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大井川の風

春夏秋冬、四季それぞれの風をお届けします。
富士山静岡空港をはじめ大井川流域のさまざまな
情報を掲載しています。

商人の心 越中富山の薬屋さん 懸場帳

2009-03-20 23:30:00 | あきんど入門
交通手段が発達した現代と違い、昔は大きな柳行李を担いで旅に出た売薬さん。
一度富山を出たらなかなか戻ってくることが出来ません。また、持って行く薬の種類や数を間違えると、売れない薬を抱えての道中になります。さらに配置した薬も期限がありますので、古くなった薬は回収しなければなりません。下手をすると帰りの方が荷物が多くなる可能性もあります。

そこで薬の配置先を無駄なく廻るために売薬さんたちはある工夫をしました。
それが「懸場帳(かけばちょう)」です。

売薬さんは「懸場帳(かけばちょう)」に、訪問先に配置した薬の種類や数、使用量、集金の金額をはじめ、家族構成から健康状態までを細かく記録しました。
訪問記録をつけることで、それがデータベースとなり、「この家系は神経性の疾患があるから症状に応じて薬を用意していこう」とか「この地域は胃腸の疾患が多いから新しい胃腸薬を用意しよう」という、お客さまに喜ばれるサービスができるようになりました。


現代では「顧客管理」「マーケティング」「提案型営業」などと、新しい営業手法がもてはやされるなかで、売薬さんたちはそれをずっと昔に発見し、長い間実践してきたのです。

こうして年ごとに記録された懸場帳。売薬さんが高齢になって、いよいよ仕事を辞める時、年間の平均売上金額などをもとに引き継いでいく売薬さんに買い取ってもらいます。売上金額が多い懸場帳や、古くからの顧客が多い(=信頼されている売薬さんの)懸場帳は、いわゆる暖簾価値が付けられて高額で売買され、それが辞めていく売薬さんの退職金になっていくのです。

※明日からは「富士山静岡空港の今!」をお届けします。

商人の心 越中富山の薬屋さん 柳行李

2009-02-20 23:50:37 | あきんど入門
毎月20日は「あきんど入門」の日です。

先月のあきんど入門の際に、ちょっとしたクイズを出しました。
「ここで問題です。売薬さんは何段にも重ねた柳行李を担いでいますが、おみやげが入っているのは何段目でしょうか?」

今日はその答えです。

売薬さんが担ぐ柳行李。いろいろなタイプがありますが、おおよそ5段になっています。一番大きな5段目とその上の4段目は、新しく配置する薬が入ります。真ん中の3段目はお客さんのところから回収した古い薬。そして、2段目がクイズの正解、お客さんへのおみやげ品が入っている段。最後に一番上の段には大切な懸場帳や算盤、印鑑などが入っています。

売薬さんは主に年2回、富山を旅立ち全国を廻ります。年に2回とは「春」と「秋」。春は家の主人が出稼ぎから帰ってくる頃、秋は収穫が終わった後、いずれも旅先の家々に現金収入がある頃です。ちょうど今頃2月あたりは、懸場帳を見ながら春に備えて薬の仕入と準備をしている頃でしょうか。

来月は、現代のマーケティング・顧客管理・提案型営業につながるこの「懸場帳」をご説明します。

※明日からは中断していました、静岡空港就航先への旅「FDA静岡小松線」をお届けします。

商人の心 越中富山の薬屋さん 紙風船

2009-01-20 23:35:33 | あきんど入門
毎月20日は「あきんど入門」の日です。

売薬さんは大きな柳行李を担いで全国を旅します。
行く先々では子供たちがその柳行李から出てくるおみやげを楽しみにしています。

代表的なおみやげには紙風船がありますが、大人向けには富山版画とよばれる風景画や芝居絵などを題材にした版画がありました。往来が自由に出来なかった時代、地方ではこの版画がたいへん喜ばれました。全国を歩く売薬さんは、文化や情報の伝道師の役目を果たしていたのです。


