PSW研究室

専門職大学院の教員をしてる精神保健福祉士のブログ

「風評被害」の責任の取り方

2011年04月28日 19時39分24秒 | ブログのこと


■1.記事への反応と影響

「『心理カウンセラーお断り』の貼り紙」を記事にしてから、2週間が過ぎました。
「『PSW研究室』炎上の弁明」を先週記し、僕なりの意図を説明させて頂きました。
しかし、記事はネット上にどんどん際限なく拡散しており、終息は見えません。
改めて、これまでの経緯をまとめ、現時点での僕の率直な意見を記したいと思います。

これまで「PSW研究室」の訪問者は、毎日300人くらいでした。
この記事を載せた4月14日、アクセスは訪問者6549名、PV1万2千を超えました。
最初にそのカウント数を見たときには、何かの間違いではないかとさえ思いました。
全国の156万7145ブログ中、アクセス数18位という不名誉な記録を頂きました。

マイナーな個人ブログが、ここまで拡散したのは、「ツイッター」の影響によるものです。
この記事は、多くの方のリツイートにより、幅広く拡散していきました。
ツイッターでは、これまでに約10万回引用され、430名の方がコメントしています。
いつのまにか「2チャンネル」や「はてなブックマーク」にも取り上げられています。

ブログに直接コメントを頂いているのは、記事1本目が91件、記事2本目が54件です。
頂いた賛否両論のご意見を、一概に整理分類することなどできませんが。
それでも論調から、記事を擁護する立場、批判する立場、中間的な立場に分けてみると、
擁護派2割、批判派4割、中間派4割となるでしょうか…。

反応はネットの中だけでなく、僕自身のリアルな周辺でも現れています。
先週は、大学院の教務課に、抗議電話がありました。
今週は、大学の学長宛に、抗議のお手紙がありました。
いずれも、このブログを運営している僕に対して、大学側の適切な処置を求める内容です。
僕自身に反省の様子が見られないと判断しての、抗議であると受け止めています。


■2.記事の内容と批判

改めて、問題になった記事の内容を、僕なりに要約すると、次のようなものでした。

1)被災地の避難所に、「マスコミお断り」という貼り紙が貼られている。
2)これに加えて、最近「心理カウンセラーお断り」という貼り紙が登場した。
3)阪神大震災以降、被災地の方のPTSD、心のケアが強調されるようになった。
4)臨床心理士会などが調整し派遣しているが、そうでない「心理カウンセラー」もいる。
5)マニュアル片手に、安直に悲しみの感情を引き出すような相談であってはならない。
6)専門職側が自身の力量を見定めた上で、継続的な支援体制を組む必要がある。
7)貼り紙は、相談支援を生業とする者たちへの、精一杯の抗議と考えるべきである。
8)このことは、対人支援サービスの専門職が、共通して受け止めねばならない。
9)精神保健福祉士も専門職づらをしないで、できることを地道にやっていくしかない。
10)なお「心のケア」に取り組む方々に、不快の念を与えたとしたら、お詫びしたい。

読む方の立場によって、要約の仕方も違ってくるのは当然ですが。
僕としては、上記の7)8)9)が、今回の記事の中心テーマであると考えています。
ひとつの出来事を踏まえて、自分たちの専門職としてのあり方をきちんと振り返ろう。
今後長期にわたる被災地支援に、専門職として襟を正して取り組んでいきましょう。
そういったメッセージを込めたつもりでした。

しかし、僕自身の予測を超えた、ご批判とご意見を多数頂戴することになりました。
この記事を公開した僕への批判は、次のように要約できるでしょうか。

1)伝聞の情報、曖昧な表現で、悪意ある憶測による、デマ記事を書いている。
2)その結果、被災地における「心理カウンセラー」への風評被害を生んでいる。
3)結果として「心理カウンセラー」に対する不信感を、ネット上に拡散させている。
4)各職場における、臨床心理士と精神保健福祉士との感情的対立を煽っている。
5)被災者や、カウンセリングを受けているユーザー、ボランティアを傷つけた。
6)個人ブログとはいえ、大学教員という立場で許されるべきことではない。
7)報道機関サイトからの画像転載は、明らかに著作権法違反の犯罪に当たる。
8)自由な議論と称して、ネガティブな感情の応酬が繰り返される炎上を招いている。
9)その結果として、市民の専門職種に対する信用を失墜させ、名誉を毀損した。
10)これだけ拡散し世間を騒がせているブログの主宰者としての責任が問われている。

