PSW研究室

専門職大学院の教員をしてる精神保健福祉士のブログ

今年1年、ありがとうございました。

2010年12月27日 17時33分02秒 | ブログのこと
今日は、やたら色んな人に会いました。

午前中、四谷で。
日本精神保健福祉士養成校協会に4時間いました。

広島県立大学の、金子さん。
早稲田大学の、岩崎さん。
田園調布学園大学の、伊東さん。
日本精神保健福祉士協会の、田村さん。
精養協事務局の、鈴木さんとは初対面。

午後、大学で。
研究室は、入れ替わり立ち替わり、千客万来。

学部3年生の、大森さん。
プロジェクト研究員の、小佐々さん。
専門職5期生の、下山さん、田中さん。
専門職6期生の、荒井さん。
専門職7期生の、小林さん。
専門職教員の、矢部さん、今井さん。
通信教育科教員の、添田さん、北本さん。
生協の、石塚さん。

突然マスク姿で現れた、駒澤大学の、佐藤さんにはビックリ!
道ばたでばったり会った、山梨県立大学の、柳田さんにもビックリ!
玄関でばったり会った、学長の、高橋さんにもビックリ?

みんな、別れ際の挨拶は「良いお年を」「良いお年を~!」
いつもと違う、ちょっと華やいだ雰囲気の、年の瀬のご挨拶…。





「PSW研究室」にご訪問頂いている皆々様。
この1年間、おつきあい頂いて、ありがとうございました。
<(_ _)>

今日で、ブログ開設から634日。
なんとかかんとか、続いています。
(^_^)v

この間の記事更新、178件。
平均すると、3日に1回くらいの更新をしてきました。
(^-^)

本日までの訪問者、累計85000人。
最近は1日300人という日もあり、ちょっとビックリしています。
(^_^;)

今、いろいろ宿題が山積みなこともあり。
記事更新したり、コメ返するのが、かなり大変になってきているのですが…。
(>_<)

あれこれ、少しでも僕なりに発信したいという想いがあり。
それでも、続けてこれられたのは、やはり読んでくれる人がいるからです。
(^_^)

受け取ってくれる人がいないと、言葉は空虚にネット上に漂うだけ…。
受け止めてくれる人がいると、言葉は生きるエネルギーになります。
!(^^)!

最近しばしば「見ましたよ~」「読んでますよ~」と言われ。
嬉しいやら、恥ずかしいやら、ありがたいやら、恐縮するやら…。
(*^_^*)

一応ここは、「龍龍」という人の匿名ブログなんですが。
もう、すっかり面が割れてしまっており、悪いことができなくなりました。
(@_@)

で、だんだん諦めて、少し大胆になってきたのか。
最近は、仲間との画像アップとかが増えてきました。
(^_-)

僕がデジカメを向けると「これ、ブログに載せるの~?」と言われ。
そのうち、僕には人が寄りつかなくなるのでは?と危惧します。
(*_*)

そんなこんなで、もう年の暮れ…。
今年の記事は、これで最後にしようと思います。
m(_ _)m

年末年始、冬ごもりに入ります。
宿題をわんさか抱えて、コツコツやっていきます。
(=_=)

この1年間、おつきあい頂いて、どうもありがとうございました。
どうぞ、皆々様、良いお年をお迎え下さい。
(^_^)/~

「良いお年を!」
「良いお年を~!」
(^^)/~~~



※年末年始期間中、ちょっとブログの表示設定を変えています。
「アヒル」のブログ改め「新宿の高層ビル群」です。
 よろしかったら、古い記事も読んでやって下さい。(笑)

豊かなグループワーク体験の場を

2010年12月24日 11時38分37秒 | PSWのお仕事
PSW(精神保健福祉士)に期待される役割は、ケースワークだけではありません。
グループワークも重要な方法の一つである、と僕は思っています。
むしろPSWにとって、グループワークが無いという職場は、無いのではないでしょうか?

前職の病院では、PSWたちが、それぞれの担当病棟でグループ活動を行っていました。
多かれ少なかれ、精神科の病院では、様々なグループ活動を行っています。
僕が退職する前に、PSWが関与していた精神科病棟のグループ活動を挙げてみると…。



○オープンレクチャー
急性期開放病棟で、主に気分障害や睡眠障害の入院患者・家族を対象として行う。
心理教育プログラムを行うオープングループ。

○集団精神療法
急性期閉鎖病棟で、同時期に入院した統合失調症の入院患者を対象に行うグループ。
4回1クール、クローズドメンバーでの心理教育プログラム。

○PSW活動
アルコール・薬物依存病棟で、PSWが中心になって行うグループ活動。
スポーツ、レクリェーションゲーム、ボディワーク、院外散歩等、いろいろ。

○集団療法
アルコール・薬物依存病棟で週1回、医師・看護・OT・PSWが順番でグループを担当。
依存症に関わる自己内省を促すテーマを設定して、大小グループでのミーティング等。

○家族教室
アルコール・薬物依存病棟で夜間に行っていた、家族のグループ。
依存症をめぐる心理教育的レクチャーと、家族同士のグループミーティング。

○退院準備プログラム
社会復帰病棟(退院促進モデル病棟)で、長期在院患者を対象としたクローズドグループ。
週1回、1クール全17回+実践編7回の退院に向けてのSSTプログラム。

