10月第1週の日曜日は、年に1度の「人形感謝祭」(明治神宮)。“楽しく やさしく 美しく”という心を大切にした、人形供養のお祭りです(オフィシャルサイトから一部引用)。雅楽の祭典もありますので、関心のある方は、「明治神宮 人形感謝祭」で検索をどうぞ。私は、布製の雛人形たちを納める(愛情を持ってお別れする)予定です。
さて、西洋の磁器人形の歴史は、華麗な食卓外交(18世紀~)とともに発展します。そして、食事中に向かい合うゲストが話題に事欠かないよう、目に留まりやすいテーブルのセンターに飾られました。物語のワンシーンのようなデザインが多いのは、会話を引き出すための工夫だったのかもしれません。
デザイン・手描装飾:<<イタリア式庭園>>笠原知子作
白磁素材:Rジノリ、国産、他
絵葉書:Rジノリ
2012年3月3日教室ディスプレーから
磁器が作られる前は?というと、やはり同じような演出が宴会に用いられていたようです。メディチ家のカトリーヌがフランスにお輿入れする際の結婚式(1600年)の資料には、こと細やかに詳細が記されています。1つは布製の置物(折り紙のようにナプキンを手で折ったもので、城や鷹、船など神業の造形が多い)、もう1つは砂糖細工(複雑な彫像を正確に再現している)でした。
今年は、当時の結婚式に関する企画展がピッティ-宮殿で開催中と知り、6月のフィレンツエ滞在中に鑑賞してきました。文献から再現された2種のテーブル装飾品(布と砂糖)は、とても安定感のある工芸作品でした。職人集団の技量はさることながら、当時としては大変貴重な真っ白な布と砂糖をふんだんに用いており、招待された客人達は、さぞメディチ家の富とおもてなしに驚嘆したことでしょう。
砂糖と磁器の装飾:笠原知子作
ある日の玄関のディスプレーから
手に職の私も(?)、20代の余暇を砂糖工芸に捧げました。磁器人形のように次世代に残せる耐久性はありませんが、我が家の玄関(上写真)には、現在もその頃のブーケ作品がディスプレーしてあります。
はじめてお越しになる方は、必ず立ち止まられ、砂糖であることに驚愕(びっくり仰天)。磁器作品が混在するこのコーナーのお蔭で、会話がはずみ和やかなムードとなります。時にブライダルサロンのようだと感想も頂いたりしますが、「フィレンツエ時代に似ているんですよ~」などど、次回からトークに加えてみようと思います(笑)
余暇の歳月は流れ、今田美奈子先生(西洋菓子と食卓芸術のスペシャリスト)を通じて、沢山の知識と実践を積むことが出来ました。普段の生活を工夫するアイデアはこうした経験から生まれ、味わい深い日々へと変化し、自分なりの心の豊かさのヒントになっています。
手描き装飾:笠原知子作、タイル施工:国内建築メーカー
ispirato da Palazzo davanziati a Firenze
dipinto a mano da Tomoko Kasahara
フィレンツエへ絵付修行に乗り込む前(2002年)のこと、親族の強い希望で、我が家のキッチンタイルを装飾しました。題材は、近年修復を終えたばかりのフィレンツエ中世の住宅、ダヴァンツァーティ家の壁画で、トータル66枚。技法はジノリ窯のものではなく、日本の師匠から学んだ西洋上絵付方法です。 着想のヒントは、イタリア絵画史や建築史を学んだ興味と関心からでした。歴史的住居を組み合わせて1つに再構成する、イタリア独特の建築法「リネア式」を、タイルの集合体としてとらえました。空間を捻じ曲げて奥行を楽しむ「だまし絵」を制作する醍醐味もありました。
今日では、このキッチンは、料理をするのが楽しい、そうでない時も飽きのこない広々とした空間として、家族や訪問客の皆様と居心地の良さを共有する場所となっています。
私の創作活動の喜びは、作品と見た人の感情が重なった瞬間。その頻度が高いのが、今は、衣食住の一部にある”磁器装飾の世界”ということなのでしょう。写真は、2007年の一時帰国のある日。ここに立った時、フィレンツエから瞬間移動したかのような、不思議な心持ちでした。今も変わらず。
感情が動くタイミングは、1人1人の人生経験によって異なるもの。それでも、なるべくそのタイミングに共鳴できるよう、これからも歩んで参りたいと思います。
*****
▼Home ▼About me ▼ギャラリー(1・ 2・ 3 ・4) ▼定番商品 ▼注文制作のお問い合わせ方法 ▼教室案内
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★Studio piattoscana a Tokyo
注文制作承り中
こだわりの装飾(お客様の思い)を手描きします。