紙風船・・・ささやかなこのおみやげにお得意さんを大切にする売薬さんの心を見ることができます。私も紙風船やらゴム風船をいただいた記憶があります。


さて、ここで問題です。売薬さんは何段にも重ねた柳行李を担いでいますが、
おみやげが入っているのは何段目でしょうか?
正解は次回来月20日の「あきんど入門」のコーナーでご紹介します。

明日は再び「富士山静岡空港の今!」をお届けします。

商人の心 越中富山の薬屋さん 金岡邸

2008-12-20 23:14:34 | あきんど入門
この地方特有の黒い瓦で葺かれた重厚な屋根。


こちらは富山市内にある富山県民会館分館「薬種商の館 金岡邸」です。
明治初期の商いの様子から、薬の原料となった動植物、富山売薬の歴史など
たいへん詳しく展示されています。


明治天皇が休息されたという新屋への入口。
門構えに格式の高さが感じられます。

金岡家は明治以降、薬種商のみならず電力・銀行・鉄道・教育など
県内で幅広い事業を興し富山売薬を支えました。


JR富山駅から富山地方鉄道に乗り換え、東新庄駅下車徒歩5分です。
金岡邸のサイトはこちら

商人の心 越中富山の薬屋さん 先用後利

2008-11-20 23:59:33 | あきんど入門
毎月20日は「あきんど入門」の日です。

今日は富山の売薬さんのシステム「先用後利」についてお話しましょう。
「先用後利」とは字のごとく、先に用いてもらい利益は後から=つまり一揃えの薬を先にお客さまに渡しておき、後から使った薬の分だけ代金をいただく方法です。先に使って後から支払いをするので、この方法をクレジット販売の原型と評する人もいます。

確かに今の時点で考えれば画期的な方法だといえますが、実際江戸時代にこの方法を始めた時点では、大きな賭けであったに違いありません。見ず知らずの他国に赴き、初対面の人々に薬一式を渡す。もちろん代金と引き換えではありません。翌年に再度訪れても、確実に代金を回収できる保証はないのですから。

しかし年を追うごとに富山売薬は全国に普及し、富山以外の地域でも「売薬」さんをはじめる地域が出てきました。「先用後利」のシステムが画期的だったこともあるでしょう。しかしそれだけではありません。「薬箱」「薬袋」を各戸に配置することで、それぞれの家の中に薬屋さんを置くという、利便性にあったと思います。衛生状態が悪く、交通手段のないこの時代において、常時家に薬がある安心感。そういう時代のニーズがこのシステムと結びついて全国に普及したのではないかと思います。

現在でも法律の関係から、いつでもどこでも「薬」が手に入るわけではありません。家庭配置薬のもたらす役割は今でも非常に高いと感じます。


写真は富山市民俗民芸村にある「売薬資料館」。富山の薬の歴史がよくわかります。
また富山の薬に関する書籍を数多く販売しています。

※次回12月20日も、富山の売薬さんをご紹介します。

商人の心 越中富山の薬屋さん

2008-10-20 23:58:53 | あきんど入門
毎月20日は「あきんど入門」の日です。

さて、10年ぶりに富山にやってきました。
越中富山といえば・・・いろいろありますが、「売薬さん(全国各地へ薬を売り歩いた人)」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?

前回までは滋賀県東近江市五個荘から「近江商人」の心をお届けしましたが、今回からは富山の売薬さんについてお話したいと思います。


こちらは富山駅前にある「売薬さん」の2体の銅像のうちのひとつ。風呂敷につつんだ柳行李から、おみやげの「紙風船」を渡しているところでしょうか。現在では徒歩から車に変わりましたが、その伝統は江戸時代から続いています。

ここ富山では、全国を渡り歩いた「売薬さん」の蓄えた冨で、電力会社や銀行そして学校が作られ、その後の産業に大きな影響を与えました。では「売薬さん」の商売とはどんなものだったか、次回(毎月20日)から少しずつお話していきましょう。