○外出プログラム
社会復帰病棟での長期在院患者を対象とした、社会復帰施設等の見学ツアー。
援護寮・グループホーム・地域生活支援センター等+お楽しみ企画の外出。

○家族懇談会
社会復帰病棟での入院患者の家族を対象とした、2~3ヶ月に1回の懇談会。
退院への心理的抵抗や不安・希望を述べ合う様子を、ニュースにして欠席者にも郵送。

○権利擁護講座
司法精神病棟での全入院患者を対象としたプログラム。
医療観察法対象者のための権利擁護啓発のレクチャーとミーティングを実施。

○社会復帰講座
司法精神病棟での全入院患者を対象としたプログラム。
各種福祉制度や支援サービスの紹介を中心としたレクチャーとミーティングを実施。

○社会復帰ユニットミーティング
司法精神病棟の社会復帰ユニット(8名)の入院患者を対象としたプログラム。
週1回のミーティングで、退院・社会復帰に向けた希望や不安を語り合う。

○むさしの会
病院全体の精神科家族会で、家族の自主運営により毎月第4土曜日午後に開催。
毎回30~60人の参加があり、レクチャーと小グループミーティングを実施。



週1回~月1回、隔月1回のものまで様々ですが、結構ありますよね。
これ以外に、毎日のデイケアやナイトケアの活動プログラムが入ります。
ケア会議や、スタッフのミーティング等も、まぁ広くグループワークでしょうが…。

これでも昔に比べると、随分PSWがかかわるグループ数は減ってしまいました。
以前は、各病棟ごとの家族教室や集団療法、月例レク、外来ミーティングもありましたし。
それでも他病院と比べても、遜色ないグループ活動数ではないでしょうか?

グループワークを維持するのって、結構大変です。
1週間のうち、その時間はグループ運営のために確保しておかねばなりませんし。
年々、外来相談等の業務に時間を割かれ、十分な展開ができなくなっていました。

個別の相談や電話応対が立て込んでくると、PSW側の心の余裕がありません。
浅野弘毅さんが言う「裏プログラム」が充実してないと「表」も形だけになります。
その時間内のプログラムを運営しているだけだと、思わぬ漏れやしっぺ返しも生じます。

それでも、PSWにとってグループワークやミーティングは大事にするべき時間です。
メンバーにとっても、スタッフにとっても、グループは豊かな資源と交流の宝庫です。
時間も限られ、経験や力量により多少の混乱や失敗があっても、行うべきだと思います。

グループの中で、人は他者と出会い、他者と交わります。
グループの中で、人は自分に気づき、自分を変えることができます。
グループの中で、人は言葉を習得し、生きる力を獲得していきます。

そんな想いもあって、「グループワーク技法」という授業を去年から開講しました。
前学長の大橋謙策さんには「今どきグループワークかぁ?」と揶揄されちゃいましたが。
僕なりに試行錯誤しながら、グループワークの面白さを伝えていければと思っています。



※画像は、東急ハーヴェストクラブ軽井沢でのゼミ合同合宿。
 合宿や飲み会も、とても大事なグループワーク場面?(^o^)

福祉業界の先細り?進行中

2010年12月18日 16時08分25秒 | 日々の雑記
全国的に、福祉系大学への進学者が減っています。
「不況に強い福祉」のはずが、若い高校生たちに敬遠されてきています。
福祉業界へのネガティブなイメージが、やはり強いようです。
テレビ等のマスメディアの影響でしょうか?
高校の先生たちも、「教え子が福祉にいくのは可哀想」と思っているそうですから。

でも、インターネットの影響が一番大きいですよね。
受験生がまず調べるのは、今や当たり前にネットですから。
それも、ここ数年、10代はパソコン離れが顕著です。
起動する時間が、まどろっこしいようで。
何よりも、メディアはすべてケータイ中心で回ってますから。

ネットを見ていて、若い10代が、福祉の世界に希望を持てているでしょうか?
僕が見ている限り、とんでもなくネガティブなコメントばかりです。
「やめとけ、やめとけ、後悔するぞ」みたいな。
PSW、精神保健福祉士はなおさらです。
ポジティブな記事や書き込み、残念ながら、ほとんど見ないですよね?

匿名性ゆえか、この国が病んでるせいか、ネットは毒を吐く場所になってしまっています。
医療や福祉の分野って、特にその傾向が顕著なような気がします。
対人支援サービスの業務で、優しさや善良性が強調される世界ゆえでしょうか?
ネガティブな毒を吐くことで、自身の安定を保っているのかも知れませんが。
それでも、若い世代へのイメージ刷り込みは、日々浸透しています。

現実は、現実として、きちんと見据える必要があります。
僕自身も、精神医療や精神障害者福祉の世界が素晴らしいなどと賛美する気はありません。
でも、その現場で働く者は、もっとその職場の豊かさも発信しても良いのではと思います。
少なくとも、みんな、この仕事を選択して、続けてきている理由があるはずです。
それを、少しでも言葉にして、文字にして、発信していく必要はあると思います。

