風が強くなってきて、ざわざわと海の水面を荒らしながら吹き抜けていく。
私の心臓はその風に煽られるようにどんどん早くなっていった。
「え?!帰れなくなった……の?」
かずにぃと目が合い、一瞬の沈黙が流れた。
「ホテルにでも泊まるか?」
そう言うかずにぃの言葉と真剣な表情に、思わず体が硬直した。
すると、かずにぃは、突然、車に寄り掛かり、顔を腕に埋めながら大笑いした。
「冗談だよ。ジョ、ウ、ダ、ン。ははっ。変なカオ。固まってるし」
……よ、良かった。いつものかずにぃだ~。
あの射抜くようなあの眼差しも冗談だったんだ。
ほっとして、なんだか体の力も抜けてヘナヘナヘナ~と力が抜けて、車にしがみ付いた。
恐かったよぅ(≧△≦)
「コンビニの公衆電話でJ○Fを調べて、今から来てもらうか。でも、時間が掛かるかもしれないから、ハルナはタクシーで先に家に帰ってろよ」
「え?でもここから家までだときっとすっごく高いから、電車で帰るよ」
「いや。俺の責任だし。それにそれ位の金、ここに持ってるから大丈夫。お前、方向音痴だから、電車でなんか心配で帰せねぇって」
かずにぃは断る私のおでこをポンと弾いた。
それからのかずにぃの対応は迅速だった。
テキパキとしていて凄いな~と感心した。
そして、最後に、かずにぃが私を乗せるためのタクシーを呼ぼうと電話のボタンを押し始めた時、とっさに、私はその手を制した。
「かずにぃ。私も待つよ。せっかく、海の近くに来たんだから、お散歩でもして二人で待ってようよ」
「遅くなるぞ」
「いいよ。家に電話するから。それにかずにぃとだったら大丈夫」
そうは言ったけど、今となってはちょっぴり後悔。
少しだけ背伸びをして履いて来たヒールのせいで、砂地に足を取られてしまい、上手く歩けない。
しかも風がヒューヒュー音を立てて、砂が舞い上がり、目に入ってしまった。
顔に纏わりつく髪を掻き上げようとしてバランスを失い、思いっきりよろけた瞬間、かずにぃが抱き止めてくれた。
「か、かずにぃ。有り難う」
私はかずにぃの腕に摑まりながら何とか体を起こした。
そして、「もう大丈夫」と言って、上を見上げた時、じぃっと私を見つめるかずにぃの瞳と目が合ってしまった。
かずにぃは私の頬に絡まる髪をそっと梳かし、両手で私の頬を包みこんだ。
……恐い。かずにぃじゃないみたいだ。
そう思って、とっさに彼の腕から摺り抜けようとした瞬間、かずにぃにきつく抱き締められていた。
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私の心臓はその風に煽られるようにどんどん早くなっていった。
「え?!帰れなくなった……の?」
かずにぃと目が合い、一瞬の沈黙が流れた。
「ホテルにでも泊まるか?」
そう言うかずにぃの言葉と真剣な表情に、思わず体が硬直した。
すると、かずにぃは、突然、車に寄り掛かり、顔を腕に埋めながら大笑いした。
「冗談だよ。ジョ、ウ、ダ、ン。ははっ。変なカオ。固まってるし」
……よ、良かった。いつものかずにぃだ~。
あの射抜くようなあの眼差しも冗談だったんだ。
ほっとして、なんだか体の力も抜けてヘナヘナヘナ~と力が抜けて、車にしがみ付いた。
恐かったよぅ(≧△≦)
「コンビニの公衆電話でJ○Fを調べて、今から来てもらうか。でも、時間が掛かるかもしれないから、ハルナはタクシーで先に家に帰ってろよ」
「え?でもここから家までだときっとすっごく高いから、電車で帰るよ」
「いや。俺の責任だし。それにそれ位の金、ここに持ってるから大丈夫。お前、方向音痴だから、電車でなんか心配で帰せねぇって」
かずにぃは断る私のおでこをポンと弾いた。
それからのかずにぃの対応は迅速だった。
テキパキとしていて凄いな~と感心した。
そして、最後に、かずにぃが私を乗せるためのタクシーを呼ぼうと電話のボタンを押し始めた時、とっさに、私はその手を制した。
「かずにぃ。私も待つよ。せっかく、海の近くに来たんだから、お散歩でもして二人で待ってようよ」
「遅くなるぞ」
「いいよ。家に電話するから。それにかずにぃとだったら大丈夫」
そうは言ったけど、今となってはちょっぴり後悔。
少しだけ背伸びをして履いて来たヒールのせいで、砂地に足を取られてしまい、上手く歩けない。
しかも風がヒューヒュー音を立てて、砂が舞い上がり、目に入ってしまった。
顔に纏わりつく髪を掻き上げようとしてバランスを失い、思いっきりよろけた瞬間、かずにぃが抱き止めてくれた。
「か、かずにぃ。有り難う」
私はかずにぃの腕に摑まりながら何とか体を起こした。
そして、「もう大丈夫」と言って、上を見上げた時、じぃっと私を見つめるかずにぃの瞳と目が合ってしまった。
かずにぃは私の頬に絡まる髪をそっと梳かし、両手で私の頬を包みこんだ。
……恐い。かずにぃじゃないみたいだ。
そう思って、とっさに彼の腕から摺り抜けようとした瞬間、かずにぃにきつく抱き締められていた。
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