上記の批判点のうち、当初は1)~5)が批判の中心軸であったと思います。
ネット上の匿名性という特性もあり、かなり感情的なネガティブな応酬がなされました。
しかし、後半は6)~10)の点が、特に批判を受けるようになりました。
直近のコメントでは、このブログの存廃に関わる責任の取り方が問われています。

それでも、ここに記されたコメントは、僕自身へのメッセージであると考えています。
頂いた真摯なご批判やご意見は、改めて自らの発信の仕方を考えさせられるものでした。
また、ご自身のご体験や、当事者の方からの苦言は、正直、諫言身にしみる想いでした。
あえてこのブログ上に、臆せずコメントを寄せて頂いた方々に、改めて感謝申し上げます。


■3.「風評被害」の責任の取り方

記事を書いた僕の意図とは離れた様相で、このブログは拡散し展開していきました。
コメント上のネガティブな言葉の応酬を通じて、議論は泥沼化していきました。
上に記したように、このブログ「PSW研究室」の存廃が問われてきています。

実は初期の段階から、早期に記事を削除し、公開を停止するよう、忠告も頂きました。
ツイッターでの拡散とブログ炎上を止めるには、そうするべきだったかも知れません。
「風評被害」を撒き散らかした責任の取り方としては、それが一般的な対処なのでしょう。

炎上中のブログ記事の、具体的な訂正の仕方までご教示頂いた方もあり、恐縮至極です。
今からでも、即座にこの記事を削除し、ブログを停止することは、たやすくできます。
職場に届いた抗議文等も、僕に対する大学組織としての対応・処置を求める内容でした。

ただ、僕としては、臭い物に蓋をする問題の隠蔽は、いかがかと考えてしまいます。
今回図らずも露わになった、職場における心理職とワーカーとの意思疎通の悪さ等、
現実にある問題は、むしろ課題として共有していく姿勢が必要だと考えています。

ネットの恐ろしさを知らない、無自覚な甘い認識と、また批判を浴びるかも知れませんが。
僕は、今回の激しい言葉の応酬は、とても貴重であると思っています。
専門職としてないがしろにはできない、大事な価値に関わる議論であると思っています。

ブログは今も炎上してしまっていますが、僕は「荒らされた」という意識はありません。
一見「荒し」のように見えるネガティブなコメントも、ひとつの明快な主張があります。
誰もが読んで我が身を振り返らせられる、冷静で真摯なコメントも多数寄せられています。

コメントを削除したり、記事を非公開にしたり、ブログを停止するのはたやすいのですが。
この炎上中のブログを提示し続けることが、僕の責任の取り方かなと考えています。
そのことで、どんなに悪態をつかれても、悪評を高めることになってしまっても…。

「風評被害」の発信者は、きっと誰しも「そういう意図はなかった」と弁明するでしょう。
僕自身も「心理カウンセラーへの風評被害」を招くという意識はありませんでした。
ネット拡散への無自覚、甘さ等のご批判を受けつつ、今後も接点を模索したいと思います。

僕なりに「風評被害」への対応は、今後も真摯に継続したいと思っています。
一方で、対人支援サービス専門職の被災地支援のあり方については、ぜひ共有して欲しいテーマです。
また、他職種同士の連携協働についても、ぜひポジティブなご意見をお待ちしています。


■4.訂正とお詫び

「『心理カウンセラーお断り』の貼り紙」を、今さら無かったことにはできません。
「PSW研究室」の記事は、なおも当初のまま、ネット上を浮遊しています。
ただ、そのことによる、新たな火種を撒き散らしての類焼は防ぎたいと思っています。

何人もの方からご指摘頂いた、曖昧な字句や表現は、やはり改めるべきと思います。
個人ブログの気安さで、十分な推敲もしないで載せた記事です。
皆さんのご指摘を受けて、表現が練られていない部分も、多々目立ちます。

少なくとも、趣旨を損なわない範囲で、僕なりに反省すべき点は改めたいと思います。
これまでに頂いたコメントと整合性を失わない程度の、最低限の修正をさせて下さい。
近日中に、修正箇所も明示して、本文を少しいじらせて頂くつもりです。

また、ご指摘のあった写真転載の件は、やはり不適切であったと認めざるを得ません。
僕としては、現地の姿を伝える報道機関の方の画像をお借りしてと思ったわけですが。
やはり安直でしたし「自覚に乏しい」「幼い」という批判は当たっていると思います。

今回、「47NEWS」編集部の方とも、直接連絡を取らさせて頂きました。
47NEWSは共同通信をはじめ、47都道府県の52地方新聞社で構成されています。
掲載画像は、各社に著作権があり、一つひとつ了解を得るのは相当な困難を伴います。