自分が大学という教育の場に身を移したせいかも知れませんが。
ただでさえ少子化が進行する中で、このままでは福祉の世界は先細りです。
特に、PSWの現場は、顕著な人材供給不足に陥っていきそうです。
粗製濫造気味だった教育養成機関も、いずれ淘汰されていくでしょう。
既にピークを越えた福祉教育市場は、どんどん縮小していくことになりそうです。

「この国には全てのものが揃っている。ただひとつ、希望というものを除いては」
村上龍がそんなことを記したのは、もう20年くらい前でしょうか。
どこの現場でも、しんどい閉塞感が漂っているのは事実だと思いますが。
それでも、この仕事をしている、仕事を続けている意味は、どこかにあるはずです。
それを、一人ひとりが、身の回りから発信していくべきだと思います。

もうすぐ、PSWの現場実習指導者講習会も始まります。
面倒くさいですけれども、なんとか後進の育成につながればと思います。
いささかなりとも、精神保健福祉士の国家資格化に関与した者として、
今は教育の現場に身を置く者として、後ろ向きにはなりたくありません。
誰のせいでなく、時代は自分たちが作っているのだという意識は持ち続けたいと思います。



※画像は、6階の講義室から見た、キャンパス西側の風景。
 晴れた日には、富士山や秩父の山並みが、きれいに見えます。
 朝一番の授業の時、しばし院生たちとボ~ッと「山を見る会」を催してました。
 (^o^)


僕が今、編集中の本とか…

2010年12月16日 19時28分51秒 | 日々の雑記
今、僕は10冊の本の編集にかかわっています。
あれやこれやのプロジェクトが、同時進行中です。
なんか、いつのまにやら、仕事が増えてきてしまいました。
自分の整理のために、記しておきます。

ひとつは、雑誌です。
僕の責任編集で、精神科クリティカルパスの特集を組んでいます。
ようやく、すべての執筆依頼を済ませることができました。
来年の4月に発行予定です。

二つ目は、ブックレットです。
専門職大学院での公開講座の講義録です。
テープ起こし原稿に、手を入れるのですが、結構書くより手間がかかります。
年度内発行予定ですが、どうなりますか…。

三つ目は、教科書です。
2012年度から、PSWのカリキュラムが大幅に変わるので。
各出版社とも、ゼロからのテキストづくりを迫られています。
毎月、編集委員会があり、進行管理されています。

四つ目も、教科書です。
自分が書くだけでなく、章・節ごとに執筆者を依頼しなければなりません。
1冊つくるのに、20人くらいの方との連絡調整が必要になります。
教科書作りの責任編集って、結構大変な作業です。

五つ目は、家族会の本です。
もう10年前に出した本の改訂版をつくろうということで。
1~2ヶ月に一回、家族の方と10回くらい会議を重ねながら、内容を決めてきました。
こちらは、執筆者は30人近くになりそうです。

六つ目は、報告書です。
共同研究班が最終年度なので、報告書をまとめなければなりません。
年内に目次と骨子をまとめて、執筆分担を決めないと間に合いません。
これは、年度末、3月31日発行、厳守です。

七つ目は、本です。
僕の、生まれて初めての単著(単独著書)になる予定です。
なんだかんだ言っても、今までは、すべて共著・分担執筆・編集でしたから。
気合いは入っているのですが、時間がなくて、原稿書きが進んでいません。

八つ目は、テキストです。
学生向けじゃなくて、講習会用のテキストですね。
最近ありがちな、パワーポイントを編集した形のものです。
定まらない対象者を反映して、内容が固まり切らなくて、ちょっと困っています。

九つ目は、雑誌です。
これは、まだちょっと先で時間があるのですが。
でも、春には特集企画案をまとめて、提出しなきゃいけません。
それから執筆依頼ですから、できるのは来年秋ですね。

10個目が、パンフレットです。
入試広報担当として、来年度の大学院の入学案内を作らなきゃいけません。
作成は業者さんですが、内容も変わりますし、校正も何回も必要です。
あ、隔月発行の受験生向けニュースレターの編集もありました。

さすがに10の出版・編集プログラムが、同時に起動しているとピンチです。
最近のパソコンは容量アップしているので、そうそうフリーズすることないですけど。
僕の頭のメモリーは、年齢と共にキャパが減退しているので、時々フリーズしそうです。
与えられたミッションを、一つひとつ、コツコツこなしていくしかないですね…。


※画像は、11月22日に見学させて頂いた、上田市の宅老所もくれんにて。
 NPO法人やじろべー代表の中澤純一さん、どうもお世話になりました~。
 ここから専門職大学院に通っているんだ…、と距離を実感して頭が下がりました。


福祉士等現況調査に見る数字

2010年12月14日 19時23分06秒 | PSWのお仕事
前に記事で取り上げた厚生労働省の調査ですが、見たことない人も結構いるようなので。
ちょっと古いですけど、その概要を一応示しておきます。
2008年12月25日に公表された「介護福祉士等現況把握調査」のことです。
社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士の資格保有者を対象とした調査です。
福祉・介護分野で就労していない「潜在的有資格者」の状況把握を目的としています。

資格の登録機関である社会福祉振興・試験センターが、行ったものです。
30万8583人を対象に実施され、有効回答数は、18万6379人(有効回答率60.4%)。
この種の調査としては、最大規模のものです。
社会福祉振興・試験センターのホームページで、全文を見られます。

