フラワーガーデン

ようやく再会したハルナとトオル。
2人の下す決断は?

枯れ葉、舞う

2005年11月29日 22時42分29秒 | 第9章 恋愛翻弄編
翌朝、かずにぃの家に行くと、トオル君もかずにぃもいなかった。

二人のことが気になりながらも私は駅まで走っていった。
トオル君は結局電車にも乗って来なかった。
ケータイで電話をしようとして、止めた。

学校にいても私はずっと上の空だった。
最初の頃は、荒々しくあんなにも怖いと思ったかずにぃは驚くほど優しく私を抱いてくれた。
あの時のことを思い出すと、幸せと恥ずかしさで体中がキュンとなる・・・・・・。
でも、次の瞬間、トオル君のことを思い出すと、全身の血と言う血が引き、地獄へと突き落とされる。

私は、窓辺で頬杖をつくと、まるで木枯らしに翻弄されているかのように、クルクルと弧を描いて飛ばされていく落ち葉を見ていた。

すると、隣りでトモも一緒にぼぉっと外を眺めていた。
「トモ、どしたの?ホント、最近、元気ないよね」
「うん」
「彼と別れたって言ってたけど・・・。どして?って聞いてもいい?」
「あー、うん。・・・・・・妊娠したかもっつーたら、逃げた」
「へぇ~。そうなんだぁ」
と、私はフツーに答えている最中に、「えっ!!!」と驚いた。

「な、な、な、なんて言ったの?今!今!!」
「妊娠したかもって彼に言ったら逃げられたの」
「えー!えーー!!えーーー!!!」
私は、教室中に響きそうな声で叫んでしまった。

「ばかハルナ!みんなに聞こえちゃうじゃん!」
トモは私の口を押さえると、私の手を握り、屋上まで連れ出した。
「に、妊娠したって。ホント?!」
「多分・・・」
「多分って・・・・・・。検査は?」
「した。妊娠検査薬で」
「で?結果は?」
「陽性」
「って?」
陽性とか言われても私にはどっちのことだか分からなかった。

「妊娠」
「ええ?!・・・で、彼には?」
「言った」
そうか、言ったのか。
「で、彼、なんて?」
「責任取るって」

そう言いながら、突然、トモは泣き出した。
「カレ、『オレには育てられないから堕ろして』だって。
それで、これ」
トモはポケットからトモ名義の通帳を出すと、私に見せた。
「一、十、百、千・・・・・・50万!?どうしたのこれ??」
「カレがこれで堕ろせって。車を売ってお金を作ったから・・・・・・だって」
そう言うとトモは肩を震わせながら泣いた。


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