記事の文言の修正に先立ち、まず震災関連画像の差し替えをさせて頂きました。
僕がこれまで撮りためた、デジカメや携帯の画像に、すべて差し替えました。
47NEWSの皆様方には、改めてお詫び申し上げ、ご寛恕の程お願いしたいと思います。


■5.感謝とお礼

最後に、この間、個別にメッセージやメールを頂戴した方々に、お礼を申し上げます。
僕自身の心身の状態や立場を気遣い、慰めの言葉を多々頂戴致しました。
わざわざ、研究室までお訪ね頂いた方々にも、心から感謝申し上げます。

今回の炎上で、「PSW研究室」本来の情報発信が、機能不全を起こしていますが。
上記のように、ブログを閉じずに継続することで、責任を取っていきたいと考えています。
今後も多様な記事を掲載していきますので、遠くから見守って頂ければ幸いです。

やや、まとまりに欠ける文章ですが、現時点での率直な見解を記させて頂きました。
お忙しい中、わざわざお越し頂いて、読んで下さっている方々には、感謝申し上げます。
「PSW研究室」炎上の行方は不明ですが、最後までお付き合い頂ければ幸いです。


※記事の一部を訂正させて頂きました。
(→7月1日付「謝罪と訂正と教訓と感謝と」をご参照ください)

「PSW研究室」炎上の弁明

2011年04月18日 03時53分00秒 | ブログのこと

先の「『心理カウンセラーお断り』の貼り紙」の記事について、記したいと思います。
この記事については、予想外の反響があり、おおいに物議を醸しているようです。
この際、発信した者として、僕の率直な意見と感想をコメントしておきたいと思います。

まず最初に、臆せずコメントを寄せて頂いた方々に、お礼を申し上げます。
僕の記した内容へ賛否両論ありますが、いずれの方にも感謝したいと思います。
それだけ、この記事の内容に、関心を持って真剣に受け止めて頂いたと考えるからです。

本来であれば、寄せて頂いたコメントの方、お一人ずつに返コメしたいところですが。
さすがにこれだけの数のコメントを頂くと、なかなかそう言う訳にもいきません。
この記事をもって、返コメに替えさせていただくこと、お許し下さい。

今日までに頂いた68件のコメントは、かなり多種多様です。
記事内容の事実関係を問うものから、僕自身の立場や人格を批判するものまで。
すべてに答えるのは無理がありますが、いくつかに整理して返答させていただきます。


■1.ネットの影響力について

率直に言って、今回の反応には、いささか僕はビックリしました。
ある程度の反応は予想していましたが、ここまでとは思いませんでした。
こんな個人ブログの一記事が、ツイッターで拡散していくとは、想定していませんでした。

ただし、ネットの影響力について無自覚であったかと言うと、そうではありません。
ネットは豊かな可能性を秘めていますし、まだまだ潜在する力があると思っています。
個人ブログを始めたのも、自分なりの情報発信を通して何か伝えられたらと考えたからです。

今回の東日本大震災については、マスメディア中心に被災地の様子が伝えられています。
でも、僕たちが仕事の上でも危惧している領域については、情報は乏しいままです。
様々な団体・個人から発信されているネットの情報が、本当に貴重に思います。

SNSの伝達力についても、今回、僕は身をもって直接感じることができました。
ただ、残念なのは、この記事の取り上げ方には、ややネガティブな扇動があったことです。
ツイッターを拝見すると、同一人物が繰り返し、この記事を取り上げているようです。


■2.コミュニケーションについて

ネガティブでアグレッシブな批判は、僕はとても大事だと思っています。
どろどろぐちゃぐちゃの怒鳴り合いのコミュニケーションも、時には必要です。
そういった議論がし難くなっている最近の学会等は、大変紳士的すぎて物足りなく、何も生まないのではとも思います。

少なくとも、ここにコメントを寄せて頂いた多くの方々は、真剣に考えて下さっている。
やや言葉足らずな僕の記事に対して、向き合い受け止めて下さっている。
被災地への支援のあり方を論じるそのことには、本当に僕は感謝しています。

ただ、そうは言っても、文字を介してのネット上のやりとりは限界があります。
特に、ネットの強みでもある匿名性が前提となっている点で、歪な関係が固定しがちです。
記されただけの文字は、ネガティブな感情反応を惹起する傾向が、どうしてもあります。

願わくば、この意見対立を止揚していくような、相互の共通理解が築ければと思います。
2チャンネルのような、匿名ゆえのネガティブな毒の吐き合いで終わるのではなく。
仮にも、僕たちは、対人支援サービスにかかわる者同士なのですから…。