調査回答者は、
社会福祉士2万6624人(14.3%)、
介護福祉士15万2564人(81.9%)、
精神保健福祉士7191人(3.9%)。
PSWは母数そのものが少ないですから、しようがないですね。

男女別では、
男性2万9706人、
女性14万5809人。
この業界、やはり圧倒的に女性の割合が高いです。

回答者が就労している分野としては、
「福祉・介護分野」14万2980人(約77%)、
「福祉・介護以外の分野」1万5800人(約9%)、
「未就労」2万 7599人(約15%)で、
資格を持ちながら働いていない「潜在的有資格者」は4万3399人(約23%)でした。

福祉・介護分野で就労している有資格者の雇用形態を見ると、
「正規職員」の割合は社会福祉士84.7%、
精神保健福祉士83.2%、
介護福祉士65.5%でした。
介護福祉士は、パート勤務等の非正規雇用が多いんですね。

正規職員の平均給与額は、
社会福祉士24万9389円、
精神保健祉士24万7120円、
介護福祉士20万715円、となっています。
よく「福祉職は給料低くて、食っていけない」と言われていますが。
他の業種の給与調査と比較すると、決して低くはないんですよね。
ましてや「不況に強い福祉」、他業種ほどに一気に給与ダウンということは無いはずです。
この調査が実施されたのは、リーマンショックの直後、9~10月ですけど。
何と比較するかによるでしょうけど。

平均賞与額は、
社会福祉士78万1420円、
精神保健福祉士77万8141円、
介護祉士は49万767円でした。
介護福祉士では「賞与なし」が25.8%を占めています。
でも、介護を別とすると、ボーナスも他業種に比べて決して遜色ない気がしますが。

毎年度の定期昇給では、
社会福祉士の63.8%、
精神保健福祉の57.3%、
介護福祉士の50.6%、が昇給しています。

「昇給している」と回答した人の直近の平均昇給額は、
社会福祉士1万667円、
精神保健福祉士1万1852円、
介護福祉士8966円、でした。
PSWが一番昇給額が高いんですか?
へぇ~~?超意外って感じですね。

福祉・介護分野での転職回数を見ると、「1回~2回」と回答したのが、
社会福祉士56%、
精神保健福祉士54.4%、
介護福祉士47.0%、でした。
まるで転職しないで、ずっと一カ所でって人、確かに少ないですよね。
みんな、やりたいことや、より良い職場を求めて移るんでしょうね。

仕事上の不満や悩みについては、三福祉士いずれも「給与・諸手当が低い」が最も高く、
社会福祉士と精神保健福祉士ではそれぞれ40%強、介護福祉士では60%弱を占めています。

福祉・介護以外の分野では、どこで働いているのかというと、
「病院・診療所」で働いていると答えた人の割合が三福祉士とも最も高く、
社会福祉士38.6%、
精神保福祉士49.3%、
介護福祉士 25.4%、となっています。
やはり、PSWはまだ半数が医療機関で勤めているのですね。
それでも、随分減りました。
僕が働き始めた頃は、まだPSWの8割方が精神病院の勤務者でしたから。

「公務員(福祉以外)」と回答したのは、
社会福祉士が12%、
精神保健福祉士が31.1%に上っています。
結構、PSWで福祉分野以外の公務員になる人って、多いんですね。
まだ役所等では一般職採用で、福祉専門職配置が進んでいないということでしょうけど。
なお、介護福祉士については「サービス業」が15%を占めています。

福祉・介護分野の仕事を辞めた理由として「給与等の労働条件が悪いため」を挙げた人は、
社会福祉士25.5%、
精神保健福祉士20.5%、
介護福祉士32.2%、でした。

また、今後、福祉・介護分野へ復帰する上で改善してほしいこととして、
最も多かったのは「資格に見合った給与水準に引き上げる」です。
社会福祉士の64.8%、
精神保健福祉士の56.2%、
介護福祉士の62.4%、に上ります。

はて?PSWの比率が低いのは、なぜでしょう?
PSWは安価な賃金に慣れてしまっているからでしょうか?(笑)
ストレスフルな職場で、「給与等の労働条件」以外の離職理由が多いんですね。

現在就労していない有資格者の状況を見ると、
現在働いていない理由として最も多かったが「出産・子育てのため」です。
社会福祉士の46.7%、
精神保健祉士の31.2%、
介護福祉士の 38.1%、にのぼります。
やはり女性の多い職場だからとも言えますが。
でも、女性が多いから仕方ないっていうのは、やはりヘンですよね?

一方で「腰痛等、体調を崩しているため」の割合は、介護福祉士で13%に上っています。
体調を崩したという選択肢の、腰痛「等」が気になります。
有料老人ホームを複数運営する法人の理事長は「メンタルが多いよね~」と言ってました。
休職者のほとんどが、うつ等の精神疾患だそうです。
「不器用なくらい生真面目な人が多いんだよね」と言ってました。

福祉・介護分野への復帰の意向を見ると、全体の約5割が復帰したいと回答しています。
でも、一方で、社会福祉士の約2割、介護福祉士と精神保健福祉士の約3割が「戻りたくない」と答えています。
3割というのは、相当高い、深刻な数字だと思います。
二度とあんな仕事したくない、ってことですよね?
それだけ、現場の仕事に馴染めなかった、イヤな想いをしたということですよね。
まさか、精神と介護だけ、ストレス耐性の低い人が多いってことでもないでしょうし。

ただ、この種の統計調査って、やっぱり無理があります。
そもそも、ネガティブな問題点を把握するという組み立てになっているし。
仕事のやりがいとか、福祉への想いとか、ポジティブな側面、拾ってないですよね。
ストレングス視点の現況調査を、国がやってくれないかな~なんて…。
…ムリか?…そういう発想は、絶対に国に無いですね…(^_^;)


※画像は、東北新幹線の「マックスやまびこ」ですが。
 何が、MAXなんでしょう?(?_?)
 2階建てで、もう容量一杯ってことですかね?

