。
今の一日の着信メールは、だいたい平均80通。
少ない日で60通、多い日には100通に達します。

それら1件ずつに目を通しているだけで、結構時間がかかります。
メール文だけでなく、添付のファイルもチェックしなければなりません。
即応しなければならないメールも多く、返信できないままのメールも出てきます。

まれにですが、夜中まで仕事していても、数十通が未読で残ることもあります。
レスポンスもできないまま、あちこち不義理をしています。
昔の郵便での連絡のように、数日後にようやく返事をすることもあります。

僕にメールをくださる方々、いつもいつも、ご返事が遅くてすみません。
そんな状況ですので、「あてにならない奴…」と、あきらめてください。
すぐに返事があった時には、「珍しいこともあるものだ」とお考えください。
そんな日、そんな夜には、あなたに何か、いいことあるかもしれませんよ?(笑)

PSW課程テーマ別実習報告会

2012年05月16日 22時29分08秒 | 大学という場所


昨日の火曜日、社大の学部精神保健福祉士課程では、実習報告会が行われました。
この1~3月にかけて行われた、3年生の「テーマ別実習」の報告会です。

「テーマ別実習」は、その名の通りテーマ別による実習先への実習です。
学生たちは、自分が取り組みたいテーマに沿って、実習先を希望選択します。

昨年度は次の11テーマについて、それぞれの実習現場に学生は通いました。
1.ピアサポート支援
2.地域ネットワーク作り、コミュニティワーク
3.精神科病院における家族支援・退院支援
4.精神科病院における退院促進支援と継続支援
5.精神科病院におけるリハビリテーション、地域資源との連携
6.退院促進支援とデイケアを用いた継続支援
7.地域における退院促進支援、援助付き住居プログラム
8.精神科診療所(訪問看護・デイケア)と地域活動の連携
9.地域における包括型地域生活支援システム
10.ひきこもりへのアウトリーチ、家族会支援
11.就労支援

学生は3年次に、それぞれ18日間、各現場に通い、当事者の方々から多くを学んできます。
4年次の「個別課題実習」(12~20日間)と合わせ、学生は大きく変わります。
学生は春休みを過ぎると、みんな凛々しく一回り逞しくなり、「実習化け」して帰って来ます。

4月の新学期が始まってからは、実習報告会に向けてのまとめ作業に入ります。
昨日までに6回12コマにわたって、お互いの報告文をグループで検討して来ました。
同期の仲間の共感と質問、ディスカッションを通して、言葉は徐々に洗練されていきます。
教員の指摘も受けて、毎週バージョンアップした報告文が提出され、更に検討されます。

この繰り返しが、「PSW課程は厳しい」と学内でも評判になっているようですが。
この報告書作成の過程を通して、学生個々の体験の言語化を通した経験化が促されます。
テキストで知った単なる文字列でなく、リアリティのある言葉が獲得されていきます。

報告会当日は、各実習先の指導者のPSWの方々にも来て頂きます。
現場を半日離れて、おいで頂くのは本当に恐縮ですが、皆さん必ず来てくれます。
若い学生を、大学と一緒に育てているという実感を持って頂けているからでしょう。
実習を通しての学生の変化と成長を、本当によく見守って頂けてるなと思います。

各現場ごとに1時間の時間をかけて、教員・学生全員と実習指導者が参加して振り返ります。
実習生の報告、新3年生からの質問、指導者コメント、全体討議、教員コメントという順です。
実習生のかかわった事例や、実習中の出来事の背景にある意味が、より明らかになります。学生は、さらに最終報告書作成に向けての視座を獲得することになります。

昨日は、午後2時半から7時半まで。
来週も、午後2時半から7時半まで。
再来週も…と、3週間にわたって、この報告会は繰り返されます。

事前の調整・打合せやら、控室の運営やら、教員も総出で、裏方は結構大変なんですけど。
それだけの時間と手間をかけての教育効果を実感できるので、スタッフも頑張れます。

各実習現場で指導して頂いたPSWの皆さん、本当にありがとうございました。
これからも、どうぞ社大のPSW学生への応援、よろしくお願い致します。

ここまでの苦労が報われた、報告学生の皆さん、お疲れさま。
進行役の4年生・3年生のリーダー、コリーダーの皆さん、お疲れさま。
来週も、再来週も、気合い入れて乗り切ろう~♪