■3.僕の立場について

コメント中に、僕の所属と氏名を明らかにせよ、との要求がありました。
その意図は、実名をネット上に流して、社会的に批判を加えたいということだと思います。
一応これ、匿名ブログなので、回答は差し控えさせて頂きます。

ただ、このブログの読んで頂ければわかりますが、僕の所属と実名はバレバレです。
防衛的になる必要もないので、実名を挙げて批判して頂いても、構いません。
ただ、その際は、ご自身の所属と実名も明らかにして頂ければ、幸いです。

やはり、他者を実名をあげて指弾し批判するには、それ相応の覚悟が必要です。
リアルな社会的存在である、自身のアイデンティティも賭しての討論になります。
そうでなければ、前述のコミュニケーションも成立しないでしょうし。

近しい方からは、一旦ブログを停止した方が良いのでは?というご忠告も頂きました。
大学に迷惑をかけ、僕自身もなんらかの処分を受けるのでは?との心配する声もあります。
色々と親身になって、この間メッセージを寄せて頂いた皆さんには、本当に感謝します。

でも、個人ブログでも言いたいことが言えない、自己検閲が働くのは危険です。
また、関係がまずくなったからといって、回路を閉ざさないのがSWの姿勢だと思います。
むしろ、今回の記事を契機に、大学と臨床現場が率直に語り合えれば良いなと思います。


■4.事実関係について

さて、「心理カウンセラーお断り」の貼り紙が、本当にあったのか?ということですが。
僕自身の遠慮もあり、婉曲的表現で曖昧な表現になっていたことが想像を膨らませてしまったのかも知れません。
しかし、その文言通りの貼り紙があったのは、紛れもない事実です。

ここにその場所を記すことで、現地の方に何かご迷惑がかかることを恐れます。
岩手県の沿岸部で、街全体が壊滅的打撃を受けたところです。
大規模な仮設住宅が建ち並びつつある場所です。

入れ替わり立ち替わり訪れる「心理カウンセラー」に、住民が怒ってしまったそうです。
支援体制に入るボランティアのコーディネートの重要さを、表していると思います。
それは、心理職に限らず、ワーカーだろうが医師・看護だろうが、同じだと思います。

僕は、基本的には、やはりユーザー側の反応や声を大事にするべきだと考えています。
専門職を名乗る側が、ユーザーの批判に謙虚であるべきだというのが、僕の主張です。
精神保健福祉士等のソーシャルワーカー側の自戒として、僕は記したつもりです。

貼り紙が本当にあったのか?という疑念が、まず表明されたのは、残念なことです。
善意のボランティアは感謝されているはずという前提は、危険だと思います。
むしろ、貼り紙に記された言葉の意味を考えるのが、専門職を名乗る側の義務と考えます。


■5.「心理カウンセラー」について

「心理カウンセラーお断り」との貼り紙なので、僕は「心理カウンセラー」と記しました。
「心理カウンセラー」イコール臨床心理士とは、考えていません。
本文中にも、そのような記述はないはずですし、心理の民間資格は数多あるのが現状です。

むしろ、臨床心理士会は今回の震災当初から、組織的対応を早期から組んでいます。
阪神淡路大震災の経験と教訓も踏まえて、臨床心理士の危機対応体制は明確です。
政府への対応、現地への派遣体制調整等、もっとも早かった職種といえます。

コメントを読んでいくと、いつの間にか「臨床心理士VS精神保健福祉士」のようになっていますが。
住民の怒りを買った方が、「心理カウンセラー」を名乗った、あるいは受け止められたということであり、資格は特定されていません。
一般の方にわかりやすい肩書きかも知れませんが、曖昧な名称であることは確かです。

被災地という特殊な状況下では、感情的反応も昂進し、精神的な深い傷跡を残します。
カウンセリング技術を駆使しての、心理的介入やケアの必要な方が、たくさんいます。
他職種と連携して、心理職の方々が果たす役割は、本当に大きいと僕は認識しています。


■6.心理職とワーカーとの関係について

「心理職とワーカーが元々仲が悪い」というコメントがあり、僕は少し意外でした。
確かにそういう職場はあるのでしょうが、僕はむしろとても近しい職種と感じていました。
少なくとも、僕が勤めていた病院では、常に一緒に仕事をしているチームの仲間でしたし。