ある大学教員の、ある一週間

2010年12月11日 18時43分06秒 | 日々の雑記
金曜日。

8:45出勤。
午前中、研究室で授業のパワポ作成。
障害者自立支援法改正案、参議院で可決・成立の一報が入りました。
合わせて、精神保健福祉士法も一部改正。
(また、仕事が増えそうな…)
11時、入試広報課で来年のパンフレット打合せ。

午後、研究室で会議のレジュメ作成。
ゼミ院生が来室。
一緒に珈琲のんで、しばしおしゃべり。
その後、あちこちに電話。
国立精神・神経医療研究センター。
香川の西紋病院。
島根の安来第一病院。
東京武蔵野病院。
あと…、忘れました…。(短期記銘力劣化)

夜18:00~21:15、専門職大学院の2コマ連続授業。
「精神障害者ケアマネジメント」第2回目。
本日のテーマは、「そもそも、精神障害者って?」
講義後、ゼミ院生たちと立ち話。
「先生忙しそうだから、忘年会は無理でも、新年会はなんとかやろう」と。
ハイ、すみません、年あけたら、結構大丈夫だと思うので…(??)
研究室で、メール返信、数件やってる間に時間は過ぎる。
23:05、退勤。



土曜日。

午前10時、国立精神・神経医療研究センターへ。
家族会むさしの会の役員会、出版ワーキンググループ。
名誉総長・高橋清久さんも交えて、和気藹々の昼食。

午後13:05、四谷の日本精神保健福祉士協会本部へ移動。
来年7月のAPC21開催に向けた、第2回目の国際委員会。
今後の体制・広報・企画案、等々検討。
日本語で発表可能なこと、アピールしていかないとね。

夕方18:00、西新宿へ移動。
雑誌『精神医療』の編集委員会。
東北新幹線が強風で止まり、東北組の3人が欠席。
次号、次々号、次々々号の特集内容検討。
また、仕事が舞い込んできそうな予感が…。

20:15、居酒屋へ移動。
編集委員11人で忘年会、大いに語る。
真夜中0時半、アルコール臭充満の満員電車で揉まれながら帰宅。



日曜日。

朝8時出勤、専門職大学院の第2期入試。
入試管理委員長として、試験会場をうろうろ徘徊。
受験生とグループディスカッションする入試特別委員の障害当事者たちと、懇談。

15時、入試業務終了後、研究室でしこしこ宿題に励む。

18時、トヨタの販売店へ。
さよなら、よく走ってくれたプリメーラワゴン、どうもありがとう。
こんにちは、プリウス、ハイブリッド運転、早く慣れなきゃ。
そのまま、夕飯の買い物へ、食材だけで、計6900円也。



月曜日。

朝9時出勤。
今日こそ、研究室にお籠もりの日。
少々具合の悪い、前職場の患者さんから電話3回。
自分からも、あちこちに電話。
目白大学の西澤さん。
東京国際大学の斎藤さん。
福岡県立大学の中村さん。
あと…忘れた…。(3件超えると、忘れる?)

午後、今時手書きの書類作成。
B5判4枚の書類を書くのに、2時間近くかかりました。
パソコンにしてくれ~。

16時、入試広報の打合せ。
パンフレット作成業者さんに、あれこれオーダー。
使えそうなデジカメ画像、データ出力。
僕の撮った院生たちの日常生活風景が、来年のパンフレットに載るかも?

18時、盟友・韮沢くんより電話。
成城墨岡クリニックのデイケアとグループホームで求人ありと。
仕事探している人はいるんだけどね。
マッチングがムズカシイ…。

しこしこ、宿題、原稿書き。



火曜日。

9時出勤。
メールチェックで、すぐ時間がたつ。

10時から、退院促進研究班の会議。
ピアサポーターからの意見聴取について。
オウトカムモニタリングの意見交換会の開催について。
学内共同研究最終年度末に向けて、報告書まとめて作成しなきゃ。
課題は山積み、宿題も山積み。
会議後、静岡から来ている大石さんと、地域移行講演会の打合せ。

午後、13時~19時。
学部PSW課程4年生の実習報告会。
先日、記事に書いたので割愛。
僕はとても良い会だったと思います。
発表する4年生たちは、それどころじゃなかったでしょうが(笑)

打ち上げ飲み会への参加は遠慮して、
夜は研究室で、しこしこ、宿題、原稿書き。



水曜日。

8:45出勤。
午前中、1~2限は「グループワーク技法」の授業。
前回の振り返りの後、今日のテーマはレクリェーションワーク。
ボールや新聞紙やホワイトボードを使って、みんなで大騒ぎしました。
受講生曰く「唯一息抜きのできる授業」だそうです。(どんなん?)