※明日からは再び「富士山静岡空港の今!」をお届けします。

商人の心 江州五個荘てんびんの里

2008-09-20 20:56:16 | あきんど入門
滋賀県東近江市五個荘。ここは「てんびんの里」と呼ばれています。


江戸時代、天秤棒を肩に諸国を行商した「近江商人」発祥の地のひとつで、いまでもいくつかの大きな商家が残されています。


2008年3月よりシリーズでお届けした「商人の心」は、この「てんびんの里」に残されれた商家をめぐり、「商人の心」がわかるものをご紹介してまいりました。


さて、この五個荘では来る9月23日(祝・火)に地域内の商家や神社仏閣など約40ヵ所を一堂に公開し、商家に伝わるお宝や地元芸術家の作品などを観ることができる「ぶらっと五個荘まちあるき」が行われます。日頃は公開されない場所や品物がありますので、ぜひお出掛けしてみてはいかがでしょうか?
詳しくは>>>こちら

※毎月20日にお届けしています「あきんど入門」。来月からは場所を日本海側のとある街に移して、新たなシリーズを始めます。来月もぜひご覧ください。

商人の心 番頭さんの仕事場と結界

2008-08-20 23:59:58 | あきんど入門
毎月20日は「あきんど入門」の日です。

さて今日の写真。時代劇では店を任された番頭さんがここに座って算盤をはじいているシーンが思い出されますが、昔の商家にあるこの格子状の家具。その名前をご存知ですか?

この家具を「結界(けっかい)」と呼びます。

結界とは仏教用語で「聖」と「俗」に分ける境界のことで、結界の中は普通の場所と違いますよということを意味しています。日本家屋の敷居なども結界を示すもので、「敷居を跨ぐ」「敷居が高い」などの言葉からもわかるように、昔から日本人は清浄な場所とそうではない場所を厳格に区切ってきました。

ちなみに商家では、この場所はお店の盛衰を左右する仕入れと売上、そして金銭を管理する大切な場所。いわば「聖」なる場所です。もちろんここに座れるのは番頭さんだけです。


聖なる場所を上から拝見。
昔の番頭さんもこの光景から1日が始まったことでしょう。

(滋賀県東近江市五個荘 外村宇兵衛邸


商人の心 店規則

2008-07-20 21:54:38 | あきんど入門
毎月20日は「あきんど入門」の日です。

今日は店規則。こちらは近江商人外村吉太郎商店が明治43年に定めた店規則26条。
第2条は次のような条文があります。

「第2条 得意先ハ勿論取引先下職ニ対シテモ言語動作ヲ慎ミ大切ニ応接スベシ」

つまり、お得意様だけでなく取引先や協力会社など出入りするすべての人々に
対しても、大切に応接しなさいという意味です。自分が「お客さま」の立場になると、
案外横柄な口のきき方になったり、わがままを言ってしまいがち。
この第2条はそれを戒めています。

私の会社のお得意様には、お客さまはもちろん、宅配便の方が荷物を届けに来ても
事務所全員起立してお迎えする所があります。まさにこの条文を実践しています。

会社の経営は、取引先や協力会社の皆さんが力を貸してくれるからこそできるもの。
この条文を忘れないよう日々過ごして行きたいと思います。

(撮影地 滋賀県東近江市五個荘 外村繁邸

※明日からは再び「富士山静岡空港の今!」をお届けします。

商人の心 長者三代鑑

2008-06-20 22:45:26 | あきんど入門
毎月20日は「あきんどの日」。

さて、今月も引き続き掛け軸です。これは「長者三代鑑」。まずは掛け軸の由来をご覧ください。▼


創業者が苦労して商売を軌道に乗せ、2代目はその富を遊興に使い、3代目で没落する。昔からよく聞くお話ではありますが、ここでのポイントは単純に2代目だけが悪いのではないことです。
2代目に「冨を遊興に使っても良い」と判断させたこと、すなわち創業者が2代目にどのような教育をしたかということです。

私も創業者の端くれです。
日々の忙しさのために次に会社を背負う社員の養成をし怠っていないのか?
仕事に関しての思いを伝えているのか?