今回の記事を投稿する際にも、その時の同僚の顔が浮かんで、考えました。
この記事内容は、彼ら彼女らを批判することになるだろうかと、僕なりに考えました。
でも、自らの専門職種としての襟を正すという趣旨で、職種が異なっても共有して考えてもらえる課題であると思いました。

自職場だけでなく、各地の臨床現場で奮闘している心理職も、多数知っています。
心理職の国家資格化についても、僕なりのスタンスで応援してきた経緯もあります。
異なる職種ゆえに、お互いの差異を認め合い、差異を共有する関係が築けるはずです。

心理職と精神保健福祉士は、現場では相補的な関係にあると、僕は考えています。
スクールカウンセラーとスクールSWも、タッグを組めると本当に力を発揮できると思います。
お互いの認識や方法に違いがあって当然だし、覇権争いのようなコンフリクトが生じるとしたら、やはりコミュニケーション不足があるのではと思います。


■7.「心理職を蔑視している」との批判について

コメント中で、僕が心理職の方を蔑視している、との批判がありました。
心理職と精神保健福祉士を比較して、PSWの優位性を誇示しようとしていると。
問題のあった事例を取り上げて、心理職全体をネガティブに批判していると。

記事本文で僕が記しているのは、残念ながらこういう方もいるという例示です。
少なくとも、心理職全体がそうであると批判するような意図は、毛頭ありません。
ましてや、PSWの優位性を示そうなどという考えはなく、優劣をつけられるはずもありません。

なお、仮に「精神保健福祉士お断り」との貼り紙があった場合には、記事で取り上げないのでは?という問いかけがありました。
これについては、僕はまったく逆に考えています。
むしろ、そのような貼り紙が掲示されていたら、もっと厳しく問題にするでしょう。

被災地の方からの無言の抗議を、いかに受け止めるべきかの自己検証を提起するでしょう。
PSWの被災地支援の入り方が、どのように問題とされているのか。
PSWとして何が問題であったのか、自身も反省的にやはり考えると思います。


■8.「専門職種の対立を煽っている」との批判について

僕自身の言葉足らずな記述が、心理職の方々に不快の念を与えたとしたら、それはお詫び致します。
ただ、僕の考えている心理職の方とSWの関係については、これまでに記した通りです。
専門職種同士の対立を煽るような意図は、まったくありません。

むしろ、本当に意外だったのは、寄せられた数々のコメントの展開でした。
僕の記事を契機に、なんでそこまで話しが展開するの?と思える記述が多々ありました。
記事の言葉に対して、一気に日頃の不満が投影されているような印象さえあります。

相互の職種に対する、異和感や不満が、そんなに各現場でくすぶっていたのでしょうか?
僕のように、自分の現場で相互に言いたいことが言えていた関係は、まれなのでしょうか?
だとしたら、本当に不幸なことで、チームで働く臨床現場では深刻な事態と言えます。

先に記したように、僕にとっては心理とワーカーは、車の両輪のような関係です。
対象者への視点や働きかけ・かかわりの深さや広さを、相互に刺戟し合える職種です。
デイケア等のリハビリ活動でも、退院・地域移行支援でも、常にそうでした。

現場によって、異なる専門職種間のコンフリクトが生じがちなのは、確かでしょうけど。
そんなに、心理職とPSW、対立していますか?各現場で?
これは、僕の率直な疑問です。



まだまだ、たくさんお答えしなければならないことがありますが。
とりあえず、今の時点での僕の率直な感想と意見を、記させて頂きました。

このコメントが、更に火に油を注ぐようなことにならないか、やや危惧もあります。
それでも、率直にディスカッションするのは、いいことだと思います。

この記事のコメント欄に、どうぞご自由に、ご意見ご批判をお寄せ下さい。
物議を醸した張本人の僕も、できるだけ、自分なりにお答えしていきたいと思います。



※4月25日、画像を差し替えました。

「心理カウンセラーお断り」の貼り紙

2011年04月14日 09時31分41秒 | 日々の雑記


東日本大震災の被災地を訪れた人から、聞きました。
避難所の入り口に「マスコミお断り」という紙が、貼られているそうです。
一枚の紙を張り出すに至った被災地の方々の想いは、マスコミでは伝えられていません。

被災地の状況について、僕たちは、多くの情報をマスメディアから得ています。
テレビ画面に映し出される、津波の様子や壊滅した街の状況。
そして、住む家や家族を失った被災した方々の、絞り出すような生の声や表情。

画像は、強烈に僕たちに訴えかけ、僕たちの心を揺さぶります。
被災した方々の姿と声が、多くの人々の気持ちを突き動かしているのは事実です。
でも一方で、プライバシーのない避難所の方々は、マスメディアに晒され続けています。