※画像は「テーマ別実習報告会」の教室風景。
 学部PSW課程の4年生・3年生、実習指導者、教員スタッフが一堂に会します。
 約50人での濃密な5時間が、3週間にわたって繰り広げられます。

実践家参画型形成評価プロジェクト

2012年05月11日 10時15分11秒 | イベント告知

今日はひとつ、イベントのご案内です。

6月3日(日)に「実践家参画型形成評価プロジェクト説明会」を行います。
長期在院している方の、退院・地域移行支援にかかわるものです。
この問題に関心のある方なら、どなたでも参加できます。
参加費は無料ですので、奮ってお申し込みください。

ただ、「実践家参画型形成評価プロジェクト」と言っても、ハテナ?ですよね(?_?)
これだけでは、なんのことだか、わからないですよね?

大学が主催するイベントは、しばしば意味不明の日本語が横行しています。
内容を厳密に正確に伝えようとするほど、漢字が多くなって、訳わからなくなるんですね。
法律用語と同様、言葉が日常生活の実感から遠く離れてしまうのは、本当に考えものです。

上の言葉を分解すると、少しわかりやすくなるでしょうか?

「実践家」は、それぞれの現場で働く人たちですね。
この場合、長期に精神科病院に入院している人の退院・地域移行にかかわる人です。
多くは、地域の相談支援事業所の職員や、精神科病院の職員でしょう。
職種としては、ソーシャルワーカー(精神保健福祉士)や看護師が中心ですね。
でも、当事者性を活かして、ピアの立場でかかわっている方もいますね。

「参画」は、一緒に計画などを練ることに加わること、ですよね。
「型」ですから、他にもやり方はあるけど、一緒にやろうよ、という感じでしょうか。

でも、ちょっと、不思議ですね。
退院・地域移行を進めるのに、わざわざ「実践家」「参画型」なんて。
現場上がりの教員の僕としては、今さら言うまでもないことという気はします。

それだけ、調査研究というと、現場から遊離した研究者中心の発想になっている。
現場の人が参加して一緒に考えることのない、大学人だけの研究が多いってことですね。
研究教育機関の大学と、現場の実践者が、一緒に問題を考えていこうという主張ですね。

その次の「形成評価」が、わからないですね?
教育分野では「形成的評価」なんて、よく言いますけどね。
教師が、学習の途中で、それまでの内容をどの程度理解したかを評価しています。
その評価によって、指導計画を変更したり、理解の足りない部分の指導を行うことです。

この場合は、授業じゃなくて「事業」が対象になりますね。
「事業」を様々な取り組みの集合体と考えると、わかりやすいでしょうか?

病棟に広報したり、外出・外泊に同行したり、ピアの方が支援したり、ケア会議開いたり。
一つひとつのメニュー(要素)が集合して、ひとつのプログラムが成り立っている訳で。
退院・地域移行の事業を、自分たちで評価してみようということですね。

きちんと評価を行うことで、自分たちの実践を振り返り、足りないものを発見する。
他所で取り組まれている実践要素から、自分たちの未達成の課題を発見する。
その上で、さらに効果的に事業を進めるためには、何が必要か経験を交流し合う。
自己評価だけでなく、場合によっては第三者の評価を受けて、事業展開をモニターする。
個別給付化の中で、何をどう取り組むと、事業の成果が上がるのか、考え、共有し合う。

そういった事業モデルを「形成」する「評価」を行うプロジェクトにしたいな…、と。
あ、蛇足ですが「プロジェクト」は計画とか、事業とか、研究という意味ですね。
今回のは、文部科学省の研究補助金を受けての、結構大規模なプロジェクトです。
厚生労働省の補助金でないところが、味噌ですかね?(笑)

以上、とてもザックリした説明でしたが。
もし、ご興味と関心のある方は、以下のご案内をお読みください。
ぜひ本プロジェクトに参加してみたいという事業所・病院の方を、お待ちしています。
この説明会の後、エントリー(仮登録)して頂いた方々で、プロジェクトを開始します。


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■実践家参画型形成評価プロジェクト説明会のご案内■

退院促進・地域定着支援をより効果的に!
~実践家参画による効果モデル形成プロジェクトへのお誘い~

「退院促進・地域定着支援」がもっと効果的になるよう、実践現場の創意工夫を反映してみませんか?

