フラワーガーデン

ようやく再会したハルナとトオル。
2人の下す決断は?

雨に打たれて

2005年11月11日 20時53分06秒 | 第7章 恋愛後朝編~ハルナの章~
その夜、家に帰っても、私はなかなか寝付けなくて、机の前で椅子に座ったまま考え事をしていた。

「バカハルナ!何、正直に話してんだよ!」
かずにぃは私を車に乗せると、怒りながら慌ててドアを閉めて、車を走らせた。
私は何だか体が気だるくて、車のシートに体を預けると、せわしなく動くワイパーをただ黙って見つめていた。

暫くして、かずにぃは車を路肩に寄せると、
「・・・さっきは怒鳴って悪かったよ。オレにそんなこと言う権利ないよな・・・」
と、視線を落としながら力なく言った。
カチカチカチと言う車の音が二人の沈黙の間をぬって、気まずさを和らげてくれていた。

「・・・ウソにしたくなかったの。私、かずにぃのこと、愛してるから。
抱かれて、幸せだったから・・・」
「だけど、おまえはあいつのことも好きなんだろう?!
黙ってれば良かったのに・・・。二股でも構わない、それ位、覚悟してオレは無理矢理お前を抱いたんだ。
そんな悲しい顔される位なら、オレはそれでも良かったんだ」
かずにぃはハンドルを抱きしめるとそこに顔をうずめた。

「それは、できないよ。
かずにぃといる時は、トオル君を、トオル君といる時はかずにぃを想ってしまう・・・。
これからも、ずっと、二人を裏切り続けるなんて出来ない」

私は、膝に置いた手を握り締めると、下を俯いたまま言葉を振り絞った。
全て私の中途半端な弱さが招いた罰なんだ。

家の窓の外に目をやると、雨が更に激しく降っているのが分かった。

さっきも、こんな風にひどい雨が降っていた。
なのに、トオル君は少しも動かずに、ただ雨に打たれていた。
この雨の中、トオル君は無事家に帰れたんだろうか・・・。

その時、規則的に窓をコツンコツンと叩く音がした。
雨にしては変だ・・・。
そう思って、私は窓を開けてみた。

「・・・ト、トオル君!!」
窓の外には学生服にスポーツバックを肩から下げたままのトオル君が立っていた。


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