「大変でしたね」「大丈夫ですか」という言葉とともに、マイクとカメラが向けられる。
それは、気遣いの言葉ではあっても、あくまでも報道が目的のものです。
被災地の方の気持ちに寄り添い、そのリカバリーを促すカウンセリングではありません。

多くの避難所の方々が、もう対応にうんざりしているということでしょう。
そして、その貼り紙の横に、もう一枚、新たな貼り紙が加わりました。
「心理カウンセラーお断り」という貼り紙が…。

阪神淡路大震災以降、被災者のPTSD、心のケアが強調されるようになりました。
今回も、多くの心理カウンセリングのボランティアが、現地入りしているようです。
文部科学省も子どもの心のケアのために、千数百人規模のカウンセラー派遣を決めました。

臨床心理士会などが、きちんとコーディネート機能を果たして、派遣する人材をコントロールできていれば、まだ良いのですが。
実際には、善意で現地入りしている人たちが、それぞれ活動しているのが実態です。
そして、残念ながら、その「心理カウンセラー」の質は、実にまちまちです。

勉強途上の学生や院生が、マニュアルだけ片手に、相談を請け負う例も多いようです。
使命感ももちろんあるでしょうが、自身の力量はきちんと見定めて欲しいと思います。
少なくとも、自分の専門職としての腕試しや勉強のために、被災地を使わないで欲しい。

見ず知らずの人に語るということだけで、カタルシスが得られるものではありません。
喪の作業に本当に寄り添うことができなければ、相手をパワーレスにするだけです。
いたずらに悲しみの感情を引き出して、その後のフォローもない支援などあり得ない。

「心理カウンセラー」を名乗るなら、少なくとも相手のためになるかかわりをして欲しい。
被災地の方々自身による、リカバリーが促進されるようなかかわりをして欲しい。
専門職の自己満足や、ましてや事例収集のために、被災地に足を踏み入れるべきではない。

「話せて良かった」「聞いてもらえて良かった」と、穏やかな笑顔を返してもらえるか。
「相談したけど、結局何にもならなかった」というため息で語られるようになるのか。
「心理カウンセラーお断り」という貼り紙は、避難所の方の精一杯の抗議と考えるべきだと思います。

それは、「心理カウンセラー」だけでなく、精神保健福祉士だって一緒です。
専門職づらをしないで、できることをコツコツと地道にやっていくしかありません。
「ソーシャルワーカーお断り」と言うような貼り紙を、貼られることのないように…。


被災地支援に取り組む心理職の方々に、失礼なことを書き連ねたかも知れません。
真摯に「心のケア」に取り組む方々に、不快の念を与えたとしたら、お詫び致します。
どうか他職種と連携しての、継続的な息の長い支援をよろしくお願い致します。


※画像は、差し替えさせて頂きました

※文言を、一部訂正させて頂きました
(→7月1日付「謝罪と訂正と教訓と感謝と」の記事をご覧ください)

東日本大震災:SWによる被災地支援

2011年04月13日 11時52分31秒 | 精神保健福祉情報


3月11日午後2時46分、未曾有の震災の発生から一ヶ月が経ちました。
この一ヶ月に、このブログの更新は4回しかできませんでした。
今日も、4月に入って、まだ2回目です。

この間、マスメディアやネット上の情報量に圧倒され、僕は何もできませんでした。
今回の震災対応については、何も役割を果たせず、情報を後追いするだけでした。
率直に言って、僕自身の気持ちが萎えて、余裕がまるで無かったことが主たる原因です。

その間も、多くの方々が、ここを訪れて頂いています。
震災直後は、毎日1千名を超える方が、アクセスして下さってました。
誰しもが、情報に飢え、何かできないかと考えていたのだと思います。

その後、多くの団体や個人が、被災地との情報ネットワークを築いて下さいました。
関係学会や協会は、それぞれの会員や構成員と連絡を取り、動きを創っていきました。
それらは、ようやく軌道に乗り、具体的な人的派遣体制が確立されつつあります。

震災直後や初期の、トリアージを含む救命救急医療活動は、視野に入らなくなっています。
それでも、現在でも乏しい医療資源の中で、各医療機関の懸命の努力が続けられています。
せっかく生き残った被災者の方が、高齢者を中心に、毎日避難先で亡くなっています。

そして、震災から一ヶ月が経ち、支援は新しい局面を迎えつつあります。
現地の避難所で過ごす方も、県外に脱出した方も、生活をしていかねばなりません。
家族や住まいを失いながらも、生き残った方は、新しい生活を築いていかねばなりません。

