池袋犬儒派

自称「賢者の樽」から池袋・目白・練馬界隈をうろつくフーテン上がり昭和男の記録

アビダルマ哲学要諦(24)

2024-06-11 10:55:59 | 日記

同じく注釈書が初出であるのが物質的現象のグループ(kalāpa)分けである。これは、一次的要素と派生的要素を区別する形で整理されている。心要素と心意識要素の物質的基礎として心基(hadayavatthu)を規定したのも同様である。また、注釈書はカンマ(業)を分類するために(全てではないが)たくさんのカテゴリーを導入し、カンマとその結果との相互関係を詳細に分析した。心的要素(cetasika)の総数を最終決定したのも注釈書である。『法集論(Dhammasanganī)』には「また、その時点には、その他の(言及していない)条件付きで生起する非物質的現象が存在する」とあり、明らかに心的要素は無制限の広い地平であることが示されているが、注釈書では「その他の何らかの状態(yevāpanakā dhammā)」とすることでこの数を限定している。繰り返しになるが、注釈書は、「それ自体が固有の性質を持つもの(自性)がダンマである(attano sabhāvaṃ dharenti ti dhammā)」とダンマを正式に定義することでダンマ理論を総括している。特定ダンマを定義するという仕事は、最終的に、特性、働き、出現、近接する因の四通りで定義するという工夫を広範囲に用いることで終止符が打たれた。この工夫は、蔵釈(Peṭakopadesa)および導論(Nettipakaraṇa)という一対の解釈学テキストにヒントを得たものである。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする