フラワーガーデン

ようやく再会したハルナとトオル。
2人の下す決断は?

白銀の朝

2006年01月29日 01時13分32秒 | 第11章 飛翔編
翌朝、私は地震で降って来た本の下敷きになると言う悪夢にうなされた。

重い・・・・・・
助けて!
重くて死にそう・・・・・・

「誰か!」
と、叫んで目が覚めた。

「ここは、・・・かずにぃのマンション!?」
私はベッドから起き上がろうとして、悪夢の正体を掴んだ。

「かずにぃ、ひどいよ!」
私は、お腹の上に乗っていた彼の足を下ろすと、ぺちんと叩いた。
「赤ちゃんも重かったって言ってるよ!きっと」
そんな私のことなんかお構いなしで、彼はグーグーいびきをかきながら眠っていた。
夢の中の地響きの正体もついでに掴んだので私は一人むぅ~っと膨れた。

そう言えば、昨日の雪はどうなったんだろう。
私は窓まで忍び足で近寄ると、カーテンを開けた。

だけど、あまりにも眩しい光の照り返しに思わず目を細め、顔を背けた。
漸くして目が慣れて来た頃、そっと窓の外に目をやると、そこにはふかふかとした一面の雪の絨毯が敷き詰められていた。
「ふぁぁぁ!!!」


私は、急いでベッドにジャンプするとかずにぃを揺り起こした。
「かずにぃ!!雪、積もってるよ!外に見に行こうよぉ!!」
「寝みぃ~。1人で行ってこいよ」
1人で行ったって・・・・・・。
この感動を一緒に楽しめるヒトがいないとつまんないよ。

「・・・・・・あ、そ。いいもん。1人で行ってくるよ。
私、転んじゃうかもしれないよぉ。風邪とかも引いちゃったりして・・・・・・」
かずにぃは「是非!お供させて頂きます」と、掛布団を蹴飛ばしながらベッドから飛び起きた。

「ったく、ガキだよなぁ!たかが、雪ひとつで大騒ぎしやがって・・・・・・」
エレベーターに乗りながら、かずにぃはブツブツ言っていた。

だけど、ひとたび外に出るとかずにぃは「オレが一番!!」とはしゃぎ、ダッシュで新雪に足跡を付け捲くり、ソッコーで雪だるま(命名:ドラ○もん)を5つ作り上げた。
そして、かずにぃの作っている雪だるまを近くで見ていた小学生達が子分として採用され、作り終えると雪合戦の犠牲者となっていた。


もう、どっちが子供なの?


かずにぃは、雪球をせっせと作り、子供達に1個投げつけられる度にその倍を投げ付けて返していた。

・・・・・・手加減しようよ・・・・・・

あれで、父親になるなんて、「不安だ~」。

かずにぃは夢中になって雪球を投げながら、「え?!何か言ったか」と耳をそばだてた。

「・・・・・・ですって言ったの」
私の、小さな声に「あ???なに言ってるんだか、聞こえねぇ~!!」と大きな声で聞き返した。

「プロポーズはおっけーですって言ったの!!」
かずにぃはびっくりした目で、私を見つめ、腕に抱え込んだ雪球を5つボトボトと落とした。
「まじ?!」
「うん、まじ」
「・・・・・・感激のあまり声が出ないよ」
「・・・・・・出てるよ、声」

彼が私の方へ歩み寄り、私の手に触れようとした瞬間、
「隙ありぃ~!!」
と、子供達は背後からドラえ○んをかずにぃの後頭部目掛けて投げつけた。
よろけた彼は、そのまま顔から倒れこみ、それは見事な極上の笑みを浮かべた顔拓を雪上に残したんだ。




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