フラワーガーデン

ようやく再会したハルナとトオル。
2人の下す決断は?

覚醒

2005年09月23日 20時21分09秒 | 第4章 恋愛前夜編~カズトの章~
皮肉と言えば皮肉な巡り合わせだ。

オレがハルナへの想いに気付いた時、ハルナはオレへの思いを断ち切ろうとしていたことになる。

そう言えば、2年前の誕生日―――――
ハルナは来なかった。
あの時、ハルナがオレと小谷のことを見ていたとすれば、あいつがその日来なかった事、その後髪を切ったことも、なんとなくだが、辻褄が合うような気がした。


結局、オレは小谷を抱かなかった。
抱けなかったんだ。

危うくまた同じ過ちを犯すところだった。

好きな女じゃないと抱けない。
一度でいい。
心から好きな女を……、ハルナを抱きたいと自覚した。

だけど、ヤツはまだ中学生だ。
それに、今のハンパなオレはハルナに相応しくない。

気持ちにずっと封印しよう、いい兄貴でいようと思った。

それから暫く、隣りに住んでいながらオレとハルナは会うことが無かった。
オレは猛烈に遅れを取り戻すべく勉強を始めたし、ハルナはハルナで東京の中学に通うための、編入試験の勉強を始めたからでもあった。


あれから、オレはチビハルナの初七日に行った帰りに矢部先生の部屋を訪ねた。
矢部先生はチビハルナの書いた本を一冊オレに手渡してくれた。
チビが書いた沢山の花の絵や、この世から病気が無くなるように願った作文や、学校に行きたいと将来の希望が綴られた本だった。

チビが渡米した際に贈られた手術のための募金の殆どが残ってしまったと聞いた。
その大半が、チビハルナと同じように、外国へ行って治療をしなくてはならない子供への資金へと充てられたが、一部は、チビハルナの希望もあり、世界の貧しい国で勉強をしたい子供達への基金へと充てられていた。


オレは、医者になろうと決意していた。
チビハルナみたいな子供を1人でも救いたくて医者になろうと真剣に考え始めていた。
これがオレが足を骨折して、この病院に入院して、チビハルナに出会った運命の必然だ。
そう思った。

ようやくオレはフワフワとした体が地面に着地する感覚を覚えた。
オレは一生懸命生きて、もう決して自分を見失ったりしないとチビハルナに誓った。



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18歳

2005年09月23日 20時09分11秒 | 第4章 恋愛前夜編~カズトの章~
「それで?」
オレはノートが何だよと言う態度をとった。
小谷は一歩オレに近づくと小さな包みを差し出した。
「これ……」
「何だよ?これ?」

ぶっきらぼうに小さな包みを小谷につき返しながら尋ねた。

「プレゼント、なの。お誕生日、おめでとう」

この時、初めて今日がオレの18の誕生日だったことに気がついた。

「こんなもん貰うほど、あんたと親しくないんだけど」

オレは冷たく突き放し彼女に背を向けると、玄関のドアノブに手を掛けた。

「……好き。好きです」
「はっ?!」
「片岡君が、骨折で入院した時に気付いたの」
「何を?」
「だから、好きってこと」

オレはこの時、史上最悪の気分だったから、さっさと小谷に帰って貰いたかった。

「悪いけど、今日はそんな話しする気分じゃない」
「片岡君、足を怪我してから変になった」
「……そうかもな」
「だから、昔のように戻って欲しくて……」
「そりゃどーも」
「そのためだったら、何でもしてあげたくて」
「……ふーん。じゃ、ヤラせろよ」
「……」


小谷は驚いたようで真っ赤になって俯いた。
見るからに小谷は男を知らなそうなヤツだった。
だから、困らせてやるつもりで言った。

誰でも良い……。
オレ以上に誰かを傷つけたい。
そんな残酷な衝動に駆られていた。
それに、幾らなんでもこんなサイテーなこと言うヤツ、引っ叩いて逃げるだろうと思った。

だけど、小谷は頷き、小さく、「いいよ」と、消え入りそうな声で言った。
「……まじ?!」

誰でも良かった。
誰でもいい、こんな状態から救い出して欲しかった。
性懲りも無く、また女を抱くことで、空虚な自分から目を背けようとしていた。

オレは黙って玄関の扉を開けた。
突然、小谷が後ろを振り向いた。

「どした?怖気づいた?」
「ううん。そうじゃなくて、人の気配がして」
「気のせいじゃねぇの。入んの?入んないの?」

小谷は下を俯くと、黙ってオレに体を預けてきた。
小谷の微かに震える肩を抱きながら、ふと長い髪に触れた。

「ハルナ……」

オレはその髪に顔を埋めると、思わず口ずさんでいた。




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今度

2005年09月23日 19時04分33秒 | 第4章 恋愛前夜編~カズトの章~
その日は朝から小雨が降っていた。
遺影のチビは眩しいくらい笑っていて、それが却ってオレにはつらくて目を背けた。