保健・医療の支援は未だ大きいでしょうが、今後は福祉にシフトしてくると思います。
福祉施設への人的支援だけでなく、被災した方々全員を対象とした福祉的支援。
ソーシャルワーカーとして何ができるのか、問われているのだと思います。

専門職大学院の僕のゼミ院生が、ボランティア先の被災地からメールをくれています。
現段階では、医療スタッフと同行しての避難所訪問が有効ではないかと、言っています。
今後支援ニーズが推移する段階で、SW単独、SWグループの介入が有効になるのではと。

高齢者の中でも、認知症の方のニーズ把握が、なかなか難しいようです。
現地のケアマネさんも孤軍奮闘しているけれども、連携が取りづらくなっているとのこと。
地元資源に疎いボランティアSWも、現地スタッフとの協働を築きつつあるそうです。

日本PSW協会の災害対策支援本部も、今週からボランティア派遣を開始しました。
宮城県内では仙台市内に活動拠点を定め、登録者が順次派遣できる体制ができたとのこと。
福島県では主に南相馬市での、支援活動計画の最終調整を行っているとのことでした。

本学でも遅ればせながら、教員2名を被災地(岩手県・宮城県)に派遣しました。
状況確認の上、現地の関係者とともに今後の支援体制を検討してきてくれました。
学生自身が立ち上げた災害ボランティア組織が、これからフル稼働してくれそうです。

被災地の精神保健福祉関係機関の様子については、下記のサイトをご参照下さい。
コンボ(地域精神保健福祉機構)と国立精神保健研究所社会復帰研究部、
ACT全国ネットワーク、全国精神障害者地域生活支援協議会の共同運営サイトです。

街の「復興」には、これから長い時間がかかるでしょう。
でも、被災地の方々は、それぞれのリカバリーを、既に開始しています。
リカバリー(を支援する)とは、どういうことなのか、問われているのは僕たちの側です。


☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆


●拡散希望です!!●

【被災地の状況がわかる人は更新をしてください!】

東日本大震災につきまして、さまざまな情報が配信されておりますが、精神保健福祉関係の情報サイトがあり、運営団体は最新情報を書き込んで更新してほしいと呼びかけています。

このサイトは、
NPO法人 地域精神保健福祉機構(コンボ)
国立精神保健研究所社会復帰研究部
ACT全国ネットワーク
全国精神障害者地域生活支援協議会(あみ)
の4者が運営する2つのサイトです。

(1)被災地の精神科病院の情報および、
(2)地域精神保健活動の状況が、簡潔に把握できるものです。

このサイトの特徴は、状況を把握した人が、その情報を書き込んでつくりあげていくというものですので、新しい情報を提供することが可能ですが、すでに情報が古くなっている書き込みも目立ってきています。

上記の運営団体は、現地の情報を知っている人がいれば、ぜひ新しい情報を書き込んでほしい、と訴えています。

★現地の状況を知っている人は、どんどんこのサイトに書き込んで、新しい情報がわかるようにご協力いただきますよう、お願いいたします!

【サイトへのアクセス方法】http://comhbo.net

まずは、コンボのサイト(http://comhbo.net)にアクセスし、
【被災地の精神科病院状況リスト】
【被災地における地域精神保健福祉活動の情報】
に更にそれぞれアクセスしてください。

【サイトの運営団体】
〈被災地の精神科病院状況リスト〉
運営:ACT全国ネットワーク、国立精神保健研究所社会復帰研究部、NPOコンボ

〈被災地における地域精神保健福祉活動の情報〉
運営:NPOコンボ、全国精神障害者地域生活支援協議会(あみ)



※画像は、差し替えさせて頂きました。

大学での被災地支援活動

2011年04月01日 10時30分27秒 | 大学という場所


日本社会事業大学では、ほとんどの学生達が、ボランティア団体に属しています。
福祉の単科大学ゆえでしょうが、在学中に何かボランティアやってるのが当たり前。
誰でも、いわゆるサークル活動と、ボランティアサークルの二足のわらじが当たり前です。

東日本大震災への支援活動展開も、学生達の動きは迅速でした。
なかなか被災地までは行けなくても、できるところで動くという姿勢は明確でした。
さいたまスーパーアリーナへは、たくさんの学生・院生が自主的に向かいました。

これまで、この大学には、フォーマルな災害支援体制は組まれていませんでした。
今回の震災を機に「災害支援ボランティアセンター」を立ち上げました。
活動を行う学生団体と教職員組織、地域関係団体での共同運営をめざしています。

