リョーコさんは通りに出ると手を大きく振ってタクシーを捕まえてくれた。
「体、大丈夫?今日とか、結構寒いし・・・・・・」
リョーコさんは既に私の体のことを知っていたようだったので私はちょっと恥ずかしくなって、顔が真っ赤になっていくのが自分でも分かった。
「こないだ、かずぼんがメチャクチャ酔っ払って帰って来た時があってさ、その時聞いちゃったんだ。
そのぉ~、ハルナちゃんが妊娠しちゃったってこと・・・・・・」
彼女はすまなさそうに私の方をちらりと見ながら、知った理由を話してくれた。
「ヤツさ、『あいつから返り討ちにあった』ってグデングデンに酔っ払って帰ってきてさ。凄かったよぉ」
私はあの日のことだと確信した。
やっぱり、あの日、かずにぃは病院に来たんだ。
そして、私は、かずにぃをトオル君と間違えて傷つけてしまったんだ。
私が、その時のことを思い出していると、リョーコさんがいきなり「ごめんなさい!」と私に手を合わせた。
「え?!」
私は何のことだか分からず、「そんな・・・・・・どうしたんですか?」と彼女の手を取った。
「私ね。実はかずぼんのこと好きだったんだぁ・・・・・・」
リョーコさんの突然の告白に、私は驚きのあまりシートから体が浮き上がった。
「で、コクったんだけど・・・、ってゆーか、ユーワクとかもしたんだけど」
リョーコさんは気まずそうに下を俯きながら告白を続けた。
「だけど、全く、全然、ヤツはなびかなくってサ。
結局、これーーーっぽっちも私が入る隙間、無かったんだよね~」
彼女は親指と人差し指で弧を作り、1mmくらいの隙間を開けて淋しそうに笑った。
「本当にハルナちゃんのこと、大切にしてるみたいで、私のキモチなんか、完全にシャットアウトされちゃった」
そんなことがあったんだ・・・・・・。
「かずにぃは何も言わないから、知らなくて・・・・・・」
リョーコさんは、更に落ち込み気味に、「それってさ、言う程の価値もなかったってことなんだよね」と弱々しく笑った。
「いえ!違うと思います。きっと、そうじゃないって思うんです。
それに、私、当初、かずにぃとリョーコさんは付き合っていると言うか、同棲しているって思ってました」
この告白に今度はリョーコさんの方がぽか~んと口を大きく開いて驚いていた。
「あはは。そりゃ、ないよ。
だって、一緒に住んだのは本当に純粋に部屋代のシェアだし、一緒に住み始めた頃から既にヤツの頭の中はハルナちゃん一色だったもん」
私達はお互いの告白に「ふふふ」と笑った。
「実は今でも結構好きだったりするんだけどさ」
彼女の告白に私は少しどきっとした。
「だけどさ。もう絶対振り向いて貰えない訳で、そんなヒトと一緒に住んでるのって、かなりシンドイくなってきたんだよね」
私はリョーコさんの目に薄っすらと浮かぶ涙を見て、胸が痛くなっていた。
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「体、大丈夫?今日とか、結構寒いし・・・・・・」
リョーコさんは既に私の体のことを知っていたようだったので私はちょっと恥ずかしくなって、顔が真っ赤になっていくのが自分でも分かった。
「こないだ、かずぼんがメチャクチャ酔っ払って帰って来た時があってさ、その時聞いちゃったんだ。
そのぉ~、ハルナちゃんが妊娠しちゃったってこと・・・・・・」
彼女はすまなさそうに私の方をちらりと見ながら、知った理由を話してくれた。
「ヤツさ、『あいつから返り討ちにあった』ってグデングデンに酔っ払って帰ってきてさ。凄かったよぉ」
私はあの日のことだと確信した。
やっぱり、あの日、かずにぃは病院に来たんだ。
そして、私は、かずにぃをトオル君と間違えて傷つけてしまったんだ。
私が、その時のことを思い出していると、リョーコさんがいきなり「ごめんなさい!」と私に手を合わせた。
「え?!」
私は何のことだか分からず、「そんな・・・・・・どうしたんですか?」と彼女の手を取った。
「私ね。実はかずぼんのこと好きだったんだぁ・・・・・・」
リョーコさんの突然の告白に、私は驚きのあまりシートから体が浮き上がった。
「で、コクったんだけど・・・、ってゆーか、ユーワクとかもしたんだけど」
リョーコさんは気まずそうに下を俯きながら告白を続けた。
「だけど、全く、全然、ヤツはなびかなくってサ。
結局、これーーーっぽっちも私が入る隙間、無かったんだよね~」
彼女は親指と人差し指で弧を作り、1mmくらいの隙間を開けて淋しそうに笑った。
「本当にハルナちゃんのこと、大切にしてるみたいで、私のキモチなんか、完全にシャットアウトされちゃった」
そんなことがあったんだ・・・・・・。
「かずにぃは何も言わないから、知らなくて・・・・・・」
リョーコさんは、更に落ち込み気味に、「それってさ、言う程の価値もなかったってことなんだよね」と弱々しく笑った。
「いえ!違うと思います。きっと、そうじゃないって思うんです。
それに、私、当初、かずにぃとリョーコさんは付き合っていると言うか、同棲しているって思ってました」
この告白に今度はリョーコさんの方がぽか~んと口を大きく開いて驚いていた。
「あはは。そりゃ、ないよ。
だって、一緒に住んだのは本当に純粋に部屋代のシェアだし、一緒に住み始めた頃から既にヤツの頭の中はハルナちゃん一色だったもん」
私達はお互いの告白に「ふふふ」と笑った。
「実は今でも結構好きだったりするんだけどさ」
彼女の告白に私は少しどきっとした。
「だけどさ。もう絶対振り向いて貰えない訳で、そんなヒトと一緒に住んでるのって、かなりシンドイくなってきたんだよね」
私はリョーコさんの目に薄っすらと浮かぶ涙を見て、胸が痛くなっていた。
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