「創業者の怠りが3代目の没落を招く」 
この掛け軸から遠い昔の商人の声が聞こえてくるような気がします。

(撮影地 滋賀県東近江市五個荘 外村繁邸


商人の心 塚本定右衛門紅売りの図

2008-05-20 22:36:49 | あきんど入門
毎月20日は「あきんどの日」? 
カテゴリー「あきんど入門」は偶然にも3月、4月とも20日に更新しています。そこでこれからは20日を”商人の日”と定め、商いを考えるブログをお届けしたいと思います。ちょうど20日は社員の給料日、商いを考えるにはいい日かもしれません。

さて、今回も掛け軸です。これは「祖翁紅売りの図」、描かれている商人は初代塚本定右衛門(祖翁)です。塚本定右衛門は滋賀県東近江市五個荘の出身で、紅(口紅)の行商から身を起こし、豪商となった近江商人です。まずは掛け軸の由来をご覧ください。▼



「何もしなければ何も起こらない」・・・当たり前のことですが、寝て待っていてもお金は生まれてきません。

迷って歩みを止めてしまいそうな時、この句は私を励ましてくれます。
一文銭に頼る身・・・明日も元気に動き回りたいと思います。

(撮影地 滋賀県東近江市五個荘 外村繁邸
※原本は同所塚本定右衛門旧宅「聚心庵」にあります。詳しくは>>>こちら




商人の心 太平記 青砥藤綱の話 

2008-04-20 18:40:20 | あきんど入門
まずは、太平記の青砥藤綱(あおとふじつな)の故事をご紹介します。

ある夜、青砥藤綱が夜道を歩いている時に誤って十文の銭を川に落としてしまいました。普通なら夜でもあり「ま、仕方がない」と諦めるところ、藤綱は五十文の銭で松明(たいまつ)を買い、家来とともに落とした十文を探しました。
後日、この話を聞きつけた人から「十文の銭を拾うのに五十文を払ったら大損ですね」と笑われると、藤綱は「落とした十文の銭は永久に川から出てこない、つまり死んだ金になる。我彼ということではなく、松明の五十文は商人の利益となるし、探し出した十文と併せれば六十文のお金が生きた金となって世の中を廻り、人々の生活に役立つのだ」と諭し、皆を敬服させました。

青砥藤綱は鎌倉時代後期の武士であったとされています。というのも生没が不明で幕府の公式記録にもその名が登場しないことから架空の人物だという説があるからです。いずれにしても太平記に載っていることから鎌倉後期か南北朝時代には、すでに「お金を廻して人々を幸せにする」という、金銭の正しい流通の考え方はあったと考えられます。

写真の掛け軸は青砥藤綱の故事 重い意味が込められた一幅です。

(滋賀県東近江市五個荘 外村宇兵衛邸

商人の心

2008-03-20 23:02:44 | あきんど入門
私は一介のサラリーマンから起業しました。
私の父も、母方の祖父もサラリーマンから会社を興しました。
もちろん3つの会社とも別個の会社で業種も全く異なります。何か「起業DNA」のようなものがあるのでしょうか?

小学生の頃よく読んだ本は伝記もの。といっても歴史上の人物ではなく、「豊田佐吉」「松下幸之助」「本田宗一郎」「井深大」など。テレビでは日曜21時、立売堀(いたちぼり)の商人「どてらい男(やつ)」。ここまでくるとこじつけですが、これもDNAを増殖させたもとではないかと思っています。

さて、今日の「あきんど入門」は写真の掛け軸。
「奢者必不久」とあります。”奢れる者は久しからず”に「必」の文字が入っているところがポイントです。

写真【滋賀県東近江市五個荘 中江準五郎邸内】