フラワーガーデン

ようやく再会したハルナとトオル。
2人の下す決断は?

君に逢いたくて

2005年11月12日 03時02分10秒 | 第7章 恋愛後朝編~ハルナの章~
トオル君は、人差し指を立てると唇の前に立て「静かに」の合図を送った。
そして、ケータイをポケットから取り出すと片手に持って、その唇に当てた人差し指で今度はケータイを指差した。

ピロピロピロ~
私のケータイから優しい電子音が流れ出した。
私は、慌ててカバンからケータイを掴み出すと、「もしもし!」と大きな声で話し掛けた。

「ハルナちゃん、これからちょっと出て来れるかな?」
もう二度と聞けないと思っていたトオル君の声がケータイから聞こえてきた。

私は、急いでカーディガンを着ると、転がり落ちそうな勢いで階段を駆け下りた。

「ハルナ!こんな時間に一体、どこに行くの?!」
「ごめん。ちょっと、コンビニ!直ぐ帰るから!」

ママ、ごめんね。
でも、本当に直ぐに帰ってくるから・・・。
私は、急いで靴を履いて傘を2本抜き取ると、トオル君が幻のように消えてしまわないよう願いながら玄関の扉を開けた。

「ハルナ!」
駆けつけたトオル君はずぶ濡れだった。

「まさか、あれからずっと外にいたの?」
「え?!ああ・・・。うん」
「ちょっと待ってて、タオル持ってくる」
そう言って、家に入ろうとする私の手を彼は咄嗟に掴んで、
「待って!」と言って止めた。

私は、トオル君の方を向いて、傘を差し出した。
そして、背伸びをしてカーディガンの袖で彼の濡れた髪を拭いた。


トオル君は私の腕を掴んで、頭を振った。

そして、スポーツバッグを肩から下ろすと、
「・・・君に逢いたくて、気付いたらここに来てた」
そう言って私をその胸に引き寄せた。


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