13:30~、カリキュラム委員会。
みっちり2時間半、専門職大学院のカリキュラム改訂に向けて。
16:00、ゼミ院生来室。
卒業レポート作成に向けて、悩み苦しんでいます。

17:30、地域生活支援センターあさやけへ移動。
地域自立支援協議会の地域移行部会・精神障害ワーキンググループ。
市内3病院のPSW、家族会、当事者、地域生活支援センターの委員。
病院調査から浮かび上がってきた数字と声を、施策に反映しなければなりません。
20:00、帰宅
帰ってからも、炬燵で、しこしこ、宿題、原稿書き。



木曜日

9:00出勤。
出版社から、原稿催促のメール。
明日までに入稿しないと、雑誌に穴が開くことに…。(汗…)
留守電には、資料送付催促の伝言。
あぁ~、まだ資料、できていないんです。(涙…)

自分の仕事もしたいけど、今日は会議が三つ。
10:00、入試管理委員会。
入試こそ、大学人にとって一番大切な学事だそうです。
14:40、全学教授会。
前は最低でも2時間半やってたのに、学長替わって短縮されました。
16:00、研究科委員会。
専門職大学院のあれこれ、ここで決まります。

17:30、教職員忘年会。
年1回だけ、全教職員が参加する忘年会。
今年のビンゴ、レンジご飯3パック、当たりました。(当たっただけ去年より良い)
Wiiの当たった先生が、羨ましかった…。
車で出勤だったので、ウーロン茶ばかり飲んでました。

ひとり研究室に戻り、しこしこ、宿題、原稿書き。

原稿書くのは、誰にとっても、やっぱり大変です。
結局、帰宅してからも未明4時まで書いて、少し寝て。
翌金曜日、夜の授業の後、なんとか書き上げて、23時半、発信しました。
一応、最終締め切り30分前ということで…。(汗)



ブログは、ウェブ上のログなので、日記をつけてみました。
しこしこ、宿題、原稿書き、の一週間。
でも、こんなん読んで、面白いですかね?(??)


※画像は、キャンパスの校舎。
 丸く膨らんでいる6階の教室が、僕の講義をするところです。

学部PSW課程の実習報告会

2010年12月09日 17時18分33秒 | 大学という場所
一昨日(12月7日)の午後は、学部精神保健福祉士課程の実習報告会でした。
今年度卒業予定の4年生18名が、実習の成果を発表しました。

資格課程の実習は、春にテーマ別実習3週間、夏に個別実習2週間、計23日間。
最低180時間、現場に入って、精神障害者と呼ばれる当事者から様々なことを学びます。

一人ひとり、現場で出会った事例から、自らのかかわりを考えます。
PSWとして何が必要なのか、視点と価値を確認する重要な場です。

後に続く3年生25人が真剣に聞き入り、わからないことを質問します。
関わってきた教員、非常勤講師、TA(ティーチングアシスタント)が見守ります。
今後PSW課程への進級を考える、1・2年生もちらほら来てました。
将来、現場でPSWとして働くかも知れない、まだ10代の学生たちです。

実習を受け入れてくれた現場指導者も、忙しい中、多数来てくれました。
「学生の報告をぜひ聞きたいから」と自らの意思で参加して下さった方々です。
休憩時には、お茶を飲んで、今は昔のお互いの若かりし頃のことを話したり。
かつて僕の病院で実習生だった人が、今は別の病院で実習指導者になっていたり。
お久しぶりと挨拶したら、病院と地域で一緒に支援していた方の訃報に接したり。
いつの間にか病院PSWに舞い戻っていて、肩書きも偉くなっていたり。
僕自身が転職してまだ間もないので、名刺交換をしたり。
学生を介して、大学と現場がつながる場にもなっています。

計70名くらいが、広い階段教室で、壇上の発表者を見守りました。
ひとりの発表・質疑時間は15分ですが、結局13時から丸々6時間かかりました。

卒論提出も抱えたこの時期に、4年生たちは大変だったと思います。
演習で4つのグループに分かれて、討議しながら発表内容をまとめてきました。

学生4~5人ずつにひとりの非常勤講師かTAが付いて、グループテーマを掲げています。
A.自己研鑽
B.一つひとつのつながりが生み出すつながり
C.その人らしさを支えるための視点
D.ワーカーにとって大切な視点(可能性を信じる)

主任教授の意向に沿わない発表に固執した、グループもあるようですが(笑)
自分の実習体験に頑固にこだわり続ける、そんな姿勢もPSWには大切ですよね。

報告のそれぞれに、学生が感じ、悩み、考え、討議してきたキーワードが語られます。
それは、現職PSWがともすれば忙しさの中で忘れがちな、とても大事な言葉たちです。


希望
思い
信頼
環境
感情
安心
距離
喜び
自由
連携
人生
生活
目標
意思
個別性
気持ち
気づき
可能性
決める
考える
信じる
生きる
イメージ
かかわり
自己決定
きっかけ
寄り添い
チャレンジ
自分らしさ
すきやき…(笑)

