池袋犬儒派

自称「賢者の樽」から池袋・目白・練馬界隈をうろつくフーテン上がり昭和男の記録

出会い頃、別れ頃(21)

2024-06-21 19:53:08 | 日記

 そんなことで、私は、成人に達する少し前からその種の夢はほとんど見ていなかった。だから、長い廊下で寝ている自分の映像が頭に浮かび上がった時には、驚くと同時に落胆した。また昔に舞い戻ったのか、という思いである。これまでの経験からすれば、私はこれと関連した短い夢を何度も見ることになるだろう。別にそんな暗示など気にしなければよいのだが、やはり気になることは確かだ。というのは、こんな幻影が私を頻繁に襲う時は、きまって、私が窮状にあり、なんとかそれを突破しようとしている時、いわば転換期にいる時であるからだ。

 私が窮状にある? そんな馬鹿な。巨大な企業グループに属し、安定した給料をもらい、仕事も気に入っており、ラグビー部の仲間がおり、妻と子供に恵まれている。転換期? まさか。このまま定年まで仕事をしてもいい。その間に、子供の成長を愛で、妻との信頼感を深め、家族を築く。これに何の不足があるだろうか?

 

 しばらく疎遠になっていたラグビー部に再び顔を出すようになった。その間、誰か結婚した奴もいるだろうと思ったが、全員きれいに純潔の身。既婚者は、相変わらず私だけだった。自分の信条に忠実に従って純潔を守るなら美しいが、連中には「何とかなんねえのかよ」というのが顔に出ている。

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