ドクンドクンと鳴る心臓の音を抑え込もうと無理に息を吸い込んだ。
呼吸が苦しくなる・・・・・・。
「ハルナちゃん、悪いけど、食事は管理しているからこのケーキは・・・・・・。
ハルナちゃん?!ハルナちゃん、どうしたの?」
ヒューヒューと喉が鳴り、またあの時の苦しみが蘇って来た。
医師と看護士が慌てて部屋に入ってくると、注射の準備を始めた。
「息を長く吐いて」
不意にトオル君の声が聞こえてきた。
「精神安定剤で止めることも出来るけど、君だったら自力で頑張れるよ。
ゆっくり、ゆっくり呼吸するんだ」
「出来ない!無理だよ」
「ちょっとずつ頑張っていこうよ」
「苦しい、やっぱり無理!
トオル君はなったことが無いからそんな気楽なこと、言えるんだよ!!」
布団を握り締める手に涙がこぼれ落ちた。
私は医師の注射を拒否すると、背筋を伸ばし、すぅっと息をゆっくり吐いた。
頑張ってみよう・・・・・・。
今まで、トオル君に頼りっぱなしだったけど、もう彼はいないんだもの・・・・・・。
私は私を頑張らなきゃいけないんだ・・・・・・。
何時間も吸ったり吐いたりばかりに集中して繰り返しているような気がした。
「もう、いいだろう。注射を打つよ」
側に控えていた医師が看護士に目配せをした。
「ま・・・・・・って、く・・・ださ・・・い」
私は喉を抑えながら、首を必死になって振った。
目の前が真っ暗だったのが、微かに、医師達の顔が見えるようになってきた。
そして、咳き込みながらも、徐々に荒々しかった呼吸も穏やかになってきた。
まだ、肩で息をしているけど、出来たよ!トオル君。
私、頑張って自分で抑えたよ・・・・・・。
私は込み上げてくる涙を拭き、顔を上げた。
やっぱり、さっきはトオル君が来たのかもしれない。
ふと、そんな不思議な感覚に囚われていた。
私はさっきかずにぃをトオル君だと思って抱きしめ、受け入れた。
きっと、傷付けた。
いつもそう・・・・・・。
私の弱さはトオル君も、かずにぃも傷付けてきた。
私は自分が幸せになりたくて、二人に幸せにして欲しくて・・・・・・、そればかり追い駆けて、結局、誰も幸せにならなかった。
今はどうやって生きていったら良いのか、それすらも見えないけど私はトオル君にもう一度会った時、胸を張って「私、頑張ったよ」って言えるような生き方をしよう・・・・・・そう思った。
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呼吸が苦しくなる・・・・・・。
「ハルナちゃん、悪いけど、食事は管理しているからこのケーキは・・・・・・。
ハルナちゃん?!ハルナちゃん、どうしたの?」
ヒューヒューと喉が鳴り、またあの時の苦しみが蘇って来た。
医師と看護士が慌てて部屋に入ってくると、注射の準備を始めた。
「息を長く吐いて」
不意にトオル君の声が聞こえてきた。
「精神安定剤で止めることも出来るけど、君だったら自力で頑張れるよ。
ゆっくり、ゆっくり呼吸するんだ」
「出来ない!無理だよ」
「ちょっとずつ頑張っていこうよ」
「苦しい、やっぱり無理!
トオル君はなったことが無いからそんな気楽なこと、言えるんだよ!!」
布団を握り締める手に涙がこぼれ落ちた。
私は医師の注射を拒否すると、背筋を伸ばし、すぅっと息をゆっくり吐いた。
頑張ってみよう・・・・・・。
今まで、トオル君に頼りっぱなしだったけど、もう彼はいないんだもの・・・・・・。
私は私を頑張らなきゃいけないんだ・・・・・・。
何時間も吸ったり吐いたりばかりに集中して繰り返しているような気がした。
「もう、いいだろう。注射を打つよ」
側に控えていた医師が看護士に目配せをした。
「ま・・・・・・って、く・・・ださ・・・い」
私は喉を抑えながら、首を必死になって振った。
目の前が真っ暗だったのが、微かに、医師達の顔が見えるようになってきた。
そして、咳き込みながらも、徐々に荒々しかった呼吸も穏やかになってきた。
まだ、肩で息をしているけど、出来たよ!トオル君。
私、頑張って自分で抑えたよ・・・・・・。
私は込み上げてくる涙を拭き、顔を上げた。
やっぱり、さっきはトオル君が来たのかもしれない。
ふと、そんな不思議な感覚に囚われていた。
私はさっきかずにぃをトオル君だと思って抱きしめ、受け入れた。
きっと、傷付けた。
いつもそう・・・・・・。
私の弱さはトオル君も、かずにぃも傷付けてきた。
私は自分が幸せになりたくて、二人に幸せにして欲しくて・・・・・・、そればかり追い駆けて、結局、誰も幸せにならなかった。
今はどうやって生きていったら良いのか、それすらも見えないけど私はトオル君にもう一度会った時、胸を張って「私、頑張ったよ」って言えるような生き方をしよう・・・・・・そう思った。
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