現場実習指導者の方々から、それぞれコメントを頂きました。
学生指導を通して自らのPSWの在り方を語る、真摯で優しく暖かい言葉でした。

最後に専任教員たちから、総評を、ひとことずつ。
静かな口調でも、一番熱いのは、実はこの人たちであったかと改めて感じました(笑)

「ともすればネガティブになりがちな現場で、諦めずポジティブに切り開く視点を」
「現場で働く際のPSWとして価値、今日の原点を、どうか忘れないで欲しい」
「日本の精神障害者がおかれた状況を変えるために、戦うPSWになって欲しい」

参加者それぞれが力をもらえた、とても、いい会でした。
PSWとして仕事をしてきたことに、僕自身も喜びを感じられました。

4年生の皆さん、お疲れ様でした。
皆さんの国家試験無事突破を、心より祈ります。

各現場の実習指導者の皆さん、ありがとうございました。
今後とも、どうか後進の育成にご協力お願い致します。


※画像は新宿のドコモタワーの夕景。記事内容とは全く関係ありません。

父のホームページ開設2周年

2010年12月02日 13時03分30秒 | 日々の雑記
今日、12月2日は、父の命日です。
今から4年前、午後2時2分に亡くなりました。
享年75歳、脳腫瘍でした。

父は学者でした。
専攻は、日本近現代政治史。
日清・日露戦争から太平洋戦争に至る、ファシズムの研究。
日本の軍国主義が暴走し、戦争に至ったのは何故なのか、が主題でした。

論文や著作は、あまり多くなく、限られています。
一般に出版された本も、もうすべて絶版になっていると思います。
歴史学界のなかでは、もう顧みられることもない、古い学者なのでしょう。

やや偏屈で厳しい物言いが災いしてか、弟子と言える人も少なかったようです。
定年退官した後は、再就職の誘いを断り、ずっと家にいました。
コツコツと収集した史料を整理して、過ごしていました。
テーマごとの膨大なスクラップとノート、コピーとマイクロフィルムが残されました。

父が勤務していた研究所では、死去後、遺稿著作集を出版するのが慣例でした。
遺族が出資して自費出版し、お世話になった先生たちや図書館に寄贈するのだそうです。
父の書斎にも、そういった方々の本が、確かにたくさんありました。
その人の業績を、きちんと形にして、後世に残すという趣旨だと思います。

でも、母と相談し、そういった慣例だけの、無駄なことはやめようと決めました。
仮に3分冊でまとめて、500部だけ作っても、最低300~400万円必要です。
読まれることもない本を、今さら自費出版することは、馬鹿げていると思えたのです。

その代わりに、すべての著作をインターネットで公開することを、僕は提案しました。
学問や研究は、他者に共有され、活用されてこそ、意味があると思ったからです。
半年ぐらい経ってから、母と一緒に、亡き父のホームページ作りが始まりました。

母は、残された膨大な蔵書の中から、父の著作を探していきました。
背表紙に名前があるのは限られており、共著や分担執筆分は、探さないと出てきません。
古い雑誌や大学の紀要等も、目次を繰りながら名前を探しました。
おおよそ100編弱の論文・報告が確認されました。
すべての出版社に手紙を送り、遺族として趣旨を伝え、著作権上の配慮をお願いしました。

今のようにパソコン・ワープロで打たれたデータは、一切ありません。
すべて活字の文献を、改めてデータ入力しなければなりませんでした。

そこで、「あとりえトントン」所長の高久英夫さんに、協力をお願いしました。
ホームページの入力・管理を主業務に行っている、精神障害者の作業所です。
以前、僕が日本PSW協会や東京PSW協会のインターネット委員長をしていた時、
初期のホームページを一緒に立ち上げ、丁寧に作ってくれた人です。
その後、日本社会福祉士会や日本病院・地域精神医学会のHPも作っています。
高久さんは、二つ返事で引き受けてくれて、全体のウェブデザインもしてくれました。

しかし、データ入力作業は、予想以上に難渋を極めた作業になりました。
見慣れない人名や固有名詞、難解字や歴史的事項が頻出し、校正作業も大変でした。
作業所の利用者たちが、ふたり一組になって、読み上げ、入力し、校正してくれました。

色々すったもんだもあって、結局、作業は1年半近くかかりました。
父の命日、2008年12月2日に、ホームページ公開にこぎ着けました。

古い史料を扱う歴史学者の間では、ネット公開は、やはり極めて異例のことのようです。
母は、お世話になった方々に、父のホームページ開設の挨拶状を郵送しました。
結構多くの方が訪れてくれて、暖かい励ましや感謝のメールを頂きました。

学者であった僕の父の言葉は、今、ネット上に残っています。
どこかの本棚の片隅で埋もれてしまうより、僕としては、良かったと思っています。
伝えたい言葉、残したい言葉こそ、形のないネットにふさわしいと思っています。
権威や権力が嫌いだった、反骨精神旺盛な父も、案外喜んでくれているかも知れません。

手前味噌ですが、よろしければ、一度、のぞいてみて下さい。
父の「古屋哲夫」という名前で検索すると、ヒットするはずです。
HP『古屋哲夫の足跡』アドレス→ http://www.furuyatetuo.com/ 

