フラワーガーデン

ようやく再会したハルナとトオル。
2人の下す決断は?

追求

2006年01月23日 22時18分40秒 | 第11章 飛翔編
随分長い時間かずにぃは私を抱きしめた後、ためらいがちに口を開いた。

「ハルナ、大事なことを聞きたい・・・・・・。
1度しか、聞きたくないことだから、正直に話して欲しいんだ」
私は、かずにぃの真剣な声に身を固くした。

「トオルとは、どうする?」
「・・・・・・」
「ヤツとは話し合ったのか?」
私は、小さく頭を振った。


今でも目を瞑るとトオル君の顔が浮かんでくる。
彼のことを思うだけで胸の中を熱い想いがざわざわと駆け巡る。
彼を忘れるなんて、会わないでいるなんて・・・・・・出来るの?

握り締めた手に薄っすらと汗が滲む。

「・・・・・・もう、会わない」
「それで、いいのか?」
「うん」
「後悔は?」
「しない・・・」
「ハルナ、本当に?」

かずにぃは私を抱きしめる手を緩めようともせず、微かに震える声で質問を重ねた。
「後悔はしないんだな?」

「・・・・・・私ね」
そう言い掛けて、震える声を抑えようと息を呑んだ。

「私、病院に行く前に、トオル君にメールを打ったの。
『ごめんなさい。私、待てなかった。もう、会えない』って」

だけど、その後、歩道橋でトオル君に似た人を見掛けただけで、私は走り出してしまっていたんだっけ・・・・・・。
それを思い出すと、メールに託した決意が揺らぎそうになった。

「トオルはなんて?」
私は首を振った。
「直ぐに、電源を切ったから・・・・・・わかんない。でも、もう会わない」

・・・・・・もう、会えない。
彼をもう待っちゃいけないんだ。

「ハルナ・・・・・・。オレ、ヤツと直接話をしたいんだけど・・・・・・」

そう言いながら、かずにぃは私の瞳を覗き込もうと、抱きしめる手を緩めた。
私は彼に必死にしがみ付き、ぎゅっと目を瞑った。
「私は、赤ちゃんを・・・かずにぃを選んだんだよ!それだけじゃ、答えにならないの?」

かずにぃはそれ以上の追求を止め、「分かったよ」とその腕を解いた。




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