多くの弔問客がいた。
多くの人たちが小さすぎるチビの死を心から哀しみ、泣いていた。

チビハルナと同年齢の小学生が「お別れの言葉」を読み上げた時、耐え切れずオレは逃げた。
ヤツが生きていればあの子達と同じ学校に楽しく通っていたのに……。
そう思うと、もう涙を隠すことができなくなった。

帰りの電車の中、オレは鉛のように重くなった体を椅子に沈め、涙を拭えないほど放心していた。

「お兄ちゃん、学年一番で頭がいいんでしょ?聞いたよ、さっき。 だから、ハルナ達の先生にしてあげる!!」

ナマイキだったチビ……。
オレは最初の出会いを思い出していた。


オレの退院した日は、チビが心臓の手術のために渡米する日の前日だったことを今日知った。

あの時、会いに行けば良かった。

また、今度行けばいい……そう思っていた。
オレはその「今度」を永遠に失ってしまった。

家の前まで来ると、一つの影が見えた。

「……ハルナ?」
遠目でよく見えないが、髪が長く、背格好がハルナと良く似ていた。
「片岡君!」
「小谷……」
小谷はオレが通う高校の級長だった。

「なんか、用かよ」
オレは気持ちがささくれ立って、小谷を睨んでいた。


「あの……。片岡君が、ずっと休んでいるから……。その……。ノートを持ってきたの」



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慟哭

2005年09月22日 23時41分25秒 | 第4章 恋愛前夜編~カズトの章~
チビハルナは8歳という短い生涯の最後の2年間を殆ど病院の中で過ごし、この世を去った。
オレは何も出来なかった。

そして、今もオレは、ただ立っているだけだった。

小雨が降る通夜の夜、チビが何度も「勉強を教えて!」と言ってオレにせがんでいた事を思い出していた。
オレは自分のことで精一杯だった。
だから、チビの言うことを「ウザイ」の一言で無視し続けた。

教えてやれば良かった。
あいつがもういいと言って根を上げるくらい、勉強を見てあげれば良かった……。

「バカのままだぞ、なんて言ってごめんなぁ……」

バカはオレだ。
オレは壁に頭を打ちつけ、生まれて初めて大声をあげて泣いた。




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チビの死

2005年09月22日 23時22分36秒 | 第4章 恋愛前夜編~カズトの章~
オレが病院に着いた時には取材の車が少しあったが、概ね撤退した後だった。
小児科は特別な病棟で、両親のような関係者以外は一切入れないようになっている。
そこで、矢部先生を訪ねたのだが、生憎出張中とのことだった。

チビハルナに何があったんだ。

……そうだ!

オレは踵を返してもう一度外へ飛び出した。


取材陣は既に機材を車に積み込んでいるところだった。
「すみません。ここで、何があったんですか?」

カメラを抱えているカメラマンらしき男を捕まえて尋ねた。

「いやぁ、オレも詳しくは知らないんだよ。急いで、病院の絵を撮って来いって指令が来ただけでね。カメラマンだからね」

男は肩を竦めた。
オレは軽く舌打ちすると、再び病院へと走った。

すると、オレが入院中世話になった外科の婦長が丁度病院から出てくるところだった。

「前原春奈に何があったんですか?!」
オレは息を切らせながら尋ねた。
「片岡君。気をしっかりね。・・・春奈ちゃんは、渡米先の病院で今朝亡くなったとの連絡があったの」


オレは、何が何だか分からなくなっていた。
突然、目眩がし、暗い谷底に叩き落されて行くような気がした。



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ハルナとチビハルナ

2005年09月21日 22時23分27秒 | 第4章 恋愛前夜編~カズトの章~
だめだ。
あのソファで一緒に寝て以来、ハルナの態度がおかしい。
やっぱ、オレなんかしたのかもしれない。

しかも、最近、女が全部ハルナに見える。
受験も近いし、勉強もしなくちゃいけねーのに。
英単語どころか日本語ひとっつも頭に入らない。

北尾が「ハルナちゃん、可愛い!ちゃんと、紹介しろよ」と五月蝿い。
ハルナのファンクラブもあるらしい。
やめよーよ。
こいつ、チューガクセーだよ!?