精神障害者退院促進・地域定着支援事業は、長期入院を続ける精神障害をもつ方々が地域で自分らしい生活を営む「希望」を実現するための有力な取り組みとして導入されました。
実践現場には多くの熱い思いを持った支援者が存在します。
しかし、事業開始10年近くが経過しても、いまだにこの事業による病床削減や社会的入院の解消などの成果は見えてきません。
その背景には、効果的な実践モデルが未だに形成されておらず、効果的な取り組みについての共通認識が関係者の間に共有されていないことがあると考えます。

私たちは、世界的に発展して来たプログラム評価の理論と方法論を用いて、この取り組みを科学的根拠に基づく、効果的なプログラムモデルに構築するためのアプローチ法を開発して来ました。
また、その方法を退院促進・地域定着支援プログラムに適用し、効果的モデルの有効性を検証して来ました。

このプログラムをさらに効果的なモデルに発展させ、全国で実施・普及するためには、退院促進・地域定着支援に関わる全国の実践家の皆様の参画を得て、皆様の創意・工夫を反映して行くことが不可欠と考えています。
退院促進・地域定着支援に関わる皆さまにご参画ご協力頂き、より効果的なプログラムを形成・発展する活動を共に進めてみませんか。

退院促進・地域定着プログラムの実践家参加型形成評価プロジェクト説明会を開催します。
このテーマにご関心をお持ちの多くの皆さまのご参加をお待ちしています。

文部科学省・科学研究費補助金 基盤研究(A)
実践家参画型効果的プログラムモデル形成評価研究班
 代表 大島 巌(日本社会事業大学教授)
効果のあがる退院促進支援プログラムのあり方研究班
 分担研究責任者 古屋龍太(日本社会事業大学准教授)

●日時
2012年6月3日 日曜日 10:30~17:00

●場所
田町グランパーク会議室
東京都港区芝浦3丁目4-1 田町グランパークプラザ
JR山手線・京浜東北線 田町駅下車 東口より徒歩5分
TEL:03-5441-2122 アクセス: granpark.jp/access

●内容
09:45~受付開始
10:30~12:00 実践家参画型形成評価プロジェクトの趣旨・概要の説明、質疑応答
12:00~13:00 昼食
13:00~14:20 効果的プログラムモデル実施マニュアルの説明とグループ検討
14:30~15:50 効果モデル形成のための評価ツールの説明とグループ検討
16:00~16:30 全体討議、今後の共同プロジェクトの進行について
(17:00まで延長の可能性あり)

●参加費
無料
このセミナーは、文部科学省・科学研究費補助金基盤研究A「実践家参画型福祉プログラム評価の方法論および評価教育法の開発とその有効性の検証」(2011-2014年度)の概要説明をさせて頂くために開催します

●実践家参画型形成評価プロジェクトにご参加いただく3つの方法
1.実践家参画型形成評価サイト(PPCaFE)やメーリングリストへの参加による意見交換
2.効果的プログラムモデル形成評価試行プロジェクト(2013.1 より 1 年の予定)への参加
3.効果的プログラムモデル実施マニュアル・実践家参画型評価ツール作成ワーキンググループへの参加
※いずれか1つ、あるいは2つ、またはすべての活動にご参加いただけます。

●後援
社団法人 日本精神保健福祉士協会
特定非営利法人 全国精神障害者地域生活支援協議会

●ホームページ
詳細なご案内パンフレット・申し込みフォームは、下記のサイトをご覧下さい。
http://psilocybe.co.jp/2012/0603/
本プロジェクトの総合サイト「PPカフェ」(PPC&FE)もご参照下さい。
http://ppcfe.com/

●申し込み締め切り
2012年5月30日(水)
ファックスでお申し込みの場合には、下記宛に、
ご氏名(ふりがな)・ご所属・連絡先(住所・電話)・参加人数をお知らせ下さい。

●お問い合わせ先
日本社会事業大学・効果のあがる就労移行支援プログラムのあり方研究会
〒204-8555 東京都清瀬市竹丘3-1-30 日本社会事業大学・大島研究室
e-mail: kokatekitaisoku@gmail.com
Fax: 042-496-3126


