翌朝、ケータイの着音で目が覚めた。
スズが慌てた様子で口早にケータイの向こう側で叫んでいた。
「ハルナ!ビックリだよ!!8チャン、すぐつけてみ!」
隣りでぐっすりと眠っているかずにぃを起こさないように、テレビをつけた。
「・・・・・・とは驚きですねぇ。」
解説者らしきヒトがゲストらしきヒトに話し掛けているところだった。
「あ、会見が始まったようですね」
そして、次の瞬間、私は飛び込んできた映像に驚き、思わず叫んでしまっていた。
「トオル君!!」
幾つものマイクに囲まれた壇上で、スーツにネクタイをしたトオル君が、沢山のフラッシュを浴びながらも物怖じせず、会場に居る人達に挨拶をすると、流暢な英語で話し始めた。
私はなぜ彼がテレビに出ているのか分からなくて、ただ呆然とテレビを見つめていた。
「この度、我が社は友好的M&Aにより、C&H社を弊社の100%子会社と致しました。
今回のM&Aは、C&H社の・・・・・・」
彼の言う言葉に合わせて、通訳らしき女性が日本語で遅れながら彼の言葉を追っていた。
なに?
何を言ってるの??
違うよ・・・・・・。
変だよ、このテレビ・・・・・・。
このヒトは誰??
・・・ううん。違うよ。やっぱり、トオル君じゃないよ。
・・・・・・だって、トオル君は、運転中にハンドルを切り損ねちゃうくらいおっちょこちょいで・・・・・・、フツーの、ごくごくフツーのヒトだよ・・・・・・。
彼が話す画像の下に、呆然とした私の目が辛うじて追える速度でテロップが流れた。
『・・・今や、世界第1位の個人資産を有する・・・・若きカリスマ・・・最年少13歳でハーバード・メディカルスクールを卒業、その後、やはり最年少15歳でスタンフォード大学でMBAを取得するなど・・・』
テレビに写る彼がとてもとても遠くの・・・・・・まるで違う世界に住むヒトみたいに見える。
彼がアップで写ったので、慌ててその頬にそっと触れ、「本当に、トオル君なの?」と呟いていた。
突然、彼の目と私の目が合い、彼の強張った表情が一瞬和らいだ。
「ええ・・・・・・そうですね。今後、大変な問題が山積みですが、どんなに困難な状況に陥っても、僕は最善を尽くすだけです」
ブラウン管の中の彼は、優しく微笑みながら私に語り掛けているようだった。
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「ハルナ!ビックリだよ!!8チャン、すぐつけてみ!」
隣りでぐっすりと眠っているかずにぃを起こさないように、テレビをつけた。
「・・・・・・とは驚きですねぇ。」
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「あ、会見が始まったようですね」
そして、次の瞬間、私は飛び込んできた映像に驚き、思わず叫んでしまっていた。
「トオル君!!」
幾つものマイクに囲まれた壇上で、スーツにネクタイをしたトオル君が、沢山のフラッシュを浴びながらも物怖じせず、会場に居る人達に挨拶をすると、流暢な英語で話し始めた。
私はなぜ彼がテレビに出ているのか分からなくて、ただ呆然とテレビを見つめていた。
「この度、我が社は友好的M&Aにより、C&H社を弊社の100%子会社と致しました。
今回のM&Aは、C&H社の・・・・・・」
彼の言う言葉に合わせて、通訳らしき女性が日本語で遅れながら彼の言葉を追っていた。
なに?
何を言ってるの??
違うよ・・・・・・。
変だよ、このテレビ・・・・・・。
このヒトは誰??
・・・ううん。違うよ。やっぱり、トオル君じゃないよ。
・・・・・・だって、トオル君は、運転中にハンドルを切り損ねちゃうくらいおっちょこちょいで・・・・・・、フツーの、ごくごくフツーのヒトだよ・・・・・・。
彼が話す画像の下に、呆然とした私の目が辛うじて追える速度でテロップが流れた。
『・・・今や、世界第1位の個人資産を有する・・・・若きカリスマ・・・最年少13歳でハーバード・メディカルスクールを卒業、その後、やはり最年少15歳でスタンフォード大学でMBAを取得するなど・・・』
テレビに写る彼がとてもとても遠くの・・・・・・まるで違う世界に住むヒトみたいに見える。
彼がアップで写ったので、慌ててその頬にそっと触れ、「本当に、トオル君なの?」と呟いていた。
突然、彼の目と私の目が合い、彼の強張った表情が一瞬和らいだ。
「ええ・・・・・・そうですね。今後、大変な問題が山積みですが、どんなに困難な状況に陥っても、僕は最善を尽くすだけです」
ブラウン管の中の彼は、優しく微笑みながら私に語り掛けているようだった。
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