カズトは、私が横たわっていたベッドにどっかりと腰を下ろすと、私の顎に手を添えて顔を持ち上げた。
「体の具合、どうよ?」
「……大丈夫」
「アカンボは?」
「大丈夫……」
トオル君は、ただ黙って目を瞑り、頬にタオルを当てながら壁に寄り掛かっていた。
そうしながら、私たちの会話に全神経を集中させているのが分かる。
「昨日の夜は、頑張り過ぎちゃったからなぁ~」
「カ、カズト!」
聞かれたくなかった……
そんなことトオル君の前で言って欲しくなかった……
私は、動揺に耳を塞ぎ、目を伏せると、声を振り絞った。
恐くて、トオル君の顔が見れない……
「夫婦になるんだから、そんなの当然だろ?だけど、いつもそぉゆー顔するんだよな。お前は……」
カズトは、ベッドから立ち上がると、天井を見上げ、溜息を吐いた。
「それでも、今まで……何とかなると……。お前はオレのものなんだから、と……」
カズトの声は震え、途切れがちになった。
「会場に戻る」
何かを決心したように、そう言うとカズトはトオル君を鋭く睨みつけた。
「こいつと話すことなんか何にもねぇから!」
「カズト!」
「花嫁に逃げられた間抜けな新郎の役を、最後まで演じてくるさ。もう、お前の顔なんか見たくもねー」
そう言うと、足音も荒々しく後ろ手に戸を閉めて出て行った。
「カズト!待って!!」
私は慌てて起き上がるとドレスの裾を持ち上げて、ハイヒールに足を通した。
トオル君と目が合い、一瞬時間が止った。
何も話さなくても、トオル君は私の思っていることを感じ取ってくれた。
心が通い合い、私達は同じ想いを瞳から伝え合っていた。
トオル君は優しく頷き、笑った。
「行っておいでよ。君は君自身のものだ。片岡のものでも、僕のものでもない。
君はいつだって自由な翼を持っているんだ」
「……トオル君、ごめんね!」
それだけ言い残すと、私はカズトの後を追って駆け出した。
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「フラワーガーデン2」連載始めました
↑「いま、会いにゆきます」で有名な♪アルファポリスです
↑ランキング上位に入ってしまいました(@ O @)応援有り難うございます♪
「体の具合、どうよ?」
「……大丈夫」
「アカンボは?」
「大丈夫……」
トオル君は、ただ黙って目を瞑り、頬にタオルを当てながら壁に寄り掛かっていた。
そうしながら、私たちの会話に全神経を集中させているのが分かる。
「昨日の夜は、頑張り過ぎちゃったからなぁ~」
「カ、カズト!」
聞かれたくなかった……
そんなことトオル君の前で言って欲しくなかった……
私は、動揺に耳を塞ぎ、目を伏せると、声を振り絞った。
恐くて、トオル君の顔が見れない……
「夫婦になるんだから、そんなの当然だろ?だけど、いつもそぉゆー顔するんだよな。お前は……」
カズトは、ベッドから立ち上がると、天井を見上げ、溜息を吐いた。
「それでも、今まで……何とかなると……。お前はオレのものなんだから、と……」
カズトの声は震え、途切れがちになった。
「会場に戻る」
何かを決心したように、そう言うとカズトはトオル君を鋭く睨みつけた。
「こいつと話すことなんか何にもねぇから!」
「カズト!」
「花嫁に逃げられた間抜けな新郎の役を、最後まで演じてくるさ。もう、お前の顔なんか見たくもねー」
そう言うと、足音も荒々しく後ろ手に戸を閉めて出て行った。
「カズト!待って!!」
私は慌てて起き上がるとドレスの裾を持ち上げて、ハイヒールに足を通した。
トオル君と目が合い、一瞬時間が止った。
何も話さなくても、トオル君は私の思っていることを感じ取ってくれた。
心が通い合い、私達は同じ想いを瞳から伝え合っていた。
トオル君は優しく頷き、笑った。
「行っておいでよ。君は君自身のものだ。片岡のものでも、僕のものでもない。
君はいつだって自由な翼を持っているんだ」
「……トオル君、ごめんね!」
それだけ言い残すと、私はカズトの後を追って駆け出した。
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