※画像は、秩父名物「わらじカツ丼」。
 本プロジェクトとは、一切関係ありませんので、念のため。

日本PSW協会の新執行体制

2012年05月08日 00時52分41秒 | PSWのお仕事

社団法人日本精神保健福祉士協会の役員体制が一新されました。
新年度に入り、理事たちがガラッと入れ替わりました。
新しい時代を感じさせる、若い実行力のある執行体制です。

大阪の柏木さんが、竹中さんの跡を継いで、会長になってくれました。
副会長になった宮部さん、田村さんも含め、三役すべて女性です。
協会の歴史始まって以来の、女性スリートップ体制の誕生です。

その脇を固めるのが、常任理事5人の面々の男性陣。
池谷さん、岩尾さん、高石さん、中川さん、宮本さん。
3人のクイーンと、5人のナイトたちという感じでしょうか。

木太さん、大塚さん、2人の常務理事が、日々の業務を遂行していきます。
他職能団体や厚生労働省ほか行政との折衝等、相変わらず多忙を極めています。
事務局長の坪松さんはじめ、事務局スタッフの方々が協会を支えてくれています。

先日(4月22日)の理事会に出席させて頂いて、組織の新陳代謝を実感しました。
ロの字に並んだ理事たちを見渡すと、一気に若返った印象があります。
平均年齢は公表されていませんが、勝手な推測では43~4歳位ではないでしょうか?

自己紹介で、思わず僕が「ずいぶん若返りましたね~。
一昔前は、僕と木太さんが、若手常任理事と言われていたのに…」と挨拶したら、
すかさず横にいた木太さんから「自分が歳とったんだよ~」と言われてしまいました。

確かに、いつの間にか歳月は流れ、一番年齢の高い方になってしまったようです。
法人化以前の執行部にいた50~60代のオジサンたちは、もう誰も残っていません。
あ、監事の西澤さんは別格ですが…。(失礼!)

理事たちは、みんな全国区、ブロック別選挙区からの選出です。
僕は今回「学識等理事」という枠で推挙されて、末席に加えて頂くことになりました。
あまり「学識」は無いのですが、「等」も入っているから良いのでしょう。(?_?)

理事会は早速、新年度の方針等をめぐって、活発な議論が展開されています。
今後の精神医療体制のあり方や、保護者制度の撤廃とその対案をめぐって、
精神保健福祉士の立ち位置が、問われる政治的な局面にも至ってきています。

個々のPSWが、そして組織体としての協会が、意見表明することが問われてきます。
「ショウ・ザ・フラッグ!」と問われて、旗色を明らかにすることも必要になるでしょう。
新しい若い執行部には、荒海を乗り切る、その難しい舵取りが期待されています。


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社団法人日本精神保健福祉士協会
Japanese Association of Psychiatric Social Workers(JAPSW)
新役員体制
(理事30名、監事2名)
(2012年4月1日現在)
【任期】2012年4月1日~2014年3月31日

会長:柏木一惠 (浅香山病院(大阪府)、全国)
第1副会長:宮部真弥子 (脳と心の総合健康センター(富山県)、全国)
第2副会長:田村綾子 (聖学院大学(埼玉県)、全国)

常任理事:池谷進(ケアホーム・グループホームふえふき(山梨県)、 関東信越ブロック)
常任理事:岩尾貴(石川県庁(石川県)、全国)
常任理事:高石大(ノーブルメディカルセンター(沖縄県)、全国)
常任理事:中川浩二(和歌山県庁(和歌山県)、全国)
常任理事:宮本浩司(アネックス湊川ホスピタル(兵庫県)、全国)

常務理事:大塚淳子(日本精神保健福祉士協会(東京都)、全国)
常務理事:木太直人(日本精神保健福祉士協会(東京都)、全国)