でも、オレも重症かも。
頭を冷そうと、勉強の息抜きに町に出た。

大型テレビがずらりと並ぶ大型家電店の前を歩いた。
ガラスに映る自分の頭が爆発していたので、ガラスを見ながら直していた。
ふと、見ていると、画面にチビハルナ、「前原春奈」の顔がずらりと映し出された。

「なんで?!なんで、チビがテレビに映ってるんだ?」

オレは一瞬映ったチビの映像を食い入るようにみたが、画面は直ぐに別の映像に切り替わった。

胸騒ぎがする。
オレは急いで病院へ走った。



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目覚め

2005年09月19日 22時17分51秒 | 第4章 恋愛前夜編~カズトの章~
あれからどれ位眠っていたのか……。

「きゃ!」と、言う声に眠りから覚めた。
目を擦りながら体を起こすと、ハルナが真っ赤な顔をして、起きていた。

「ああ。おはよ……。具合は?ハルナ」
ハルナは顔を強張らせて何も答えない。
「何もしてねぇよ。それより、具合は?」
「……だいじょぶ」

ハルナはソファの背もたれにびったりとひっつくと、オレを上目遣いでじっと見ていた。

「女には不自由していないから、お前には手を出さねぇよ。安心しろ!」

オレはソファから起き上がり、扉に向かいながら背伸びをして、急いでリビングを去った。

やばかった。
オレは初めて夢の中でハルナを抱いている夢を見ていた。

もしかしたら、あいつに何かやってしまったのかもしれない。
オレは自己嫌悪に陥った。
「はぁ~。ロリコンかよぉ、オレは……」

夕食の間中、ハルナはオレから視線を逸らしっぱなしだった。
ヤツも意識しているらしい。
ってか、オレも目線逸らしマクリなんだけど。

「おこちゃまは早く寝ろよ」

二階に一緒に上がる時、オレはハルナにデコピンをして、ヤツを子供扱いした。
こうすることで、辛うじて「兄」としての立場を保っていたのかもしれない。

オレはこの時、まだ気付いていなかった。
ハルナを女として意識し始めていたことを……。




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2005年09月19日 21時50分07秒 | 第4章 恋愛前夜編~カズトの章~
ハルナがうちに来て1週間が過ぎようとしていた。
どこから聞きつけたのか、北尾が家にやってきて、「ハルナちゃんって子はどこ?」と、キョロキョロと部屋中を見渡した。

(バーカ。お前が、来ると知っててハルナを家に置いとく訳ないだろう)

ハルナはオフクロと一緒に買物に出掛けていた。

「うちのクラスの奴等がさ、ハルナちゃんのことで騒いでてさ。で、見に来たんだけど」

(お前みたいに手の早い奴に紹介する訳ないだろう)


ところが、ハルナの奴、先に帰って来てしまった。

「どうした?ハルナ?」
オレは北尾の目を気にしながら尋ねた。

「ちょっと、暑過ぎて、具合が悪くなって先に帰って来たの。おばさんは、3時に人と会う約束があるから途中で別れたの。私だけタクシーで帰ってきて、それで……」
「分かった。説明はもう良いから、とにかく、横になれ!」

俺は急いでリビングの冷房をつけ、ソファをベッドにした。

「悪いけど、北尾帰ってくれる?」

北尾はじぃっとハルナに魅入っていたようだったが、オレは家からヤツを追い出した。



ハルナの顔色が悪く不安のが気になったオレは矢部先生に電話し、状態を説明し応急処置を尋ねた。
自力で水分補給ができるような状態だったのでポカリスエットを飲ませた。
軽症度の熱中症との診断を受け、様子を見ることにした。

必死にやっていたから気付かなかったが、ベッドの上に横たわるハルナの肌蹴た胸元から小さな胸の谷間が見えて急に気持ちがざわめいてきた。
ハルナが小さく寝返りをうってくれたお陰で、オレははっと我に返った。

「こいつは妹!それにまだ中学生だ……。どうかしてる」

オレはいつの間にか額を伝わる汗を拭いながら、懸命に目を逸らそうと努力した。

暫くするとハルナが身震いをし出したので、冷房の温度を上げ、オレも一緒にソファベッドにもぐりこみ、ハルナを抱き締めた。
そして、思った以上に細く華奢なハルナの身体を抱きしめながら「妹。妹」と何度も自分に言い聞かせ、そのまま眠りに落ちていった。