※画像は、葬式にも使った父の遺影です。
 晩年は、とても穏やかな笑顔の老人になっていました。

福祉専門職が仕事を辞める理由

2010年12月01日 16時44分01秒 | PSWのお仕事
昨日(11月30日)、茨城県に行ってきました。
まだ真っ暗な5時に起きて。
朝6時過ぎには家を出て、上野駅からフレッシュひたちに乗って。
前日の寝不足もあり、行き帰りの特急電車は、ほとんど爆睡状態でした。

今回、お邪魔したのは水戸の「水高スクエア」。
国立水戸病院跡地に、北水会グループが建てた、一大医療福祉複合エリアです。
病院から、特養老人ホーム、老健、救護施設、保育園、医療専門学校等が並びます。
さらに、フィットネスクラブから、カフェレストラン、整骨院、薬局、コンビニまで。

茨城県救護施設協議会の研修会にお招き頂きました。
県内施設の職員の方々のほかに、各施設長、県担当者もいらしていました。
テーマは「統合失調症・精神障害者へのかかわり方~『処遇困難』な利用者への接し方」。
午前中、講演をさせてもらって、午後はグループに分かれて演習を行いました。

茨城県内は、精神科への長期在院者が、かなり多い県だそうで。
退院促進・地域移行の流れの中で、救護施設に精神障害の利用者が急増しています。
今回、お邪魔した「救護施設もくせい」も、既に入所者の75%は精神障害の方だとか。
たしかに見学させて頂いても、ほとんどの方が、慢性の統合失調症の方と思われました。



お昼休みに、各施設長の方々とカフェレストランで食事をしました。
ある施設長の方と、職員の職場定着・離職の話になりました。
慣れない精神障害の方への対応で、ストレスフルになってる職員も多いようで。
スタッフ自身のメンタルヘルスも、大きな課題になっているようです。

特に、離職者を通して考えると、職場の人間関係が大きくクローズアップされてきます。
利用者とのかかわりよりも、同僚や上司とのコンフリクト(葛藤・対立)関係です。
仕事は続けたいけれども、あの人の下でやっていくのは、もう無理!という声です。
自身の専門職としてのアイデンティティを賭した、究極の自己選択としての離職です。

大人げないといえば、それまででしょうが。
保健・医療・福祉の世界って、それだけスタッフの人間観・価値観が反映する職場です。
利用者のことや、仕事自体は、決して嫌いではないけれど…。
このままでは、自分がダメになってしまう気がして…、という方も多いように思います。



一昨年末に、厚労省が公表した、就労状況実態調査があります。
全国の社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士登録者を対象としたものです。
未就労の方が全国で15%いる一方で、23%が現在は職場で働いていない人たちです。
調査では「潜在的有資格者」という表現になっています。

現在就労していない有資格者の状況を見ると、
現在働いていない理由として最も多かったが「出産・子育てのため」です。
社会福祉士の46.7%、介護福祉士の 38.1%、精神保健祉士の31.2%にのぼります。
一方で「腰痛等、体調を崩しているため」の割合は、介護福祉士で13%に上っています。

福祉・介護分野への現職復帰の意向を見ると、全体の約7割が戻りたいと回答しています。
その一方で、「戻りたくない」という回答もかなりあります。
社会福祉士の約1割、介護福祉士と精神保健福祉士のそれぞれ約2割にのぼります。
夢や希望を持って職についても、現場の厳しさに懲りてしまう、悲しい現実があります。

今後、福祉・介護分野へ復帰する上で改善してほしいこととして、
最も多かったのは「資格に見合った給与水準に引き上げる」です。
社会福祉士の64.8%、介護福祉士の62.4%、精神保健福祉士の56.2%に上ります。
福祉の仕事への評価を求める気持ちは、すごくよくわかります。

こういった結果から、厚労省社会・援護局の福祉基盤課は、
「キャリアアップの道筋を設けて、意欲のある人を評価する仕組みが必要。
子育て退職の割合が大きいため、仕事と子育てを両立させる仕組みが必要」としています。
ある程度キャリアが形成された人の、職場定着を図る手立てが、やはり必要です。



でも、こういった調査ではオモテに出てこない、もっとネガティブな側面もあります。
職場に蔓延しているコンプライアンス違反や、職員の利用者への人権感覚の乏しさ。
冷静で的確なスーパーバイザーの不在や、コンサルテーションできない職場環境。
そのような環境を反映した、いびつな職場内人間関係で疲弊してしまうスタッフ。

先の施設長さんの施設でも、職場の人間関係が元で、辞めていった方が結構いるそうで。
「できれば施設で定着して欲しいと思うけど、合う合わないってありますからね…」と。
でも、合う合わないで留めるじゃなくて、チームの問題として考えないとね。
仕事の目標を明確にして、チームをコーディネートできる人が求められているのでしょう。

それぞれの現場で、静かに闘っている人がいます。
学校で学んだ理念を、少しでも現場で形にするために。
現場を一気に変える、魔法の杖はどこにも存在しないから。
諦めず、粘り強く、したたかに、自分の現場を大事にしながら。

既にあるものを、変えていくって大変です。
変わることを頑強に拒否する人の方が、どうしても多いですから。
でも、自分自身の現場を少しでも変えていくことからしか、状況は変わらない。
日本の精神科医療を変えていくのは、そうした小さな営みの積み重ねだと思います。



※画像は、上野駅ホームの「フレッシュひたち」。