理事:廣江仁(障害福祉サービス事業所F&Y境港(鳥取県)、全国)
理事:鈴木浩子(植苗病院(北海道)、北海道ブロック)
理事:渡邉昭宏(すがのクリニック(福島県)、東北ブロック)
理事:福井康江(岩手県こころのケアセンター(岩手県)、関東・信越ブロック)
理事:金成透(所沢慈光病院(埼玉県)、関東・信越ブロック)
理事:渡辺由美子(南八幡メンタルサポートセンター(千葉県)、関東・信越ブロック)
理事:萬山直子(鶴見西井病院デイケアセンター(神奈川県)、関東・信越ブロック)
理事:菅原小夜子(こころ(静岡県)、東海・北陸ブロック)
理事:中住正紀(可知病院(愛知県)、東海・北陸ブロック)
理事:西川健一(あさがお(滋賀県)、近畿ブロック)
理事:知名純子(まるいクリニック(京都府)、近畿ブロック)
理事:岸本信義(浦安荘(岡山県)、中国ブロック)
理事:小谷尚子(徳島県立中央病院(徳島県)、四国ブロック)
理事:今村浩司( 西南女学院大学(福岡県)、九州・沖縄ブロック)
理事:鶴田啓洋(やどかりサポート鹿児島(鹿児島県)、九州・沖縄ブロック)

理事:青木聖久(日本精神保健福祉士養成校協会・日本福祉大学(愛知県)、学識等)
理事:石渡和実(日本障害者協議会・東洋英和女学院大学、学識等(外部理事))
理事:小関清之(木の実町診療所(山形県)、学識等)
理事:平尾博志(法務省、学識等(外部理事))
理事:古屋龍太(日本社会事業大学(東京都)、学識等)

監事:梅林邦彦(日本橋事務所・公認会計士、非構成員(外部監事))
監事:西澤利朗(目白大学(東京都)、構成員)



※画像は、雨にぬれるゴールデンウィークの青葉。
 豪雨・竜巻と大変な天気でしたが、草木の緑の美しい季節です。

居心地の良い場所

2012年05月02日 10時29分27秒 | PSWのお仕事

学生たちのレポートを読んでいると、時々ハッと気づかされることがあります。
ひとつの言葉について、とても明確なオリジナルな定義が描かれていたりします。
それは、年齢を加えるほどに忘れかけていた、大事な言葉との出会いでもあります。

昨日の演習授業では「居場所」という言葉と出会いました。
「居場所」という言葉は、精神保健福祉領域でよく使われる言葉です。
ありきたりなこの言葉を、様々な実践家が想いをこめて、今までも使っています。

この学生は、「居心地の良い場所」という何気ない説明を記していました。
この春に行った実習先である作業所の、当事者にとっての意味を考察していました。
地域で孤立しがちな人々の、ホッとできる、心癒される、元気をもらえる場所…。

そういえば、想田和弘監督の映画『精神』の中で「居場所」をめぐる会話がありましたね。
「自分の居場所がない」と語る患者さんに、精神科医の山本昌知さんが診察室で語る言葉。
メモに書いて患者さんに渡された言葉…「居りがい(甲斐)」。

「居りがいのある場所。行きがいのある場所があれば、生きがいになるな~」
人はみんな、世界に自分の居場所を見つけたいと願わざるを得ないのでしょう。
それは仲間と語る場であったり、ひとりになれる場であったり、愛する人の隣であったり。

この世界に、自分の居場所がないというのは、辛いものです。
言葉を交わす相手もなく、親しい感情を通わせ合うひともなく、何もすることがない。
人は否応なく意味を求める存在ですから、自分の生きている意味が実感できないと苦しい。

多くの地域の事業所が、精神障害を有する方々にとって居場所になっていたのは事実です。
病を抱えながらも仲間と憩い、語らい、笑顔が戻り、生きる力を取戻す場所。
そして、多くの人たちが、そこから新たな世界にチャレンジをしていきました。

ただ、障害者自立支援法以降、そうした単なる「居場所」は認められなくなりました。
就労自立を目指す社会参加の場と位置付けられ、合目的的な活動展開が求められました。
「居場所」の事業所は、低廉な裁量的経費の地域活動支援センターに位置付けられました。

かつては、精神科デイケアでも「居場所」機能の重要性が強調されていました。
しかし、地域の機関に繋げることもなく、病院で抱え込む長期化が問題となりました。
やはり診療報酬対象の「治療」の場ですから、漫然とした「居場所」では困ります。

同じように、地域の事業所も自立支援の報酬に見合った活動成果が求められた訳です。
結果として、目標が明確な新しい就労支援が展開され、成果を上げた事業所もあります。
一方で、事業の趣旨には合わず、居場所を失った、主に高齢化した精神障害の方もいます。

