フラワーガーデン

ようやく再会したハルナとトオル。
2人の下す決断は?

確信

2005年11月09日 21時39分45秒 | 第7章 恋愛後朝編~ハルナの章~
私はトオル君の胸に手をあてると、その体を引き離した。

「・・・・・・別れよっ」
私は、途中で言葉に詰まってしまっていた。
「えっ!?」
トオル君は、驚いて、
「・・・・・・何、言うんだよ。いきなり」
と、聞き返した。

「別れよう・・・」
私はもう一度、今度は彼が聞き取れるようにはっきりと言った。

「なんで、急にそんなこと・・・」
トオル君は、絶句してた。

「どうして?」
トオル君は信じられないと言った顔で私の顔を見詰めた。

さっき何度も心の中で復唱していた言葉を言わなくちゃ・・・。
だけど、彼を目の前にすると、言葉が徐々に凍りついていった。

「ハルナ・・・。もしかして、さっきの過呼吸とこのことは何か関係があるのか?」
トオル君は、真っ直ぐに私を見詰めながら、問い掛けた。

私はそのことに答えずに、ただ、
「もう、トオル君とは付き合えない・・・。ごめんなさい」と唇を噛み締めた。

トオル君は肘杖を付くと頭をクシャクシャと掻きながら、
「それじゃ、分かんないよ・・・。どうして、そんな風に、考えるんだよ・・・」
と、呟いた。

トオル君は、泣いている私にティッシュBOXを渡すと、
「別れるなんて、無理だよ」
と、きっぱりと言い放った。

そして、私の目を覗きながら、確信を持って私に語り掛けた。
「・・・・・・それに、君の目は僕を愛してるって言ってる」


にほんブログ村 ポータルブログへ

にほんブログ村 小説ポエムブログへ
人気blogランキングへ

忍者TOOLS

優しい声

2005年11月09日 20時40分28秒 | 第7章 恋愛後朝編~ハルナの章~
目が覚めると見覚えのある病院・・・、トオル君の病院のベッドに横たわっていた。

「目が覚めた?」
トオル君はベッドの横で心配そうな顔で私の様子を窺っていた。
彼は私の額に手を当てて、優しく撫でてくれた。

「私、突然、息が苦しくなって・・・。それから・・・」
それから・・・どうしたんだろう・・・。

「ちょっと、精神的に参ってたみたいだね。
いつからこんな風になったの?」
「今朝・・・」
そう言い掛けて、昨夜のことを思い出していた。


「そっか。一応、精密検査を受けた方がいいよ。それから・・・」
「トオル君、・・・話が・・・あるの」
彼の言葉を遮って、私は勇気を出して彼に真実を告げなくてはと決心していた。

「どうした?」
トオル君はパイプ椅子を引き寄せると私の横に座った。

・・・トオル君、別れて下さい・・・。
私は、昨日の夜、あなたを裏切って他の男のヒトに抱かれました・・・。

言わなくちゃ。
だけど、涙が出て、言葉が出てこない・・・。


体に刻まれた痛みと違和感が昨夜のことがウソじゃないことを証明していた。
そして、私は・・・やっぱり・・・、やっぱり、望んでかずにぃとSEXしたんだ。
私、感じてた。
そして、望んでかずにぃをこの体に受け入れたんだ。
こんなひどい裏切りって・・・ない・・・。


「おーい!ハルナさん!泣いてちゃ、分かんないんですけど・・・」
彼は、優しい声で私を包み込み、
「・・・一体、何があったんだよ。何を泣いてるんだ?」
と、私を抱きしめた。

トオル君は震える私の肩を抱いて、優しく背中を撫でた。
その仕草が昨夜のかずにぃの仕草と重なって、慄然とした。


にほんブログ村 ポータルブログへ

にほんブログ村 小説ポエムブログへ
人気blogランキングへ

忍者TOOLS