フラワーガーデン

ようやく再会したハルナとトオル。
2人の下す決断は?

雪の舞う夜

2006年01月28日 18時56分39秒 | 第11章 飛翔編
かずにぃは私をすっぽり包み込むように抱きしめると、うとうとし始めた。

ごめんね。かずにぃ・・・・・・

「こう言うのは『頑張って』『無理して』するものじゃないから」
前にトオル君が言った言葉を思い出す。

だけど、頑張らないと・・・・・・
かずにぃはもう十分私に温かいキモチをくれている。
私は何も返せていない。
かずにぃをトオル君よりも愛する努力をしなくちゃいけないのに。

「かずにぃ、ごめんね・・・・・・。ホントに、ごめんね」
私はかずにぃの節ばった指を両手で包み込みながら頬に当てた。
「・・・・・・ん~?いいから、ネンネしな」
かずにぃは私の頭をポンポンと叩いた。

私は寝ぼけ眼のかずにぃの顔の位置まで体を移動させると、その唇にキスをした。
驚いたかずにぃは突然ぱちっと目を覚ました。

「どした?!ハルナ・・・・・・ん?」
かずにぃは体を起こし、顔をしかめて心配そうに私の瞳を覗き込んだ。

「・・・・・・何、泣いてんだよ」
「ごめん」
「って、何?」
「さっき・・・・・」
「あ~、あれ、か」
と、かずにぃは起こしていた体を再びベッドの上にどさっと横たえた。

「まぁ、あれだ。・・・・・・うん。お前がサ、しつこく聞くから、逆に『おっけぇ』なのかと思って勘違いしただけな訳で・・・・・・。
んで、拒絶されたからむかっとしただけな訳で・・・・・。
手ぇ出さねーとか、言いながらもさ、まぁ、ちょぉっとは『大丈夫なのかな~?』ってオイタをしちゃったんだよな・・・・・・」

かずにぃは「よっこらしょ」と再び私をその胸の上に抱きしめると、「ごめんな」と小さな声で誤った。

「それに、オレも男だからさ、その辺の事情ってヤツも分かってくれると嬉しいんだけど」

私はかずにぃの言っている「その辺の事情」は分からなかったけれど、「うん」とだけ答えた。
かずにぃは笑うと、「まぁ、おいおい。少しずつ、だな」と笑った。


かずにぃはその胸に再びすっぽりと私を包み込むと、
「あったけぇ~。お前、天然湯たんぽだなぁ」
と、私の頭をその頬でくしくしにした。

そうしながらも突然、背後を振り向き、ベッドから起き上がった。
「さっきっから、背中から冷気が入るなぁと思ったら、カーテン開けっぱなだった」
そして、「さびっ!」と寒さに体を震わせながらカーテンを閉めに行った。

「あ!」
突然の彼の叫び声に私はビクッとして「どうしたの?」と反射的に聞き返した。

「こっち来てみ!」
「何?」
「いいから。そこのオレのカーデ着てこっちに来いよ」

私は、窓際に立ち、彼の目線に並んで外を見た。
暗闇の中を、花びらのような白い雪がちらちらと、その陰影をライトに映し出しながら舞い降りてきた。

「・・・・・・っわぁ~。雪だ!!」
「さみぃはずだよな」

かずにぃは私の肩に手を置くと体を引き寄せた。
そして私達は、今年初めて横浜に舞い降りた雪をしばらくただ黙って見つめていた。



人気blogランキングへ
↑ブログランキングに参加しています。
押して頂けると励みになります。
忍者TOOLS