かずにぃはベッドを離れ、2、3歩歩くと、机の引出しを開けた。
「ハルナはさ。実はオレのこと、密かにこえーとか思ってるだろ」
「そんなこと・・・・・・」
かずにぃは引き出しから、ライターをひとつ取り出すと、カチカチと音を鳴らせながら何度も点けたり消したりを繰り返し、それをじっと凝視していた。
「いいよ。無理しなくても・・・・・・。
ほら、オレさ、バスケがダメんなってからヤケになって・・・・・・。
高校生なのに、煙草は吸うーわ、マージャンは打つわ、女遊びはするわでさ、散々、親泣かしたし・・・・・・」
「でも・・・・・・、かずにぃ、頑張って、医学部に入ったから・・・・・・おばさん、喜んでたよ」
かずにぃは、苦笑いをすると、
「で、そのオフクロが娘みたいに大切に育ててきたお前を孕ませちまったもんだから、あれからも泣きながら相当、ぶったたかれたよ・・・・・・」
と、今まさに打たれた後かのように左の頬をさすった。
「でさ、オフクロが『これからどうするんだぁー』って言うからさ、『大学辞めて、働いて、ガキとハルナの二人位食わしてみせる!!』って言ったんだ」
かずにぃの手元をじっと見ていると、まるでマジシャンのように引き出しから続々と新しいライターが取り出されていた。
「したら、オフクロのヤツ、『あんたたち、親子3人を食べさせる位の稼ぎはあるわ!それよりも、きっちり大学卒業して見通しをつけなさいよ!』っつーて、回し蹴り食らったよ」
かずにぃは、今度は背伸びして、開き戸の中の箱を下ろし始めた。
「ホント、ガキだよな。親がいなくちゃ、お前とアカンボを食わせることも出来ねーんだもん」
一通り箱を下ろした後、かずにぃは手をパンパンと叩き、手に付いた埃を払い始めた。
そして、ゴミ箱2つを足で引き寄せると、ライターと『Caster7』と書かれた小さな緑色の箱をバラバラと「こっちが燃えるごみか・・・」と、分別しながら捨て始めた。
「何してるの?」
と尋ねる私に、かずにぃは「禁煙」と素っ気無く答えて、ゴミ箱を台所に運んでいった。
そして、再び部屋に戻り、椅子をベッドの近くまで引き寄せると、私の顔を覗き込んで微笑んだ。
「だけど、2児の父親となったからにはさ・・・・・・」
かずにぃの言葉にぎくっとなった私は、「え!?」と小さな叫び声を挙げて、エコー写真に再び目を落とした。
「赤ちゃん、双子なの???」
「いや」
「じゃ、他にも子供がいるの?」
かずにぃは、目を細めると、「オレ、そんなに節操なくないぞ!」と笑いに肩を震わせながら怒った。
「じゃ、もう1人の子供って?」
「お~い!自覚しろよ・・・・・・」
そう笑いながら、私の頭をちょんと小突いた。
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「ハルナはさ。実はオレのこと、密かにこえーとか思ってるだろ」
「そんなこと・・・・・・」
かずにぃは引き出しから、ライターをひとつ取り出すと、カチカチと音を鳴らせながら何度も点けたり消したりを繰り返し、それをじっと凝視していた。
「いいよ。無理しなくても・・・・・・。
ほら、オレさ、バスケがダメんなってからヤケになって・・・・・・。
高校生なのに、煙草は吸うーわ、マージャンは打つわ、女遊びはするわでさ、散々、親泣かしたし・・・・・・」
「でも・・・・・・、かずにぃ、頑張って、医学部に入ったから・・・・・・おばさん、喜んでたよ」
かずにぃは、苦笑いをすると、
「で、そのオフクロが娘みたいに大切に育ててきたお前を孕ませちまったもんだから、あれからも泣きながら相当、ぶったたかれたよ・・・・・・」
と、今まさに打たれた後かのように左の頬をさすった。
「でさ、オフクロが『これからどうするんだぁー』って言うからさ、『大学辞めて、働いて、ガキとハルナの二人位食わしてみせる!!』って言ったんだ」
かずにぃの手元をじっと見ていると、まるでマジシャンのように引き出しから続々と新しいライターが取り出されていた。
「したら、オフクロのヤツ、『あんたたち、親子3人を食べさせる位の稼ぎはあるわ!それよりも、きっちり大学卒業して見通しをつけなさいよ!』っつーて、回し蹴り食らったよ」
かずにぃは、今度は背伸びして、開き戸の中の箱を下ろし始めた。
「ホント、ガキだよな。親がいなくちゃ、お前とアカンボを食わせることも出来ねーんだもん」
一通り箱を下ろした後、かずにぃは手をパンパンと叩き、手に付いた埃を払い始めた。
そして、ゴミ箱2つを足で引き寄せると、ライターと『Caster7』と書かれた小さな緑色の箱をバラバラと「こっちが燃えるごみか・・・」と、分別しながら捨て始めた。
「何してるの?」
と尋ねる私に、かずにぃは「禁煙」と素っ気無く答えて、ゴミ箱を台所に運んでいった。
そして、再び部屋に戻り、椅子をベッドの近くまで引き寄せると、私の顔を覗き込んで微笑んだ。
「だけど、2児の父親となったからにはさ・・・・・・」
かずにぃの言葉にぎくっとなった私は、「え!?」と小さな叫び声を挙げて、エコー写真に再び目を落とした。
「赤ちゃん、双子なの???」
「いや」
「じゃ、他にも子供がいるの?」
かずにぃは、目を細めると、「オレ、そんなに節操なくないぞ!」と笑いに肩を震わせながら怒った。
「じゃ、もう1人の子供って?」
「お~い!自覚しろよ・・・・・・」
そう笑いながら、私の頭をちょんと小突いた。
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