それでも、先の学生が実習先で強く感じた「居場所」は、実はたくさんあります。
たとえ、シビアな制度下の事業所であっても、利用者が自分の居場所と感じられる場。
それは、利用者相互の力と、それを引き出す職員のかかわりがあってこそでしょう。

居心地の良い、ポジティブな支え合いの雰囲気のある場所。
三つの間(時間・空間・仲間)が共有され、自然と笑顔が生まれる場所。
世界の中で生きている実感を感じられる、意味のある場所。

自分にとって「居場所」と言える場は、どこだろう?
自分は、自分の居場所を大切にしているだろうか?
そんなことを考えさせてくれた、素敵な学生の実習レポートでした。

ちなみに、彼女のレポートの一番のキーワードは「希望」でした。
「希望」を生む「居心地の良い場所」と記されたのは、東京の社会福祉法人巣立ち会です。
巣立ち会の利用者・職員のみなさん、学生へのご指導、ありがとうございました。



※画像は、京都の実家の庭に咲いていたムスカリ。

振替休日の授業

2012年05月01日 01時00分00秒 | 日々の雑記

今日(4月30日)は、昭和の日の振り替え休日。
いわゆる、ハッピーマンデーですね。
世間は、ゴールデンウィークの真っただ中、皆さんお休みです。
自宅のすぐ前にある月極め駐車場も、今朝はガラガラでした。
家族そろって、皆さん、お出かけですね。

残念ながら、僕は今日も仕事です。
今日は、青山学院大学の非常勤講師でした。
振り替え休日は無しで、全校で通常授業日となっています。
ハッピーマンデー対策で、月曜日の授業時間が確保できないからですね。
前期・後期に帯番組で時間割を組んでいる以上、仕方ないのでしょう。

いつもの通期風景とはまったく違う、都心に向かう電車の乗客の姿でした。
いつもの背広姿ではない、ラフな格好のお父さんたち。
いつもはお目にかからない、小さな子供連れやカップルたち。
いつもの無言の車内ではなく、笑い声の絶えないにぎやかな車内。
いつも通りの恰好で、カバンをぶら下げて電車に乗っている自分がみじめに思えました。

こんな日に授業をやってて、学生たちはちゃんと来るのかと思いましたが。
廊下から各教室を覗くと、いつもの通りのにぎやかな学生たち。
自分の担当科目の教室にも、いつもと変わらず学生たちがすでに待っていて。
履修学生22名のうち、18名がちゃんと出席していました。
思わず「みんな、えらいね」と言ったら、逆に怪訝な顔をされてしまいました。

帰りに、先週オープンしたばかりの「渋谷ヒカリエ」に行ってみました。
下から見上げると、何の変哲もない、ちょっと凸凹したビルですが、
来店者をさばくために、背広姿の男性店員や警備員が、大声で誘導していました。
誘導されるままに行くと、延々先の方まで行列が伸び、折り返してくるのが見えました。
ひとり仕事帰りの恰好で、にぎやかな行列に並ぶ気持ちにはなれなくて、諦めました。

大学や会社によっては、5月1日も2日も臨時休校にして、9連休のところもあるとか。
それぐらい休みがあると、まさにゴールデン・ウィークですね。
悲しいかな、僕は社会人になって以降、そういう優雅な職場に勤務したことがありません。
病院も、夏休みは3日間だけでしたし。
大学の教員になっても、実習巡回やらで、結局あまり休めません。

明日も大学で、午後めいっぱいの精神保健福祉士課程の授業があります。
11時からの打ち合わせ、ランチョンミーティング、夜7時半まで演習・実習指導です。
春休みの実習を経て、凛々しくなった学生たちは、全員出席で休みません。
限られた時間の中で、各自のレポートを報告しあい、グループで真剣に検討します。
そんな学生たちに煽られて、教員たちも夜9時までのアフターミーティングになります。

でも、休みは、やはり必要ですね。
疲労も蓄積してくるし、余裕がなく、発想も貧困になってきます。
強迫的にワーカホリックに仕事していても、できることは限られています。
昨年度は、宿題にも追われ、いつもボーっと疲れた顔をしていた僕ですが、
今年度は、少しきちんと休みをとって、自分の時間を確保したいと思っています。


※画像は、真下から見た「渋谷ヒカリエ」