★Corso piattoscana a Tokyo
生徒募集中
日本で唯一「ドッチア様式(イタリア)の陶磁器上絵付け」が学べる教室
全てのインフォメーションは、Per l'mformazione
tmksimmon@gmail.com までお問い合わせ下さい。
※携帯アドレス等、受信拒否設定により、パソコンからのメールが届かない場合がございます。お申込み、お問い合わせ後、3日を過ぎても返信が届かない場合は、受信可能なアドレスから、再度ご連絡下さいますよう、お願い申し上げます。
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さて、西洋の磁器人形の歴史は、華麗な食卓外交(18世紀~)とともに発展します。そして、食事中に向かい合うゲストが話題に事欠かないよう、目に留まりやすいテーブルのセンターに飾られました。物語のワンシーンのようなデザインが多いのは、会話を引き出すための工夫だったのかもしれません。
デザイン・手描装飾:<<イタリア式庭園>>笠原知子作
白磁素材:Rジノリ、国産、他
絵葉書:Rジノリ
2012年3月3日教室ディスプレーから
磁器が作られる前は?というと、やはり同じような演出が宴会に用いられていたようです。メディチ家のカトリーヌがフランスにお輿入れする際の結婚式(1600年)の資料には、こと細やかに詳細が記されています。1つは布製の置物(折り紙のようにナプキンを手で折ったもので、城や鷹、船など神業の造形が多い)、もう1つは砂糖細工(複雑な彫像を正確に再現している)でした。
今年は、当時の結婚式に関する企画展がピッティ-宮殿で開催中と知り、6月のフィレンツエ滞在中に鑑賞してきました。文献から再現された2種のテーブル装飾品(布と砂糖)は、とても安定感のある工芸作品でした。職人集団の技量はさることながら、当時としては大変貴重な真っ白な布と砂糖をふんだんに用いており、招待された客人達は、さぞメディチ家の富とおもてなしに驚嘆したことでしょう。
砂糖と磁器の装飾:笠原知子作
ある日の玄関のディスプレーから
手に職の私も(?)、20代の余暇を砂糖工芸に捧げました。磁器人形のように次世代に残せる耐久性はありませんが、我が家の玄関(上写真)には、現在もその頃のブーケ作品がディスプレーしてあります。
はじめてお越しになる方は、必ず立ち止まられ、砂糖であることに驚愕(びっくり仰天)。磁器作品が混在するこのコーナーのお蔭で、会話がはずみ和やかなムードとなります。時にブライダルサロンのようだと感想も頂いたりしますが、「フィレンツエ時代に似ているんですよ~」などど、次回からトークに加えてみようと思います(笑)
余暇の歳月は流れ、今田美奈子先生(西洋菓子と食卓芸術のスペシャリスト)を通じて、沢山の知識と実践を積むことが出来ました。普段の生活を工夫するアイデアはこうした経験から生まれ、味わい深い日々へと変化し、自分なりの心の豊かさのヒントになっています。
手描き装飾:笠原知子作、タイル施工:国内建築メーカー
ispirato da Palazzo davanziati a Firenze
dipinto a mano da Tomoko Kasahara
フィレンツエへ絵付修行に乗り込む前(2002年)のこと、親族の強い希望で、我が家のキッチンタイルを装飾しました。題材は、近年修復を終えたばかりのフィレンツエ中世の住宅、ダヴァンツァーティ家の壁画で、トータル66枚。技法はジノリ窯のものではなく、日本の師匠から学んだ西洋上絵付方法です。 着想のヒントは、イタリア絵画史や建築史を学んだ興味と関心からでした。歴史的住居を組み合わせて1つに再構成する、イタリア独特の建築法「リネア式」を、タイルの集合体としてとらえました。空間を捻じ曲げて奥行を楽しむ「だまし絵」を制作する醍醐味もありました。
今日では、このキッチンは、料理をするのが楽しい、そうでない時も飽きのこない広々とした空間として、家族や訪問客の皆様と居心地の良さを共有する場所となっています。
私の創作活動の喜びは、作品と見た人の感情が重なった瞬間。その頻度が高いのが、今は、衣食住の一部にある”磁器装飾の世界”ということなのでしょう。写真は、2007年の一時帰国のある日。ここに立った時、フィレンツエから瞬間移動したかのような、不思議な心持ちでした。今も変わらず。
感情が動くタイミングは、1人1人の人生経験によって異なるもの。それでも、なるべくそのタイミングに共鳴できるよう、これからも歩んで参りたいと思います。
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