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願掛け

2005年09月19日 10時25分18秒 | 第4章 恋愛前夜編~カズトの章~
オレは退院するなり、サボっていた頃の遅れを取り戻そうと、勉強を本格的に始めた。

「かずにぃ。お風呂どうぞ」

ハルナがバスタオルで髪を拭きながらオレを呼びに来た。
甘い苺の香りが部屋に広がり、理性が掻き乱される。

「……髪、オレが梳かしてやろうか?」
「え?!かずにぃが?出来るの??」

ハルナはくりくりと目を大きくさせながら尋ねた。

「任せなさい。プロです!」

リビングのソファに腰掛けながら、オレはブラシをハルナの長い髪にぐぃっと通した。

「痛い!痛い~!!かずにぃ、それすんごい痛い!!」

ハルナが、頭を押さえながら逃げた。

「かずにぃの嘘つき!」
「ごめん。ごめん。今度はきちんと梳かすから」
「かずにぃ、プロって嘘でしょ」

ハルナは不審の目をオレに向けた。

「はいそうです。すみません。でも、一度、長い髪ってやつを梳かしてみたかったんだよな」
「もう!私の髪で試すなんてひどいよぉ(≧△≦)」

ハルナは半泣きだった。

「今度は優しくするからやり方、教えろよ」

謝罪しても、ハルナはむっとしていた。
オレは半ば強引にハルナから櫛を奪い取るとソファに座りなおし、こっちにおいでと手を振った。
諦めたように、ハルナは、オレの前にちょこんと座り、梳かし方の説明を始めた。

「まずね。優しく髪の下の表面だけを通すの。それから、櫛が通るようになったら、段々深く櫛を入れていくのね。で、こんがらがったら、髪をその上のあたりで掴んで優しく通して……」

説明を聞きながら、オレはその通りにハルナの髪に櫛を通した。
優しく、ハルナが痛がることの無いように注意しながら。

「ハルナ。この髪、伸ばしてるのか?それとも、放置?」
「え!?えっとね、伸ばしてるの」
「ふーん。何で?」
「願掛け」
「何の?」
「ナイショ」
「教えろよ」
「言ったら願掛けにならないもん」
「そーなの?」
「そーなの!」
「ふーん……」

オレは長い髪を梳きながら、「この髪に他の男が触れませんように」と密かに願を掛ける自分自身に驚きを隠せなかった。




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衝動

2005年09月18日 20時12分30秒 | 第4章 恋愛前夜編~カズトの章~
「2週間?!何で?」

オレは慌てて聞き返した。

「隣りのおうちが完成するまでよ。ハルナちゃんだけ、学校の都合で先に来たのよ」
「って、オレ何も聞いてないんだけど!」
「あんたはちぃぃぃっとも家に居着かなかったじゃないの。まともに帰ってきたことある?」

オフクロは呆れ顔で、オレの素行の悪さを非難した。

確かに、ここ1年位は女から女の家を泊まり歩いて、家に帰ったことは無かった。
オレとオフクロのやりとりを聞きながら、ハルナが不安そうな顔をしていた。

「……分かったよ。ハルナ、そんな顔すんなよ。ただ……、驚いただけだから。ハルナだったら、大歓迎だよ」

オレの言葉にハルナはほっとしたようだった。

帰りのタクシーの中で、オフクロはハルナと楽しそうに話していた。
オレは助手席に座りながら、全神経がハルナの一言一言に向かっているのを感じた。

鈴のように響く心地良い声。
優しく語り掛けるような話し方にオレは心が安らぐのを感じていた。

キレイになったなぁ……

口を突いて出そうになった言葉を慌てて飲み込んだ。

家に着くとオフクロとハルナは台所に一緒に立って、楽しそうにオレの退院祝いの食事の支度をしていた。
女の子がいるというだけで、家の中がまるで花が咲いたように明るい雰囲気に包まれていた。

オレは、そーっと二階に上がり、ベッドに転がっていた。
いつの間に眠ってしまったのだろうか。

「かずにぃ、起きて。ご飯、食べよ」

さらさらとしたハルナ髪がオレの顔に掛かり飛び起きた。

「勝手に部屋に入んなよ!!」

オレはそう叫ぶと、咄嗟にハルナの手を跳ね除けた。

ハルナはひどく驚いて、「ごめん」とだけ言うと部屋から出て行った。

オレはひどく後悔した。

オレは両親が留守の時、これ幸いにとこの部屋で何人も女を抱いていた。
このベッドで。

その部屋にハルナを入れたくなかった。

オレは慌ててハルナを探した。

ハルナはキッチンでスープを混ぜながら泣いていた。
オレに気付くと、「勝手に入ってごめんね」と、泣きながら謝った。

謝るなよ、ハルナ。
オレが悪いんだ。

「あの部屋は汚れてるんだ。だから……、その……、見られるのが恥ずかしかったんだ。今度、掃除しとくから」

ハルナはかろうじて笑顔を返してくれた。
オレはその笑顔を見つめながら、彼女を抱きしめたい衝動を必死で堪えた。




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