フラワーガーデン

ようやく再会したハルナとトオル。
2人の下す決断は?

目眩

2005年11月06日 22時12分58秒 | 第6章 恋愛聖夜編~ハルナの章~
あまりにも、唐突なかずにぃの言葉に体中の血の気が引いていった。

「わ、私が・・・・・・好きなのはトオル君なんだよ」
かずにぃは床にへたり込んだ私の顔を凝視し、何も言わずに私を抱え上げ階段を上り始めた。

「下ろして!下ろしてよ!かずにぃなんか嫌い!!大嫌いなんだから!!!」
私はこぶしを振り上げてかずにぃの胸を叩いた。
かずにぃは私をベッドに下ろしながら、
「本当に?本当に、オレを心から嫌いか?・・・・・・ハルナ」
そう問い掛けると、ゆっくりと仰向けになっている私の上に乗り、唇を重ねた。

この間の夜、貪るように体を求めてきた時とは違う。
かずにぃのその目からも明らかにそれは伝わってきた。

本当にオレのことが嫌いだと拒絶できるのか・・・?


まるで私の心を見透かしているかのようなかずにぃの目を見ることが出来ずに、私は目を逸らした。
けれど、かずにぃは決してそれを許してくれなかった。
「オレの方を向くんだ。ハルナ」



右手で制服のブラウスのボタンをひとつひとつ開けながら、もう片方の手ではブラの上から胸を愛撫し始めた。
背中のブラのホックを外すと、直接乳房にそのごつごつとした長い指を忍び込ませてきた。

気持ちいい・・・
そう思ってしまう自分の顔を見られたくなくて両手で顔を覆った。
「ハルナ・・・」
そんな抵抗も空しくかずにぃは私の両手首を掴むと、私の目を覗き込みキスを求めてきた。

かずにぃの肌けたシャツからはほのかに煙草の匂いがした。
その大人の男性の匂いに私は軽く目眩がした。


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後悔の選択

2005年11月06日 18時54分34秒 | 第6章 恋愛聖夜編~ハルナの章~
かずにぃはそっと私の涙を拭きながら、私の頬に手を当ててキスをした。
そして、まるで壊れ物を抱きしめるように優しく私を抱きしめると、声を詰まらせながら耳元で囁いた。

「決めた。・・・・・・後悔することにした」
「後悔、する?」

かずにぃは、私の肩に手を回し、リビングの外へと連れ出した。
「どこへ行くの?」
「お前の部屋」
私は驚いて歩を止めた。

「今、抱いたらきっと後悔する。でも、抱かなかったら、どの道、後悔するんだ。
だったら・・・・・・」

かずにぃは、言葉を詰まらせながら続けた。


「トオルからお前を奪う」



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断ち切れない想い

2005年11月06日 08時02分36秒 | 第6章 恋愛聖夜編~ハルナの章~
沙代子のお姉さんと私は喫茶店に入った。

「私はアイスコーヒー。ハルナちゃんはジュースでいい?」


暫くして、ウェイターが私たちの飲み物を持ってきた。
「ハルナちゃん、あのね。私、さっき、片岡君に告白しちゃった」
沙代子のお姉さんは嬉しそうに私の顔をじっと見つめながら言った。
「え・・・・・・?!」
私の飲んでいたジュースの氷がカランと音を立てて、崩れた。


「そしたら、片岡君、『いいよ』って・・・。でね、片岡君、すんごく優しくて、それで・・・」
私は段々気持ちが悪くなってきた。

「・・・優しく、抱きしめてくれて、・・・そのまま、私達・・・・・・」

ガタン

私はもうそれ以上聞いていることが出来なくて、席を立った。

「彼、ベッドでも私の髪をずっと撫でてくれて。優しかった・・・・・・片岡君」
彼女は自慢の長い髪にそぉっと手を通しながら、嬉しそうな顔で微笑んだ。
「ご、ごめんなさい。私・・・、用事を思い出して・・・だから・・・」
それだけをやっと言うのが精一杯だった。

ジュース代をテーブルに置くと零れ落ちそうになる涙を堪えて、急いでその場を去った。

私は泣きながら走った。




私は2年前のその時、かずにぃへの思いを断ち切ったはずなのに・・・・・・。

ソファで苦渋に満ちたかずにぃの横顔を見ながら、涙が頬を伝っていた。

「ハルナ?!」
かずにぃは私の様子に気が付き、ソファから立ち上がると私の涙を手で拭った。


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