大学独自の義援金募金活動も始まりました。
今回の被災状況を見ると、復興にはかなりの時間がかかると考えざるを得ません。
既に時間経過と共に、募金が集まりにくくなってきているという情報が気になります。

4月5日に予定していた入学式は、延期せず行うことになりました。
講堂は使わず、学部生と大学院と別々で行う、変則的なものですが。
新しく迎える学生達と、新たな被災地支援活動が拡がっていくと思います。

今回、2件、お知らせを掲載しておきます。
ひとつは、上にも記した、大学の義援金募金活動のお知らせ。
もうひとつは、今週末、大学で行われる支援物資収集活動のお知らせ。

どこの地域でも、どこの職場でも、すでに取り組まれているとは思いますが。
生活を支えて行くのは、ヒトと、モノと、カネです。
お近くの方は、ご協力のほど、お願い致します。


※画像は、差し替えました。


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東日本大震災義援金へのご協力をお願いします

日本社会事業大学東北地方太平洋沖地震対策本部
本部長  高橋 重宏 (学長)

この度の東北地方太平洋沖地震により、東日本の各地に多大な被害がもたらされました。
被災された皆様に心からお見舞い申し上げますとともに、犠牲となって尊い命を失われ
た方々のご冥福を謹んでお祈りいたします。
さて、被災された地域では、いまでもたくさんの方々が救援の手を求めておられます。
そこで、日本社会事業大学では、被災された方々への支援のため、日本社会事業大学に係わる皆様からの義援金を受け付けることといたしました。
義援金は、大学内の募金箱でお受けするほか、次の受付口座でもお受けしております。皆様の温かいご協力をお願いいたします。
今回お預かりします義援金は、中央共同募金会を通じて被災された地域に届けられ、被災された方々の生活支援や地域の復興に役立たせていただきます。また、その一部については被災しました同窓生などへの支援等に活用させていただくこととしております。

お振り込みいただく受付口座は次のとおりです。
【義援金受付口座】
三井住友銀行 清瀬支店(店番号849) 普通預金 №4693269
口座名:「社大震災義援金口」(シャダイシンサイギエンキングチ)

振込手数料は、ご負担願います。
但し、三井住友銀行本支店のATMによる振込の場合は、「振込手数料受取人負担」を選択していただくことで、三井住友銀行様のご協力により、手数料が無料となります。
※本募金については、税法上の寄付金控除の対象とはなりませんので、ご留意願います。

なお、義援金に関するお問い合わせ先は以下の窓口にお願いいたします。
学部生・院生の皆さん   ……学生支援課 042-496-3110
通信課程学生の皆さん   ……通信教育室 042-496-3200
同窓会の皆さん      ……校友室   042-496-3053
子ども学園保護者の皆さん ……子ども学園  042-491-8131
上記以外のお問い合わせは次にお願いします。
総務課 Tel 042-496-3000 Fax 042-496-3001
Mail:gienkin@jcsw.ac.jp





清瀬青年会議所が支援物資を集めます

日時 4月2日(土)・3日(日)午後1時~4時
場所 コミュニティープラザひまわり102号室(清瀬市中清戸1-212-4)
   日本社会事業大学A棟1階ロビー(清瀬市竹丘3-1-309)
後援 清瀬市
協賛 日本社会事業大学
   詳しい場所は、以下リンクをご覧ください。

清瀬青年会議所が集める支援物資一覧
(1) 水(ペットボトル 500ml、1リットル、2リットル、その他)
(2) 保存食(カップ麺、インスタント麺、アルファ米)
(3) 粉ミルク
(4) 生理用品
(5) 紙おむつ(幼児用)
(6) 高齢者用オムツ
(7) 尿失禁用パッド
(8) マスク
(9) トイレットペーパー
(10) ボックスティッシュ
(11) ウエットティッシュ
(12) 使い捨てカイロ
(13) 乾電池(単1~単4)
(14) ブルーシート
(15) 下着(男女各サイズ)

※開封済みのもの及び上記以外の物品は、受け付けることができません。
※使用期限(賞味期限)が残り1ヶ月以内のものは、受け付けることができません。
※品物の状況によっては受け付けられない場合があります。
その場合は、お持ち帰りいただくこととなりますのでご了承ください。

お問い合わせ先
清瀬青年会議所
電話:内野090-8433-1767または澁谷090-8727-1489

市のホームページから。
URLは、こちら→ http://www.city.kiyose.lg.jp/hp/page000005500/hpg000005468.htm

※なお、東京都の支援物資収集は、現在受け入れをストップしています。