ハルナがお風呂に入っている間に、僕はピザのケータリングを取った。
お風呂から上がるなり、ぐ~~っとお腹が鳴ってしまった君は、
「い、今のは赤ちゃんのお腹がなったんだよ!」と言い訳をした。
「はいはい。分かってるよ」
僕は笑いを噛み殺しながら、真っ赤になって席に着く君の前にお皿とフォークを差し出した。
君は今まさに生け捕ったハムスターのように、両のほっぺを膨らませて、美味しそうにピザを頬張っていた。
僕は肘杖を付きながら、
「よっぽどお腹が空いてたんだね……。
豪快な食べっぷりに百年の恋も醒めそうだよ」
と、クスクスと笑った。
君は急に真っ赤になって口をすぼめると、ぼそぼそと食べ始めた。
「冗談だよ。気にせず食べなよ」
外の雨垂れの音を聞きながら、僕達は2人だけの静かな食卓を楽しんだ。
「今日は泊まっていくといい……」
名残を惜しむ僕の提案に君は首を横に振る。
「おいで」
椅子に座って俯く君に、「こっちに来て、ベッドに横になって」と僕は言った。
「え?!」
驚く君の目の前に、ぬっと聴診器を差し出して
「赤ちゃんの成長を心配していたみたいだから……診察してあげるよ」と笑った。
「お腹、ちょっと出して。赤ちゃんの心音を聞かせてあげるよ」
渋るハルナの手を引いて、彼女の耳にイアーチップを入れると、チャストピースをお腹にそっと当てた。
服の上からははっきりとは分からなかったが、君のお腹は微かに膨らんでいて、正直、僕の胸はキリッと痛んだ。
ハルナの目が次第にくりくりと大きくなり、「凄い!」と驚きの声を上げた。
トクッ、トクッ、トクッ、トクッ……
「早い!……早過ぎるような気がするけど、大丈夫かな?」
僕は彼女からイアーチップを取ると、自分の耳に入れた。
力強い心音が聞こえてきた。
「……大丈夫。赤ちゃんは君が思っている以上に、心音が早いんだよ」
君はほっとしたようで「もう少し聞いててもいい?」と僕からイヤーチップを取り戻し、自分の耳に入れた。
君は嬉しそうに心音を聞いていた。
本物の聴診器は金属が当たって痛いからと、僕は子供の頃に使っていたバイノーラル部がしなる素材で出来たおもちゃの聴診器を持ってきた。
そして、お互いの片耳にイヤーチップを入れると、2人で赤ちゃんの心音を聞いていたが、やがて君は眠った。
雨音がシロフォンのように、優しく僕達を包み込む……
僕は、赤ちゃんのように体を丸めて眠る君をそっと抱きしめて、
「このまま時間が止ってしまえばいい……」
そう思いながら、いつの間にか眠りに落ちてしまっていた。
翌朝、鳥達の囀りにはっと目を覚ますと、君は泡沫の夢のように消えていた。
「ハルナ……」
僕はまだ君の匂いが仄かにする枕に顔を埋めた。
チャリ……
枕の下に何かある……?!
僕はそっと枕を上げた。
……そこには、以前君に上げた星のペンダントが静かに光を放っていた。
↑「いま、会いにゆきます」で有名な♪アルファポリスです
↑私のお薦めのブログ、探してみてね♪
お風呂から上がるなり、ぐ~~っとお腹が鳴ってしまった君は、
「い、今のは赤ちゃんのお腹がなったんだよ!」と言い訳をした。
「はいはい。分かってるよ」
僕は笑いを噛み殺しながら、真っ赤になって席に着く君の前にお皿とフォークを差し出した。
君は今まさに生け捕ったハムスターのように、両のほっぺを膨らませて、美味しそうにピザを頬張っていた。
僕は肘杖を付きながら、
「よっぽどお腹が空いてたんだね……。
豪快な食べっぷりに百年の恋も醒めそうだよ」
と、クスクスと笑った。
君は急に真っ赤になって口をすぼめると、ぼそぼそと食べ始めた。
「冗談だよ。気にせず食べなよ」
外の雨垂れの音を聞きながら、僕達は2人だけの静かな食卓を楽しんだ。
「今日は泊まっていくといい……」
名残を惜しむ僕の提案に君は首を横に振る。
「おいで」
椅子に座って俯く君に、「こっちに来て、ベッドに横になって」と僕は言った。
「え?!」
驚く君の目の前に、ぬっと聴診器を差し出して
「赤ちゃんの成長を心配していたみたいだから……診察してあげるよ」と笑った。
「お腹、ちょっと出して。赤ちゃんの心音を聞かせてあげるよ」
渋るハルナの手を引いて、彼女の耳にイアーチップを入れると、チャストピースをお腹にそっと当てた。
服の上からははっきりとは分からなかったが、君のお腹は微かに膨らんでいて、正直、僕の胸はキリッと痛んだ。
ハルナの目が次第にくりくりと大きくなり、「凄い!」と驚きの声を上げた。
トクッ、トクッ、トクッ、トクッ……
「早い!……早過ぎるような気がするけど、大丈夫かな?」
僕は彼女からイアーチップを取ると、自分の耳に入れた。
力強い心音が聞こえてきた。
「……大丈夫。赤ちゃんは君が思っている以上に、心音が早いんだよ」
君はほっとしたようで「もう少し聞いててもいい?」と僕からイヤーチップを取り戻し、自分の耳に入れた。
君は嬉しそうに心音を聞いていた。
本物の聴診器は金属が当たって痛いからと、僕は子供の頃に使っていたバイノーラル部がしなる素材で出来たおもちゃの聴診器を持ってきた。
そして、お互いの片耳にイヤーチップを入れると、2人で赤ちゃんの心音を聞いていたが、やがて君は眠った。
雨音がシロフォンのように、優しく僕達を包み込む……
僕は、赤ちゃんのように体を丸めて眠る君をそっと抱きしめて、
「このまま時間が止ってしまえばいい……」
そう思いながら、いつの間にか眠りに落ちてしまっていた。
翌朝、鳥達の囀りにはっと目を覚ますと、君は泡沫の夢のように消えていた。
「ハルナ……」
僕はまだ君の匂いが仄かにする枕に顔を埋めた。
チャリ……
枕の下に何かある……?!
僕はそっと枕を上げた。
……そこには、以前君に上げた星のペンダントが静かに光を放っていた。
↑「いま、会いにゆきます」で有名な♪アルファポリスです
↑私のお薦めのブログ、探してみてね♪