フラワーガーデン

ようやく再会したハルナとトオル。
2人の下す決断は?

コートの闘い

2006年01月06日 22時32分03秒 | 第10章 恋愛分岐編
露骨に脅すとは彼は余程ゆとりがないと見える。

「それは怖いな。まだ死にたくないよ」
弱々しい動物のように声を細く震えさせながら僕は答えた。

「君はまだまだ若く未熟だ。私の言う通りにすれば恐いことなど何もないさ。
そうそう、君はテニスもプロ級と聞いた。今度一緒にコートで親交を深めようじゃないか」
交渉に優位に立った者が見せる尊大さをマッカーシーは隠そうともしなかった。


「もっとも、君がケッチャム君から貰ったものを私にくれさえすればだがね・・・・・・」
彼はこの上に乗せろとばかりに掌を差し出し、指をくいっくいっと折り曲げた。


「このマイクロチップのこと?!これを返したら、助けてくれるんだね」
僕は昂揚した口調でマイクロチップをポケットから摘み出し、彼の目の高さに翳した。


彼はマイクロチップを奪い取ると、くつくつと笑いながら右手を挙げた。
「・・・・・・ご協力感謝する。だが、残念ながら君達3人はこの後謎の失踪を遂げ、世間からその存在を消すことにした方がいいね」

記念館の柱の影から銃を持った男達がバラバラと出てきた。
「この白亜の神殿が血で汚れるのは私の美学が許さない。
車にご同乗願おうか」
「断ると、言ったら」
マッカーシは目を細めると、「美学に反してでもここで殺るしかないでしょうね」と笑った。

「マッカーシー。僕は行かない」
彼の顔が微妙に歪んだ。


「僕が今、あんたに渡したマイクロチップは確かにケッチャムから預かったものだ。
だけど、それは単に数字が羅列されているだけだよ」
「何?!」
「暗号さ。解読は困難だよ。あんたには一生掛けても不可能だ」
僕を囲んでいた男達は一斉に銃口を向けてきた。
「世界中捜してもその暗号を解読出来るのは二人だけだよ。
1人はあんたが殺したこの暗号の作者でもある会計士のジェイク・フーバーと・・・・・・」

マッカーシの顔色がさっと変わったのを確認して言葉を続けた。
「もう1人は」
「まさか・・・・・・」
マッカーシーは、銃を持った男達を手で制しながら、固唾を飲んだ。

「そう・・・・・・僕だよ。僕のことは良く知っているはずだ。
では、被告人グレアム・マッカーシーさん。
リンカーン元弁護士が鎮座ましますこのコート(court:法廷)であんたと決着をつけようか」




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